- Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480064042
感想・レビュー・書評
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39520
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微妙に読者ターゲット層が見えにくい本だけど、逆に、どの人にも剥いている、とも感じた。
この内容をあくまでライトに読ませるのは、清水さんの職人的筆致力のたまものだと思う。 -
源氏物語、ドン・キホーテとその続編、罪と罰、ファウスト、ガリバー旅行記、ロビンソン・クルーソー、坊ちゃん、吾輩は猫である、ハムレット、酒場、などなど多くの小説に対する要約、解説。まさに「早わかり世界の文学」の面目躍如と言える。しかも、歯切れのよい文章でテンポよく分かり易く書かれていて実に面白い。 この手の本はダメだとしたものだが、この本は先ず先ずの出来であるので、小説を読みたいのだが、どれにしようか迷っている人にお勧めしたい本である。
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清水義範さんといえば、パスティーシュ小説。
第一人者にして、その後続く人はいないのではないかと思われる。
その、パスティーシュという手法への自負が書かれた本だった。
「ユーモア小説」と言われてもいいけど、「パロディ」と呼ばれるのは抵抗があるようだ。
つまり、批判や批評したいのではなく、毒がなく、あの名作、この文章ってこういうことかと、すとんと腹に落ちる作品を書きたかったと。
う~ん、ご本人は嫌がりそうだけど、やっぱり清水さんって教育的なひとだなあ、と思う。
セルバンテスの「続ドン・キホーテ」が、別人による「偽ドン・キホーテ」を取り込んで展開した話は、強烈な印象に残る。
そんな面白いことがあったのね。 -
文学に限らず、あらゆる芸術、思想、技術、人間の活動全てが模倣の歴史であり、それが文化であると言っていいだろう。その意味で、模倣を軸にした文学史は入門としてとっつきやすい。
ロビンソン・クルーソーとガリバー旅行記の関係が一番おもしろかった。 -
清水さんの説によれば、「世界の文学はパロディでつながっている」のだという。面白い説だ。あの有名な小説も、実は別の昔からある小説のパロディだったのだという裏話がわかって愉快だ。
小説と小説が繋がりあっているということは、いまを生きる我々が、歴史の中で物語や思想、様々な事柄と無意識のうちに繋がりあっていることに似ている。本書を読んで、もっと本が読みたくなった。目には見えないもう一つの次元で、世界で、物語が繋がりあっているのだと思うと、本を読むのがより楽しくなりそうだ。特に、世界十大小説は全部読んでみたい。
この本は、講演されたものを文字におこしているだけあって、わかりやすかった。人柄がにじみ出るような文章だった。こんな人がユーモア小説を書いているのかぁと不思議な気持ちになった。 -
著者が書いたモノと読んだモノに関して、著者なりの視点から文学を語る(講演録+補講)×3セット構成の内容。本書について、著者本人は一種変わった文学論と称しているが、そんなに肩肘張って読むものではない。パロディやパスティーシュといったテーマが主題で、それはそれで面白いが、清水義範流・読書指南といった感覚で読み進めた方が腑に落ちる。
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講演を元にしている部分はもちろん、書き下ろしの部分も非常に読みやすく面白い。あらためて清水義範氏の技量を感じる。小難しいわりに何を言っているかよくわからない文学論ってあるもんなあ。
深刻な問題は、自分がいかに文学作品を読んでいないかが赤裸々になったこと。自分の教養の無さが情けなくなった。
そのことに薄々感づいていたので、とってつけたように最近『カラマーゾフの兄弟』などを読み始めていたのだが、なんと清水義範氏はこの本は読んでいないと書いてあって驚いた。と同時になんかちょっとホッとした気分。 -
文学の傑作といわれる作品を十数作品挙げ、そのあらすじを紹介しながらある種筆者の文学論を展開している。昔の文学作品はとっつきにくくてまだ読めていない人にはあらすじが一気にわかって楽しめるのはもちろんだが、そのあらすじの話し方がとても面白いので原作を読んでみたくなること必至だと思う。とくにドン・キホーテはいままで誤解してたことが分かって、あんなにもユーモアに富んでウィットの効いた作品であったことはこの本を読んで始めて知った。また、文学を読むことは楽しいことはもちろんのこと、現代でも必要であることがひしひしと伝わってきた。高校生や大学生に向けての講演が元になっているので言葉が平易で読みやすいのも良かった。
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[ 内容 ]
作家・清水義範の小説スタイルは「パスティーシュ(模倣芸術)」と呼ばれてきた。
さかのぼれば、『旧約聖書』の「ノアの方舟」の話は『ギルガメシュ叙事詩』からの引用だと言われる。
スタインベック『エデンの東』は『旧約聖書』のカインとアベルの物語から作られた。
また、デフォーの『ロビンソン・クルーソー』に腹を立てて生まれたのがスウィフトの『ガリヴァー旅行記』である。
世界の文学はつながっている。
膨大な読書体験と創作の方法をひもとくことで、それがそのまま文学案内となる面白くて便利な一冊。
[ 目次 ]
講義1 パロディで文学はつながっている
補講1 パスティーシュの正体は何か
講義2 読書で学べること
補講2 私が決める世界十大小説
講義3 作文教室と創作方法
補講3 ユーモア文学論
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
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著者プロフィール
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