打たれ強くなるための読書術 (ちくま新書 705)

著者 :
  • 筑摩書房
3.23
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本棚登録 : 300
感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064103

作品紹介・あらすじ

読書における「打たれ強さ」とはなにか。それは解答がひとつではないということに耐え、複眼的な見方で本を読むことができるということである。「どのように世界を理解するか」に重点を置くあり方とも言い換えられよう。本書は、そのための本の探し方から、段階を踏んだ読書、読んだ本の活用法など、しっかり使える技術を伝授するものだ。この技術を磨いてゆくことで、これまでとはひと味違う成熟した「大人」の読書が成立するのである。

感想・レビュー・書評

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  • フランス語学者による読書術論。知的に打たれ強くなる、具体的にいえば、その本の内容を鵜呑みにせず、批判的に読書をできるようになるための方法を記している。

    普段の読書、レポート・論文のための読書でも応用できるトピックが述べられており、積読や本を買うことの意義なども書かれていて大変勉強になった。

    大人の読書、能動的な読書ができるように日頃から意識してトレーニングしておきたいと思う。

  • 本と適度な距離を取り,一冊の内容を鵜呑みにせず,本を比較し相対化しなくてはならない.cf. p.163-164.能動的にみずから本に問いかける p.201. 著者が言うように第八章をオススメしますp.14. この本は『本を読む本』が参考にされています.p.34 私には冗長に感じました. 知的に打たれ強くなるために,まず自分の打たれ弱さ cf. p.11を認めることが必要だと思います.

  • ■1冊目
    * 読了日20110226
    * 再読了日20191107
    * 入手日20110223

    ■2冊目
    * 入手日20120204
    * 廃棄済み。

    ■3冊目
    * 入手日20130529
    * 廃棄済み。

    ■4冊目
    * 入手日20130913
    * 廃棄済み。

  • 39486

  • 知的な学びを得るための読書術。ただし、オススメの本や本の面白さを教わる本ではなく、自分自身どう読書に取り組むかを学ぶための本。本の選び方、読み方、読んだ後の整理法を著者のスタイルも含め解説。
    趣味読書ではなく一つのテーマを研究する目的での読書術。

  • 【由来】
    ・amazonで「打たれ強い」というキーワードで引っかかってきた

    【期待したもの】
    ・amazonのレビューによると「打たれ強い」ということよりも、能動的な読書をして自分の中の知性を鍛えるということのように解釈できた。これは今の自分の漫然とした読書に対する問題意識ともリンクしたので興味を持った。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 本へのアプローチから、読むレベルまで、読書精進論。

  • 打たれ強くなるための読書術/東郷雄二
    ※個人的な意見・要約

    読み終わった率直な感想として、真新しさを感じなかった。
    普段から批判的な視点を持つことを意識していて、情報のインプットとアウトプットから得られるフィードバックの重要性を理解している人間なら特出して新しく得ることはない。
    一方で、なんとなく読書中に意識していることを言語化しているという点では参考になる。字義通りの文章の把握、論理の構造化、批判的読書。こうした主張はそれ自体には理解できる。残念なのは、そこへリードする論理が破綻していること。例が例として成立していなかったり、読書レベルとして四段階掲げつつ実質三段階しか挙げていなかったり。筆者の言葉を使えば「事実」と「推論」にかなりのバイアスがかかっているため、破綻している論理が本全体に数多く見られ、この本を読むこと自体に危機感を覚えた。

    個人的には彼の論調もあまり快く受け取れなかった。というのも終始読者を下に見た物言いが多く感じ取れたためである。彼自身に絶対的ノウハウがあり、自分で考えることのできない人間に授けてあげる、といったスタンスは読んでいて快く思わないばかりか、提示されたノウハウも散逸したものが多く、結果として与えている情報すら大した価値を感じ取ることのできないものであった。普段読書(能動的読書)を行わない高校生ないしは大学生低学年の人間を読者対象としているからなのであろうが。


    内容の整理がてら、概要を簡単に書く。

    筆者の主張として最近の学生は「知的に打たれ弱い」その傾向として5点あり、
    ① すぐに答えを欲しがる
    ② どこかに正解がひとつあると信じている
    ③ 回答に至る道を一つ見つけたらそれで満足してしまう
    ④ 問題を解くのは得意でも、問題を発見するのが不得意である
    ⑤ 自分の考えを人に論理的に述べる言語能力が不足している」

    がそれに当てはまる。

    こうした人間が『「自分の頭で考える」とはどういうことかを理解し、結果として「知的に強くなる」』ための方法論を示すことに主眼を置いていて、筆者の経験からそのノウハウを説いている。ここで著者はまず、読書の方法について2通りあると述べ、自身の着眼点を明らかにする。

    ひとつは「自身の陶冶」=自己形成である。これは良書を読み内容を追体験することで人間的な成長を期待するもの。もうひとつは「知的形成」である。これは本の内容をいかに理解しそれを自分の知識として生かすか、というもの。両者の違いは基本的にはその姿勢にあり、換言すると前者は「受動的読書」であり後者は「能動的読書」と言える。本書ではこの能動的読書を行うための技術書を目指しているとする。

    この2つの読書法の違いは、読書から得られる「知識の質」と「自己への還元」に現れるという。そしてそこに能動的読書を行う理由があるとする。

    まず知識という点で言えば、本には作者のバイアスがかかっている点が大きい。どんな本においても作者の恣意性が現れており、間違った情報が記載されることもありうる。そのため受動的読書をしていると正誤の判断がつかず、結果として得られる知識内容に差が生じるというもの。自己への還元という点で言えば、受動的読書は、知識を所与のものとして自己に吸収することのみを重視するため、その先がない。意訳すれば離散的なものとして蓄積され、得た知識の応用が利かない。一方で能動的読書は、内容を吟味することで自己を組み替えることを重視するため、その先で応用が利く。意訳すれば連続的なものとして蓄積されるため、比較や参照など得た知識を他の知識と結びつけて考えることができる、つまり応用可能であるという。

    さらに掘り下げると、なぜ自己を組み替えることに価値があるのかという疑問が生じる。その回答のひとつは、複数の視点から物の見方を学ぶことである。つまりとある事象に多角的にアプローチすることで、その事象を相対的に捉え客観視する視点を獲得できるというのである。自己を組み替えることでより事象の本質を的確に掴むことができ、結果として「知的に打たれ弱い」人間に見られる項目にコミットできるような「自分の頭で考える」人間になるからということである。

     こうした本書の前提整理をしたうえで、著者の経験に基づいた実用的読書法が紹介される。本の探しかた、買いかた、本の選び方、そして読み方である。

     全文読むか部分的に読むか、速読か熟読か斜め読みか、初心者へ向けた具体的な方法論の提示である。また読書はそのレベルに応じて4段階に分けられるという。「初級読書」「分析読書」「比較読書」「批判読書」である。
    初級読書とは、書いてあることを字義通り理解すること。言語としての意味だけでなく、特に頻出単語のような文中で意味をもつものにおいて、その作者の背景などから単語の字義以上の事柄を含めて理解することである。
    分析読書とは、読書を三段階に「切り分けて読む」考え方である。「事実」「推論」「主張」。事実は推論・主張の根拠。すなわち「信頼性」である。推論は事実を基にして帰結を思い描く想像力。すなわち「妥当性」である。主張とは、事実を基にした推論を重ねた末に筆者が到達した結論である。すなわち「説得力」である。こうして話の内容を構造化することで、論理の整合性を理解することができるため、批判的に、能動的に読書ができるという。
    比較読書とは、同じテーマについて書かれた様々な文献を読み比較して自分の頭で考えるというものある。
    そして批判読書とは、上記三方法を行う読書方法としている。

    最後は、そうして得た知識を蓄積するためには記録を取ることが大切であると述べる。そして再び筆者の経験に基づいたノウハウを述べている。



    結論は冒頭の感想と重なるが、バイアスのかなり強い技術書といったところ。提示する方法それ自体はいくつか妥当なものもあるので知らなかった人は参照する、知っていた人は再確認するという程度には役に立つ。しかしその技術へのリードに客観性が皆無であるため、この本の内容を持ってして自己を組み替えるか否かは吟味しないといけない。

  • 三葛館新書 019||TO

    和医大図書館ではココ→http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=50821

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著者プロフィール

1951年生まれ。京都大学名誉教授。京都大学大学院文学研究科博士課程中途退学、パリ第4大学言語学博士。専門は言語学・フランス語学。主要編書・著書:『ロワイヤル仏和中辞典』『プチ・ロワイヤル仏和辞典』(ともに共編/旺文社)、『フランス語とはどういう言語か』(共著/駿河台出版社)、『フランス語学研究の現在』(共著/白水社)、『ニューエクスプレスプラス フランス語』『中級フランス語 あらわす文法』『フランス文法総まとめ問題集』(以上、白水社)。

「2019年 『フランス文法総まとめ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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