3年で辞めた若者はどこへ行ったのか: アウトサイダーの時代 (ちくま新書 708)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064141

作品紹介・あらすじ

すでに平成二〇年。いまだに、多くの会社で、昭和の時代から続く風習や決まりごと、働き方が支配している。『若者はなぜ3年で辞めるのか?』でその状況を描いた著者が、辞めた後の、いわば「平成的な生き方」とは何なのかを指南する。"完全実力主義の企業で数千万円稼ぐ若者""建築現場から人事部長に転身した若者"など、アウトサイダーたちの挑戦と本音が語られる。自分がいかに昭和的価値観にとらわれているか、そして、時代が本当に変わりつつあることを実感できる。

感想・レビュー・書評

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  • 定期昇給もなく、一生平社員であるにもかかわらず、休日も使わずに転勤を繰り返し、残業続きの人生を送るのが幸せだというのなら、そいつはただのバカか、それによって搾取する側の人間に違いない

    193pより引用

    このフレーズが強く心に残った

  • 世代間格差こそが問題
    解決のためには労働市場の流動化

  • 昭和的な価値観や働き方を持たずに生きている人たちを紹介する本。
    色々な生き方があり、色々な働き方があるもんだということを改めて気づかせてくれる。
    特に就活に悩んでいたり、不安に思っている大学生にオススメしたくなる。
    最後の方の著者の提言も細かく丁寧に描かれていてすごく分かりやすかった。

  • “内定ブルー”の時に読んだ1冊。その当時の感想は、これ。
    『考えてみれば、従来の新卒→企業と言う流れは、一種のシステム化されたパイプラインのようなものだ。(139)』
    →今、3年生が早くから就活の準備を開始している。大学でも1年生から「キャリア」を意識しようと動いている人が多くなってきた。もちろん何も目的無く大学生活を過ごし、寸前になって慌てるより有意義だとは思う。しかし、綺麗なキャリアをつくり、大企業に内定することが成功につながるのか?よりタフで創造性あふれる人間こそ求められるのでは?何かこう現状のシステムに足を滑りいれている気も感じないでもない。と。

    さて、大学生のキャリアをここで問題にはしない。それはそれで論じる必要があるように思う。
    それより、就職して4ヶ月半経過した今、改めてこの本を読んだときどの部分が印象的だったのか、それは2点あげられる。

    ①邦銀やメーカーに就職した同期なんかと話すと、ものすごく度胸があるなって感心します。だって、自分の市場価値のことなんて、まったく考えていない。将来会社がつぶれたりしたら、絶対路頭に迷うはず。なんでそんなに他人に人生を任せられるのか?私に言わせれば、ああいう生き方のほうがはるかに高リスクな時代―と、話す外資金融に務める会社員。(29)

    自分の市場価値を見出す=自立と言い換えられるのではないか。会社に依存することなく会社を利用することで自信を成長させ、どんな境遇に身をおいても立ち上がることが可能な人物となる。口で言うのは易し。とりわけ新入社員の自分にとっては一度身を預けるがごとく仕事を覚えない限り、利用できる状態には至らない。しかし、「自分―会社」の方程式にあてはめたとき何が残るのか-この一点を考えるチャンスを創るだけでも意識に違いは出てくるのではないか。

    ②特に大手になると、営業、接待、朝帰りといった派手なイメージがつきまとう。会社側もそのあたりは心得たもので、元気のいい体育会系や、勉強よりも遊びに詳しい社交的なタイプを好んで採用する傾向がある。だが彼が席を置く内勤部門は、そういった華やかさとは全く無縁の世界だ。実際入ってみた後で後悔はないのか?「だって馬鹿馬鹿しいでしょ?人に頭を下げて回るのも、つまらない人間と酒を飲むのも。人間的な成長とはまったく無縁、人生の浪費でしかない」フォローしておくが、彼は決して内向的でも、人間嫌いでもなく、むしろ人当たりはいいほうだ。「本音を言えば、30代のうちに知人と共同で、企業再生のコンサルティング会社を立ち上げたいんです。財務全般や資産管理に関する今の業務は、そのための修行のようなものですね。」
    今の会社は、学生なら誰でも憧れるブランド企業だ。また年功序列のレールもまだ堅持されている。だが彼は、そんな生き方に全く魅力は感じないと切り捨てる。(48)

     自分自身管理部門であり、かといってずっとここに身を置きたくないだけにものすごく複雑な気分になるこのフレーズ。当然華やかさはなく、関わったとしてもほとんどの人は社内に限られる。そのような中で、この人のように今はあくまで修行であり、夢の土台作りにすぎないと割り切れるかといったらまだまだ力がない。正直営業のようにビジネスを創出することに憧れる一方、それと引き換えのリスクに少なからず怯える自分もいる。かといって起業とか考えたこともない。もちろん今の会社に不満たらたらというわけでは全くないが、少しはこのような道もあると意識しつつ、かといって都合よく逃げ道を作る解釈をしたくもない。

    この本を読んで得られたことは、某企業に入ったことが決してゴールなのではなく、様々な選択肢が隠れていることだ。それら選択肢を少しでも考えることができたこと。ただ、考えすぎて今の仕事に集中できなくなると、元も子もない。まず、今の業務に集中して臨みたい。

  • 前作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』を読んだときよりも、普通のサラリーマンとして働いていて不満に思う部分は多く感じるようになっていた。その状態でこういった本を読むと、前作から続く年功序列そして昭和的価値観の否定に、より頷けるところが増えたように思う。間違いなく働くことへの姿勢に影響を与えてくれる本。これからどんな職業で働く上でも、自分の考え方はしっかり持っておこうと感じさせてくれる。安定を求めればいいか、やりたいことをやるべきか……すごく考えさせられます。

  • 自分の市場価値を高める、ということがこれから生きる上で大事だと思った。何をやりたいか、が大事なのだと思った。

  • この話は今でも通用する話で閉塞感がある。

  • ふむ

  • ◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA85188744

  • 昭和的価値観からの脱却を説いている本書。平成は「アウトサイダー」たちが活躍できる時代を望んでいた。既に時代は令和に。まだまだ昭和的価値観が残っている時代に生きている気はするが、自分自身が抜け出せていないだけなのか。。

    基本的な構成としては昭和的な価値観と、その価値観に縛られないで活躍しようとする方々との対比になる。それぞれのエピソードが連続しているわけではなく、スポットスポットの紹介のようです。

    ・世代間格差(ロストジェネレーション)
    ・正規-非正規格差

    雇用の流動性が、物事を解決する方向で大事(というか正しい)と作者は言う。私も正しいと思う。職位やクラスタで賃金が決まるよりは、能力やジョブに基づいて決まるのが正しいと思う。
    しかし「何を今更」と思う人間や世代がいるのもわかる。
    既得権というのは、身近にあるものだなとつくづく思う。

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