自由に生きるとはどういうことか―戦後日本社会編 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 140
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480063939

作品紹介・あらすじ

敗戦により、まったく不自由から解放された日本。しかし、人びとの間にはいまだに「閉塞感」が蔓延している。では、いったい日本人は、「自由」という言葉にどんな理想を託してきたのか。「自由に生きる」ことは、いかにして可能なのだろうか。敗戦直後のエロス繚乱、あしたのジョー、尾崎豊、エヴァンゲリオン、そして格差社会…私たちの鮮烈な時代経験を素材に、本書では「生き方」の問題を考え抜く。かくも「生きづらい」社会のなかで自由を求めつづける術を問う、清新な「自由論」。

感想・レビュー・書評

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  • 戦後日本社会における「自由」の変遷過程を、『明日のジョー』や尾崎豊、『新世紀エヴァンゲリオン』などのサブカルチャーにも目配りしながら簡潔にたどっている本です。

    戦後の日本におけるエロスの解放からはじまり、小泉信三や大塚久雄らの思想を戦前・戦中からの連続性のなかで批判的に捉え返す議論が置かれています。つづいて、全共闘運動における世界革命の精神に、『あしたのジョー』の「真っ白な灰に燃え尽きる」ことの自由が孕んでいる困難を見てとっています。つづいて、尾崎豊やオウム真理教事件、そして『新世紀エヴァンゲリオン』などの社会現象を題材に、一見自由が謳歌されているかのような消費社会のなかで、人びとが「自由」を見失っていったことが論じられ、社会のなかで格差が広がっていく現状において「創造としての自由」を可能にするための条件がさぐられることになります。

    「創造としての自由」についての議論は、やや付け足しのような印象もあります。新書ということもあり、読者を元気づけようとする意図で著者があえてこうした書き方をえらんだ可能性もありますが、楽観的な見方にすぎるような気がしないでもありません。

  • 戦後日本のサブカルチャーを自由主義の側面から論じた本であり、広く人文社会系の学生にも興味深く読める資料かと思います。

    ■横国大附属図書館所蔵データ
    http://opac.lib.ynu.ac.jp/cgi-bin/opc/opaclinki.cgi?isxn=9784480063939

  • あしたのジョー、尾崎豊、エヴァンゲリオンなど、それぞれの時代のアイコンとなった現状を分析する。面白い論理の展開。

  • あららこんなところにもエヴァ論が
    ここにいていいんだにがっつり着目した論評で読み応えがありました

  • どの世代にも自由になる願望を抱き、時代により自由の捉え方がずいぶんと違う。
    当たり前の話だけど矢吹丈に夢中になった時代
    学校や会社と言う枠組み「仕組まれた自由」や「この支配」からの卒業願望
    碇シンジのような現代的な「よい子型順応人間」の心の闇に持つ葛藤・・・。

    自由は日本の経済成長に歩調を合わせるかの様に形が変わって行くようだ。
    何もない時代と息が詰まるほどに満たされた時代と世紀末の失われていく時代とでは変わってやはり当たり前なのかも知れない。
    かなりディープな内容ですが「ジョー」や「尾崎」「エヴァ」どれかにでも夢中になったことのある人には面白く読めると思うしオススメです。

  • おもしろいというかよく調べてるなという感じ。数年かけてできあがった本だし、尾崎もオウムもフューチャーしててありがたい。

  • 戦後の自由に関する考え方を、その年代に大きな影響を与えたベストセラーやアニメ、ミュージシャン、新興宗教を通して分析している。身近な話題から自由の精神について話を展開しているので非常に読みやすい本ではあるが、内容は非常に示唆に富む。

  • 戦後の大衆文化を素材に、それが流行った背景にある人々の自由に対する心理を考察している。
    しかし取り上げている素材が例えば英国パブリックスクール、『あしたのジョー』、『エヴァンゲリオン』などほとんどが男性文化である。
    女性として馴染みのなかった文化なので、それを知ることは勉強にはなった。
    確かに理解できる部分もあるけれども、それに一括りにされるのは、女性として違和感を持った。
    最終章は「ボボズ」や「創造階級」といった、性別に関係なく読める内容で、いちばん関心を持てた。
    「あとがき」では、最終章を書くにあたって特に学生に刺激を受けたことに謝意を表しているが、そこに挙げている名前は女性ばかりで、なるほどーと思いました。

  • ・12/13 読了.風邪で倒れてたおかげで一気に2日で読了.なかなか面白かった.同じ歳の著者なので、実感として共通するものがあるんだろう.自由になるためじゃなくて人類の進歩のためにも自由に生きることを追い求めることをやめてはだめだという主張だと思う.つまり、自由に生きるということは本当に自由に生きるためじゃなく、進歩するための原動力になるということなのだろう.でもじゃあ本当に自由に生きるにはどうすればいいんだろう.

  • [ 内容 ]
    敗戦により、まったく不自由から解放された日本。
    しかし、人びとの間にはいまだに「閉塞感」が蔓延している。
    では、いったい日本人は、「自由」という言葉にどんな理想を託してきたのか。
    「自由に生きる」ことは、いかにして可能なのだろうか。
    敗戦直後のエロス繚乱、あしたのジョー、尾崎豊、エヴァンゲリオン、そして格差社会…私たちの鮮烈な時代経験を素材に、本書では「生き方」の問題を考え抜く。
    かくも「生きづらい」社会のなかで自由を求めつづける術を問う、清新な「自由論」。

    [ 目次 ]
    第1章 連合国軍に学べ―敗戦直後の自由論
    第2章 ロビンソン・クルーソーに学べ―一九四〇‐六〇年代の自由論
    第3章 真っ白な灰に燃え尽きろ―一九六〇年代後半の自由論
    第4章 この支配から卒業せよ―一九七〇‐八〇年代の自由論
    第5章 ぼくはぼくを好きになれそうだ―一九九〇年代の自由論
    第6章 最高のトレッキングシューズを買え―二一世紀の自由論

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著者プロフィール

橋本努(はしもと つとむ)1967年生まれ。北海道大学大学院教授。専門は社会経済学、社会哲学。単著に『自由の論法』(創文社、1994)、『社会科学の人間学』(勁草書房、1999)、『帝国の条件』(弘文堂、2007)『自由に生きるとはどういうことか』(ちくま新書、2007)、『経済倫理=あなたは、なに主義?』(講談社選書メチエ、2008)、『自由の社会学』(NTT出版、2010)、『ロスト近代』(弘文堂、2012)、『学問の技法』(ちくま新書、2013) など。 共著に『日本を変える「知」』(光文社、 2009)、『一九七〇年転換期における 『展望』を読む』(筑摩書房、2010)など。

「2014年 『現代の経済思想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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