3年で辞めた若者はどこへ行ったのか: アウトサイダーの時代 (ちくま新書 708)
- 筑摩書房 (2008年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480064141
感想・レビュー・書評
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働く若者論的なものに興味が出始めたので、目についたものをちまちま読んでいる。これは図書館で借りて読んだ。
主に転職によって豊かな人生を歩めるようになったと感じながら生きている人の事例集みたいなかんじ。
人生いろいろだなあー詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
働くことに対する昭和的価値観を提示し、勤労のあり方を問う一冊。
労働者が適正な報酬を得られるシステムの確立を提唱している。 -
≪目次≫
第1章 キャリア編 ~昭和的価値観
①「若者は、ただ上に従うこと」
②「実力主義の会社は厳しく、終身雇用は安定しているということ」
③「仕事の目的は、出世であること」
④「IT業界は3Kであるということ」
⑤「就職先は会社の名前で決めること」
⑥「女性は家庭に入ること」
⑦「言われたことは、何でもやること」
⑧「学歴に頼ること」
⑨「留学なんて意味がないということ」
第2章 独立編
⑩「失敗を恐れること」
⑪「公私混同はしないこと」
⑫「盆暮れ正月以外、お墓参りに行かないこと」
⑬「酒を飲んでも飲まれないこと」
⑭「フリーターは負け組だということ」
⑮「官僚は現状維持にしか興味がないということ」
⑯「新卒以外は採らないこと」
コラム①企業に求められる多様化とは
⑰「人生の大半を会社で過ごすこと」
⑱「大学生は遊んでいてもいいということ」
コラム②二十一世紀の大学システム
⑲「最近の若者は元気がないということ」
⑳「ニートは負け組だということ」
第3章 新世代編
21「新聞を読まない人間はバカであるとうこと」
22「左翼は労働者の見方であるということ」
コラム③格差のなくし方 -
筆者の挙げる22の「昭和的価値観」を題材に、いまの若者たちのでき方や考え方について探る。
読んでみて気づいたのは、自分の価値観と、ここで語られる価値観とがそうは変わらないこと。やはり私も平成の子なのである。
昭和的価値観を理解しつつも、どうやったら日本人みなが幸せに働けるのか。誰もが現代の矛盾に気づいていながらも、指摘できたのは筆者が初めててあろう。その点では非常に痛烈だった。 -
2012/5/3読了
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若者に限定しているが、総論的にはこれからの仕事の意識論である。雇用はこうあるべし、社会はこうあるべしというのはある程度の啓蒙性持つ反面、ほとんど影響ということに関しては期待できない。日本の雇用慣行「終身雇用」「年功序列」「企業内労働組合」「サービス残業」は確かに崩れつつあるし、これからもその傾向は続くだろう。一方で終身雇用、年功序列は労使双方が望む場合も多く、一律的でない。
日本の職業問題は、ひとつにやりたいことが確信できないまま就職先を選ばなければならず、しかも間違ったと気付いてもやり直しがかなり難しい点になる。要は転職市場が質・量共に未だ未成熟ということである。そのため、思い切って合わない会社から抜け出そうとすると、その行き着く先は独立か経済的にランクを下げた会社になる。
会社に合わないというのは単に、休日・給料・人間関係などのことをいうのでなく、もっと根本的な部分でのやりたい仕事そのものの選択のことである。チームワークか個人プレイ型か、創造的仕事かルーティーン型かなどやってみないと分からないことは多い。合わない仕事を続けるのは個人にとっても会社にとっても不幸なだけだが、合わないから数年で辞めるとどうしても今の社会では根性が足りないという精神論だけに論を収束しがちである。
今はインターン制などでそのギャップを埋めることもできつつあるが、大学時代にインターンをやることがはたしていいことなのか疑問もある。それよりは新卒市場と並行して、卒業後3年市場の転職市場が活発になるといい。自分の適性を最初の就職で十分に認識した上で本当の就職を行う。もちろん理想は年齢に関係なく転職市場が充実することなのだが、それはまだ時間がかかるだろう。
だが、経済が一部大企業を覗いて大部分がドメスティックな領域で完結していたのに対し、いまはグローバルな競争と知識経済への移行を通して、世界の経済情勢が結構直接的に影響し始めている。そうなると、雇用慣行もこれから加速度的に変化し、また情報の量的質的流通の拡大により職業意識もかなり変化することになるだろう。 -
転職者の事例集のような感じ。今読むのにとても適していた。自身の市場価値を高めることの重要性を改めて実感する。
会社に頼るのではなく、自分の力に頼る。そんな生き方をしたいと思う。 -
日本型雇用をドロップアウトしたアウトサイダーたちの行方のルポ。
いろんな生き方があるんだなぁ。 -
あまりにも近過ぎて感想の言い難い雇用/労働問題系です。
なぜか数年ぶりに読み返しました。
城さんの立場は、非常に一貫していて「制度疲労を起こしている現在の慣行や価値観を疑問視する」というもので、この本の中でもこれに類するエピソードを持つ様々な人物を紹介しています。
多様化する価値観(陳腐な言葉と自分でも思うのは、この言葉を使うときは「自分の価値観を認めろ」という文脈が多いからでしょうか)への許容度は社会的にも年々上がっているように感じますが、結局社会に対する価値観は親(とその世代?)の影響を色濃く受けるんだろうなと感じています。
その点では、僕は同世代の他の人よりも自由なはずなんですが・・・ -
昭和的価値観からの脱皮は、これまでその中で育った皆にとって、必要であると気づきにくいこと。この本を読んで、目が覚めた様な感覚を覚えた。
問題提起だけでなく、そのためにどうするかについての真剣な意見、思いがしっかりと書かれていて、とても納得の行く内容だった。