漢和辞典に訊け! (ちくま新書 756)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064622

感想・レビュー・書評

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  • 『舟を編む』を読んだ流れで辞書本。

    国語辞典は本棚一段分くらいは持っているけれど、漢和辞典は2、3冊しか持っていない。日国大は持っているけど、大漢和は持っていない。
    辞書好きだけど、漢和辞典に関しては、世間の人よりちょっと使う機会が多いかな?というくらいでしかない。(だから漢検一級に受からないのか?)

    そんな人間だけど、この本を読むと漢和辞典を使いたくなります。
    漢和辞典初心者向けの導入から始まるので、前半はちょっとイライラしますが、後半になってどんどん面白くなってきました。
    正しい漢字の形とか、成り立ちの説も辞書によって違うとか、へぇ~~という内容が多くて、楽しく読むことが出来ました。

  • 面白かったー!舟を編む、を読んでからの辞書マイブームが来そうだ。また買ってないけど漢和辞典、あーこの漢和辞典読んでみたいな、っていうマニアックな購買意欲を持つことができた。

    そっかー、漢和辞典って、漢字と大和言葉、つまり中国語と日本語の辞書的な意味合いもあるのかあと思った。漢字でこれだけ、文化や民族の価値観が分かるものなのか、というのが面白い。

    漢字の日本に馴染んできた歴史がわかって面白かった。言葉がテーマの本って、やっぱり私たちがどういうふうに認識を深めてきたのか、ということが解き明かせるから面白いなあと思う。

    漢和辞典だけのルールとか、編纂方針とか、辞書づくりの大変さとか、本作りへの興味も満たされてよかった。とくに、ひくのが大変、というところが、それで今までの人たちが分類とかいっぱい頑張ってなるべく使いやすくしようとしたその涙ぐましい努力がいい。

    また、完全に効率的なやり方がないからこその、その手間の部分も、なんかいい。効率的でなくてもよくて、いっぱい寄り道をしてもいい、というのが肩の力が抜けるというか、辞書の懐の深さ、そういう辞書の存在自体が、ほっとする価値観でもある。楽しかった。

    ひらがなというか、やまと言葉派ではあるのだけど、この本を読んで漢字も面白いなと思った、三位一体、意味と音を、形で繋ぐというのが面白い考え方だった。

    あ、あと敗戦後にそもそも漢字って画数多くて非効率的やねんだから日本負けるねん、っていうめちゃくちゃな理論で漢字を減らしたのはなんてアホらしいと思ったけど効率性を掲げる人たちの言いそうなことだなと思った。

    効率的な社会なんて、個性が死んで面白くない。へんな字が残ってて欲しい。そこに文化が残されていて欲しい。ことばの多様性は文化と思想と、私たちの自由の象徴でもある。戦争なんか強くなくていい、いつまでも敗戦気分で日本を恥じるのはやめて、自国の文化と他国の文化を大事にすることの楽しさに気づいて欲しい。

    日本語って、漢字もあるしひらがなもカタカナもあるし、すごくいい言語だと思う。見た目がかっこいい、デザインとしても究極にイケてる言語だと思う。

    旧字から新字にいくつかの言葉がひっくるめられたなんて、考えるだけで悲しい。統一はしなくていい、そもそも人が、一緒くたにできるものじゃない、カオスで独特な、唯一のものなんだから。使う人が多様なんだから言葉も多様であるべきで、そこを統一しようとすると、使う人も統一できるという腐った上っ面だけの現実にあわない、すげーダッサい考えとシステムになってしまってダサい民族になるからやだ。つまりなんていうか日本語は最高にクールだと思う。辞書が好きな人にもこれから好きになる人にもおすすめ。

  • 出版社で長年漢和辞典の編集にたずさわってきた著者が、国語辞典や英和辞典にくらべるとすこしとっつきにくい印象のある漢和辞典の魅力を語っている本です。

    本書を手にとるような読者であれば、多少とも漢字についての関心をもっているはずであり、そうした読者にとってはすこしもの足りなさを感じさせる内容ではないかという気もします。とはいえ、著者の漢和辞典に対する思いがユーモアをまじえて語られており、おもしろく読むことができました。

  • 漢和辞典の超初心者向け入門書。あっという間に読了。
    それでもいくつかの漢字に関して「おぉ、そうだっのか!」という話はあった。
    藤堂先生と白川先生の辞書をもっと使わなくてはと思った。

  • 元漢和辞典編集者の著者の手になる漢和辞典本。
    この本を書くためにフリーになった、という。
    いつも思うのは、この人の名前、本名のようだけれど、代々漢和辞典に関わる家柄の人なんじゃないか、という気になる。
    この著者の本を読むは、たぶんこれで二冊目。

    異体字、本字、俗字、略字、別体など、なんとなく聞いたことのある字体の話。
    新字体/旧字体ともまた違う位相にある。
    にもかかわらず、絡んでくるという厄介なもの。

    本字:親字(親父ではない。見出し字のこと)より形として本来的なもの。「窓」なら「窗」のこと。

    では、本字は旧字体ではないのか、というと、必ずしもそうではないらしい。
    ある時点で一般的だとその辞典の著者に判断されたものが旧字体となる。
    「窗」のように本字なのに一般的でないとされて、旧字体と認定されないものもあるらしい。

    甲骨文字が発掘されて、一気に漢字にとって遡れる時間が1000年も増えてしまった。
    そりゃあ、そんなに使われ続けていれば、音も、成り立ち、部首についての解釈も諸説分かれていくよなあ、とため息をつきつつ納得。

  • 国語辞典についての面白い本はいくつかあるし、漢字についての本もたくさんあるが、漢和辞典というのは珍しい。
    しかも面白い。読むと漢和辞典が欲しくなるが、巻末にちゃんと各漢和辞典別に特徴が書いてあるのが嬉しい。国語辞典はたまに買い直していたが、漢和辞典は高校入学の時買ったものを使っていた。理由は巻頭に書いてある通り、漢和辞典はたいして変わらないものだという思い込みがあったから。でも、これを読んで書店に行ったら、すごくわかりやすく、見易くなっていて驚いた。買わなきゃ。
    これを読んだら漢字について軽く1時間は語れる。それくらい楽しめる本。
    ある程度漢字に興味のある中学生以上の人皆に勧めたい。

  • [ 内容 ]
    「外郎」の「外」は「ウイ」と読む唐音だが、「唐音」って何?
    「龍」と「竜」はどちらが正しい?
    「政」の「正」は四画か五画か?
    「東」は木に日が昇るところか?
    「輝」の部首は「光」ではない?
    「鉄道」という熟語が載っていないのはなぜ?
    そして同じ字でも辞典によって部首や画数が違うのはなぜ?
    ―漢和辞典はナゾだらけ。
    しかしその根拠を知れば、千年以上にわたる日本人の漢字受容の歴史が浮かび上がってくる。
    あなたも使いこなして漢字の世界へどっぷりとはまりませんか?
    好みの漢和辞典がみつかるガイドつき。

    [ 目次 ]
    第1章 とりあえず漢和辞典を使ってみよう
    第2章 漢和辞典で漢字の音読みを調べる
    第3章 漢和辞典で漢字の形について知る
    第4章 漢和辞典で漢字の成り立ちを理解する
    第5章 漢和辞典を使いこなす
    付録 独断!漢和辞典案内

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    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 漢和辞典が気になる、使ってみたいけどどう使えばいいのかなあ、もっと使いこなしたいと思う人におすすめの一冊。実例もあげられ、わかりやすい。漢和辞典に親しみが持てる。ありそう、ない、漢和辞典を取り扱った本。

  • 漢和辞典の使い方を説明する本。
    漢字の意味を説明する。号泣の号を例にとる。
    音から伝わった年代を知る。呉音、漢音、唐音。
    部首から漢字の成り立ちと意味を知る。部首は形声の意義の部分。

    国語辞書を買ったのに最近は漢和辞典ばかり引いている。
    漢字は面白い。今まで読めない漢字を調べずに本を読み進めていたから知らないことばかりだ。
    漢和辞典とは古代中国の文化の文字を今に伝える辞書というロマン溢れる主張の本。

  • 辞書の中でも使いこなしが難しいのが漢和辞典だろう。筆者は長年にわたる漢和辞典の編集経験を通して、その見方や使いこなしの方法、漢字にまつわる様々なエピソードなどを開陳する。そこそこの漢字通でも知らないことが結構見つかるのではないかと思う。

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著者プロフィール

円満字二郎(えんまんじ・じろう):1967年生まれ。大学卒業後、出版社で国語教科書や漢和辞典などの編集を担当。2008年に独立。現在は、ライターとして漢字に関する辞書やエッセイなどを執筆するほか、東京や名古屋のカルチャーセンターで漢字に関する講座を持つ。著書に、『語彙力をつける 入試漢字2600 』(筑摩書房)、『漢字が日本語になるまで』(ちくまQブックス)、『漢字ときあかし辞典』『部首ときあかし辞典』『漢字の使い分けときあかし辞典』『四字熟語ときあかし辞典』(以上、研究社)、『漢字の動物苑』(岩波書店)など多数。

「2023年 『高校生のための語彙+漢字2000』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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