クジラは誰のものか (ちくま新書 760)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064660

作品紹介・あらすじ

「クジラはとても頭がよくて、神聖な動物」だが「乱獲で絶滅の危機に瀕している」から「食べるなんて野蛮だ」…。いまクジラ問題は環境保護の観点だけでなく、国際政治経済をも巻き込んだ一大事である。けれど、そもそも反捕鯨の国や団体の主張は正しいか。捕鯨は果たして「悪」なのか。どうしても感情的になりやすいクジラ問題を、あらためて歴史的、文化的、地球環境的、経済的に整理。その上で、人類とクジラのあるべき将来像を考察する。

感想・レビュー・書評

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  • 反捕鯨者
    クジラを食べるのは時代錯誤・絶滅に瀕している

    野生動物(クジラ)は自然的存在、家畜は人間が自然に介入して作る

    縄文時代から人間とのかかわりあった

    クジラを消費するか、しないのか

    地球上に現存するすべてのクジラ・イルカ類が絶滅に瀕しているのではない

    別種のクジラや別の魚のために間引きをしたほうが良いこともある

    日本では、商業捕鯨は禁止されているが、国際捕鯨委員会の枠組に入らない捕鯨(小型沿岸捕鯨)が営まれている

    クジラの多様性を重視する必要がある

    南極海(公海)で調査捕鯨行うから、より批判される

    西欧では、家畜と野生動物分ける

  • 捕鯨に関するSyntopicリーディングの7冊中の一冊。
    2008年に書かれ、2009年に出版された本であるので、民主党政権時代の最悪の捕鯨政策についてはまだ書かれていない。捕鯨支持の力強い感じを受けた。捕鯨の文化の地域性、民族性を訴え、反捕鯨への反論をしている。

  • 世界中で議論になっている捕鯨問題を,
    歴史,文化,環境など様々な面から考察している.
    やはり,クジラやイルカだけを特別扱いしているのには疑問を感じる.

  • [ 内容 ]
    「クジラはとても頭がよくて、神聖な動物」だが「乱獲で絶滅の危機に瀕している」から「食べるなんて野蛮だ」…。
    いまクジラ問題は環境保護の観点だけでなく、国際政治経済をも巻き込んだ一大事である。
    けれど、そもそも反捕鯨の国や団体の主張は正しいか。
    捕鯨は果たして「悪」なのか。
    どうしても感情的になりやすいクジラ問題を、あらためて歴史的、文化的、地球環境的、経済的に整理。
    その上で、人類とクジラのあるべき将来像を考察する。

    [ 目次 ]
    序章 クジラと人間
    第1章 クジラの浜
    第2章 クジラの経済学
    第3章 クジラと日本文化
    第4章 クジラと政治
    第5章 クジラとコモンズ
    第6章 クジラと人間の好ましい共存とは

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 『クジラは誰のものか』(秋道智彌、2009年、ちくま新書)

    クジラをめぐる諸問題。国連や「環境保護」団体によるクジラ保護への圧力。しかし、これらの動きは伝統的にクジラと文化的につきあってきた日本や他国の先住民などの利害と相反することもある。

    これまでの人間とクジラの文化的かかわりあいから現代のクジラをめぐる紛争まで、幅広く議論を展開している書である。

    (2010年3月21日 大学生)

  • ・現在世界で捕鯨賛成/反対は半々
    ・捕鯨問題と地球環境問題が現在混ざってしまっている
    ・感情論にならず,クジラ文化の多様性の評価を
    ・クジラをコモンズとして扱う

    →環境問題を切り口として共存への道を探る

  • sanctuaryを「聖域」と訳すのは一般的なのですかね?「禁漁区」「保護区」ではいけないのか?
    いずれにせよ資源量の現状の議論がないと、ただの感情論になってしまうのは、捕鯨賛成側も反捕鯨側も同じだと思うのだが。
    歴史があるからといって捕鯨していいって話にもならないだろう。特に日本のように「代替可能」な食料資源を他に有している場合は。
    また生存利用と商業利用の二元論に対する批判はわかるが、商業利用が始まると、生存利用のみの場合と比べて乱獲の虞れが大きいのではないか、という懸念があるのもまた当然だと思う。そのような反論に対してはどう考えているのだろうか。

    スーパーホエール論などは興味深い。
    フランス、南米諸国の南極海の聖域化問題は、南極の実質的な支配への足がかり的なものであるとも感じられるので、捕鯨だけの問題じゃなさそう。

  • 「クジラと人間との共存の道は決して閉ざされてはいない。」

    書評で見つけて、捕鯨問題が気になる私としては読まなくては!と思い読んだ。
    クジラと人とのかかわりについて、今ある捕鯨問題だけではなく歴史の中でまずは捉えられていた。
    人とクジラとは、過去からこんなにもかかわりがあったのだけど、現在ある問題は、そういう凄く長い歴史とかを無視して各々が突っ走っているようにも感じる。
    そんな現在に懸念を抱き、問題を正面から丁寧に捉えられていて、なるほど納得な1冊なのでした。
    本で解決はしないけれど、捕鯨問題のことを考えるなら・・・の入門書ではないでしょうか。

    【3/1読了・初読・大学図書館】

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著者プロフィール

1946年生まれ。山梨県立富士山世界遺産センター所長。総合地球環境学研究所名誉教授、国立民族学博物館名誉教授。生態人類学。理学博士。
京都大学理学部動物学科、東京大学大学院理学系研究科人類学博士課程単位修得。国立民族学博物館民族文化研究部長、総合地球環境学研究所研究部教授、同研究推進戦略センター長・副所長を経て現職。
著書に『明治~昭和前期 漁業権の研究と資料』、『魚と人の文明論』、『サンゴ礁に生きる海人』『越境するコモンズ』『漁撈の民族誌』『海に生きる』『コモンズの地球史』『クジラは誰のものか』『クジラとヒトの民族誌』等多数。

「2024年 『海とヒトの関係学6 海のジェンダー平等へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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