自民党政治の終わり (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.58
  • (10)
  • (17)
  • (29)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 141
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064462

作品紹介・あらすじ

戦後日本の長きにわたって政権党であり続けた自由民主党。派閥ごとに結束し、年功序列型の人事制度をもち、後援会と各種業界団体に支えられたこの巨大政党は今、機能不全を起こし、そのシステムの骨格は既に崩壊している。かつて自民党が圧倒的な強さを発揮しえたのはなぜか、それがいま存在感を失いつつあるのはなぜか。歴史の視点、さらには国際比較の視点をも交えながらその来歴を明らかにし、これからの日本政治を展望する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 刺激的なタイトルになっているけれども、筆者が指摘
    しているのは、自民党政権が終わるということでは
    なくて、五十五年体制を支えてきた自民党システムに
    よる政治が終焉を告げた、ということ。

    "自民党システムへの反逆者"小沢一郎を取り上げた
    第一章と、"救世主にして破壊者"の小泉純一郎を取り
    上げた第二章では、自民党の政治がどのように変容して
    きたかを論じていて、ここは筆者自身も指摘しているとおり、
    ハードルが低く、読みやすい。
    05年の郵政選挙での選挙での圧勝と、07年の参院選
    での惨敗は表裏の事象だ、と説くところなどは説得力
    十分で面白い。

    第三章以降がこの本の本論とも言える部分。第一章、
    第二章とはかなり色合いが変わって、分析的で専門的な
    内容。
    ハードルが一気に上がる。

    第三章の冒頭で、筆者は自民党システムとはこういう
    ものだと書いている。

     巨大かつ柔軟な党本部組織と膨大な後援会組織を
     通じて社会の隅々までネットワークを築き、ボトム・
     アップとコンセンサスを軸とする分権的色彩の強い
     政策決定システムと、年功に基づく平等な人事シス
     テムを組み込んだ組織原理を持ち、官僚機構との
     共生のメカニズムを通じて形成された巨大なイン
     サイダー政治の体系である。

    第三章以降、特に第三章と第四章はこのようなトーンで
    進むので、上の一文を読んで興味をかきたてらた…という
    向きでないのであれば本書はあまりお薦めしない。

    かく言う私も、読み進めるのはかなり難儀だった。
    正直、何度も行き来しながら読んでいった。

    ただ、そんな読書でも、読み終える頃には政治への興味
    が以前より増していたのは間違いない。

    二世議員がなぜ多いのかという疑問への答えや、次の
    選挙で自民党が負けたら本格的分裂が起こるのでは
    ないかという筆者の予言など、なるほどと思わせる箇所が
    随所にあって、難儀であったものの、途中で投げ出す
    気にはならなかった。

    日本における政権交代や二大政党制を考える際に、非常に
    参考になる一冊。

  • 自民党システムへの反逆者、小沢一郎
    救世主にして破壊者、小泉純一郎
    自民党システムとは何か?
    歴史と比較から見た自民党システム
    自民党システムの終焉

    著者:野中尚人、1958高知県、制維持学者、東京大学大学院総合文化研究科国際関係論専攻、学習院大学法学部教授

  • 「自民党システム」という概念を打ち出して、いろいろな角度(キーパーソンの行動、歴史的経緯、組織構造、意思決定過程など)から分析していく本です。こう言うと、地味で堅そうな本、という印象を与えてしまうかもしれませんが、これが意外におもしろい。本書の知識を身につけておくことで、例えば新聞の政治面を読むことひとつにしても、記事の見え方や読み方が変わってくると思います。

    なんといっても「自民党システム」という概念が本書の主軸です。端的にまとまっている文章を引用します。

    "本章の要点をあらかじめ言えば、自民党システムとは、巨大かつ柔軟な党本部組織と膨大な後援会組織を通じて社会の隅々までネットワークを築き、ボトム・アップとコンセンサスを軸とする分権的色彩の強い政策決定システムと、年功に基づく平等な人事システムを組み込んだ組織原理を持ち、官僚機構との共生のメカニズムを通じて形成された巨大なインサイダー政治の体系である。これが、1990年代から変容を始める前の、いわゆる「55年体制」期の自民党体制の姿であった。"(P.112)

    「自民党システム」を知ることで、日本政治の暗黙のルールのようなものが理解できるようになります。例えば政務調査会内の小委員会から、総務会へと至る流れ。「議長に一任」という言葉がこの国でよく用いられる背景が分かります。もちろん、日本の政治制度全体のおおまかな枠組み、歴史も理解できるような構成になっています。

    さらにヨーロッパ的な政治制度との比較によって、日本の政治制度や「自民党システム」の特異さを浮き彫りにしています。著者はもともとこちらがご専門であり、論点整理がとても的確でした(P.193~など)。

  • 小泉型政治→大統領的な手法(大衆迎合主義)
    vs.経正会手法との決別 
    →数と力、カネとポストによる誘いと切り崩し、完了を巻き込んだ利益配分のネットワーク(pp.64)

    →吉田首相政治との類似性(pp.77)
    <自民党の抵抗→3つの層>
    1政調会内部の部会や調査会、特命委員会などで抵抗や介入を実施
    2党幹部と政府と自民党との間で調整を図る
    3党の正式機関の外側に反対運動を組織する→メディアの喚起

    ・自民党システム
    =「巨大かつ柔軟な党本部組織と膨大な後援会組織を通じて社会の隅々までネットワークを築き、ボトム・アップとコンセンサスを軸とする分権的色彩の強い政策決定システムと、年功に基づく平等な人事システムを組み込んだ組織原理を持ち、官僚機構との共生のメカニズムを通じて形成された巨大なインサイダー政治の体系である]
    (pp.112)

    ・官僚優位論→日本の場合戦前の官僚制度が温存され、、高度な自律性を有していた>議会よりも圧倒的立場
    *もっとも政党側も60年後半から官僚に対して統制を取るようになる。

  • 自民党崩壊、民主党政権誕生の中で、自民党時代のシステムが歴史的に崩壊したと解説する本は多いが、少ない分量の中でうまくまとめている印象を受けた。

    小沢政治、小泉政治のまとめのあと、自民党システムを他国と比べて(文中の言葉で言えばヨコの比較としてみて)、次に歴史的に自民党の意思決定、リーダーを選ぶ作業を描き(文中の言葉で言えば、タテの比較として)出している。何はともあれ、この時代にあった政治システムを作ることが急務になっていると感じた。

    しかしながら、その後自民党は新しいシステムなのか、二度目の政権交代を実現させた。今後のシステムをどのようにして考えるか、いろいろと考えさせられる本である。

  • 学習院大学法学部教授(比較政治学)野中尚人による、政権政党としての自民党論。

    【構成】
    第1章 自民党システムへの反逆者、小沢一郎
    第2章 救世主にして破壊者、小泉純一郎
    第3章 自民党システムとは何か?
    第4章 歴史と比較から見た自民党システム
    第5章 自民党システムの終焉

     前半の2章は、小沢一郎と小泉純一郎と全く異なる2人の自民党出身者の来歴を紹介しているが、特に目新しい話は無い。
     後半の3章が、本書の主たる議論となってくる。著者は自民党が長期的に自然な与党たり得たシステムを「戦後合意」と呼び、官僚機構と連繋したボトムアップ型のコンセンサス形成過程を踏み、幅広い地方の民意(利害)を汲んだ集票組織を持つものこそ「自民党システム」であったという。
     そして、4章では日本の江戸時代、近代ヨーロッパの議会政治との比較の要素を盛り込んでその特色を示すことを試み、終章では冷戦終結と90年代前半の政治改革から小泉政権に至る過程で以前のような自民党システムが機能しなくなり、2007年参院選での自民党大敗は、画期的な「決定的選挙」と見なすことができると論じている。

     全体を通して、村松岐夫、北岡伸一、飯尾潤などの著名な研究既に言い尽くされていることばかりという気がする。何か新しいことがあるのかと言えば、戦後の政治・行政がおかれた環境は「外交と戦争」から切り離されているという点で、江戸時代と似ているという「トンデモ」な議論ぐらいである。近世・近代の土地制度、国際関係の理解も浅く、とても学者の書いたものとは思えないレベルである。

     各章で述べられている内容も統一感が感じられず、センスの無い著作である。

  • NDC分類: 315.1

  • [ 内容 ]
    戦後日本の長きにわたって政権党であり続けた自由民主党。
    派閥ごとに結束し、年功序列型の人事制度をもち、後援会と各種業界団体に支えられたこの巨大政党は今、機能不全を起こし、そのシステムの骨格は既に崩壊している。
    かつて自民党が圧倒的な強さを発揮しえたのはなぜか、それがいま存在感を失いつつあるのはなぜか。
    歴史の視点、さらには国際比較の視点をも交えながらその来歴を明らかにし、これからの日本政治を展望する。

    [ 目次 ]
    第1章 自民党システムへの反逆者、小沢一郎―小沢一郎と自民党システム(政治改革への執念と内部抗争
    小沢の成功と失敗)
    第2章 救世主にして破壊者、小泉純一郎―小泉純一郎と自民党システム(反経世会の政治手法 郵政民営化 小泉は自民党を壊したか?)
    第3章 自民党システムとは何か?(「自然な与党」であり得た理由 人事のルールとそのシステム 合意を重視する意思決定)
    第4章 歴史と比較から見た自民党システム(江戸から見た戦後日本政治 国際比較から見た自民党システムの成立)
    第5章 自民党システムの終焉(自民党型「戦後合意」の崩壊 「戦後」から「冷戦後」、そしてグローバル化へ 新しい政治システムへの展望)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 選挙後によんだから、感動がちょっと減ってしまった。

    小沢さんと小泉さんがよくわかったきになった。

  • タイトルがタイムリー
    昨年9月刊行

全17件中 1 - 10件を表示

野中尚人の作品

自民党政治の終わり (ちくま新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×