学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)

  • 筑摩書房
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レビュー : 535
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064707

作品紹介・あらすじ

近代日本最大の啓蒙思想家・福澤諭吉の大ベストセラー『学問のすすめ』。本書は歯切れのよい原書のリズムをいかしつつ、文語を口語に移した現代語訳である。国家と個人の関係を見つめ、世のために働くことで自分自身も充実する生き方を示した彼の言葉は、全く色あせないばかりか、今の時代にこそ響く。読めば時代情勢を的確に見極め、今すべきことを客観的に判断する力がつく。現代にいかすためのポイントを押さえた解説つき。

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、出版当初に一度読んだので今回再読となる。

    司馬遼太郎の「花神」を読んでいたときに、大村益次郎と同じく適塾で緒方洪庵に学んだ人物ではあるけれども、大村とは全く対極的な生き方をした福澤が描かれていたので、近いうちにもう一度この本を読んでみようと考えていた。

    福澤諭吉の「学問ノススメ」が当時の人びとの心をつかみ超々ベストセラーとなったほど魅力的な内容であることとともに、今どきの読者の心にストレートに伝わるように、分かりやすい日本語で現代的ニュアンスでもって伝えてくれている斉藤孝氏の現代語訳がセットであるという点が本書の良さであると思う。

    強い自身の信念のもと、周囲に媚びることなく、歯に衣着せぬ口調で是々非々を述べる生々しい福沢諭吉の講義が再現されていると感じる。

    目次は、ぜひ読後記録として列挙して残しておきたい。

    学問には目的がある
    人間の権理とは何か
    愛国心のあり方
    国民の気風が国を作る
    国をリードする人材とは
    文明社会と法の精神
    国民の二つの役目
    男女間の不合理、親子間の不条理
    よりレベルの高い学問
    学問にかかる期待
    美しいタテマエに潜む害悪
    品格を高める
    怨望は最大の悪徳
    人生設計の技術
    判断力の鍛え方

    本書のターゲットは、一般庶民。
    これまで学問がなかったために、見えない権力構造にコントロールされ、自らも委縮し続けてきた一般庶民に、明治維新の到来とともに明確になった本当の「平等」の意味を示し、そこを原点として一つひとつ世の中の本来の在り方、基本的な考え方を解き明かしていく。

    「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」

    この「平等」ということの原点が明確になると、ここまで政治や経済の基本原理も明確になるものか。国家と国民の関係、権利と義務のことをわかりやすく教えてくれる。

    平等というなら男女のこともそうだ。現代社会ですらセクハラだの人権問題など誤解があるが、福澤はすでにこの時から女性進出を訴えている。

    親子の関係性も当時としては全く革新的なくらい、子どもの権利を尊重し、大人の身勝手を指摘している。

    本当の平等の観点からみて、不合理なありさまがあれば、徹底的にこき下ろし、正しい観点を指し示す。

    本書は、対象読者は一般庶民だが、実は一般庶民の教育をかねて、当時のエセ学者や、パワハラ権力者に鉄槌を下すということも目的だったのではなかろうか。

    ともかく、どの視点で読んだとしても、論調に微塵のブレもなく、すべて明快な結論で結ばれている点で、読後のスッキリ感が心地よい書ではないだろうか。

  • 【本の内容まとめ】
    「人は学ばなければなら智はない。智もないものは愚かな人である。」
    人間は何もしなければただ愚かなだけであり、人生とは思っている以上に何事もなく終わってしまう。


    【内容まとめ】
    1.人は学ばなければなら智はない。智もないものは愚かな人である。
    2.学問本来の趣旨は、ただ読書にあるのではない。精神の働きにある。
    3.人生というものは思いのほかに悪事をなし、思いのほかに愚かな事をやり、思いのほかに事をなさないもの。


    【感想】
    何の為に学問をするか、その大切さがやや辛口で書かれている名著。
    確かに、人は学がなければ愚鈍でしょうもない一生を送る可能性が高いし、人生なんて何事もなく終わってしまうのは書かれてある通り。
    また、ただ単に読書を行なうのではなく、それを生活に活かして何かを得ないといけないのも本当に頷ける。

    思えば月30冊以上の本を読んで、自分は何を得ることができたのだろうか?
    成長しているのだろうか?
    その本に書かれてある事が落とし込めていないし、何も実践していないし、もちろん血肉にすらなっていない。
    これでは自己満足で終わっているだけで、実際には読書をしている時間をドブに捨てているようなものでしかない。

    勉強にしても読書にしても、ただイタズラに乱読していてもいけないよなぁ。
    しっかりとインプット・アウトプットをしなくちゃいけないし、たまに読み返さないと何にもならん!

    「このままではいけない!」という気持ちが掻き立てられる、名著です。


    【引用】
    「人は学ばなければなら智はない。智もないものは愚かな人である。」
    一生懸命にやるべきは、普通の生活に役に立つ実学である。


    p22
    ・本を読むことだけが学問ではない
    文学は学問をするための道具にすぎない。
    「論語読みの論語知らず」で終わる
    →実生活に役立つ「実学」を中心に行わないと、単なる趣味で終わる!


    p25
    見た目は雲泥の差だけれども、その人が生まれつき持っている人権に関しては、まったく同等で軽重の差はない。
    権利においては違いがない!
    →「いち人間」としてのスタートラインは何ら変わらない!


    p40
    ・今川家の滅亡とフランスの独立
    駿河の軍勢が蜘蛛の子を散らすように逃げ去って、当時名高かった駿河の今川政府は跡形もなく滅びてしまった。
    一方、普仏戦争で皇帝ナポレオンは捕虜になったけれど、フランス人は望みを捨てることなく戦争を続け、和睦に持ち込んだ。

    自分自身がお客様のつもりになる今川軍勢、国を思うものが多くて困難を自分の身に引き受けて、自ら自分の国のために戦うフランス軍。


    p150
    【品格を高める】
    ・演説のすすめ
    スピーチをすることが大切なのは言うまでもない。


    p153
    学問本来の趣旨は、ただ読書にあるのではない。精神の働きにある。
    本を読まなくてはならない。
    本を書かなくてはならない。
    人と議論しなくてはならない。
    人に向かって自分の考えを説明しなくてはならない。
    これらの方法を使い尽くして、初めて学問をやっている人と言えるのだ。


    p156
    ・物事の様子を比較して、上を目指し、決して自己満足しないようにすること。
    →こちらの全体とあちらの全体を並べて、それぞれの良いところと悪いところを余さず見なくてはならない!


    p178
    ・多くの人は事の難易度と時間のかかり方を計算しない
    将来に長い期限をとって言う時には、大層な事を計画しているようだけれども、期限がだんだん近くなって今日明日と迫ってくるに従って、その計画の経過をはっきりと言えないという事は、結局事を企てるにあたって時間のかかり方を計算に入れない事から生じているのである。

    人生というものは、思いのほかに悪事をなし、思いのほかに愚かな事をやり、思いのほかに事をなさないものなのである。


    p180
    ・棚卸しのすすめ
    時々自分の心の中でプラスマイナスの差し引き計算をしてみること。


    p190
    ・疑った上で判断せよ
    →文明は疑いが進歩させる。
    →信じることには偽りが多く、疑うことには真理が多い。

    とは言っても、物事を軽々しく信じていけないのなら、またこれを軽々しく疑うのもいけない。
    信じる、疑うということについては、取捨選択のための判断力が必要なのだ。
    その判断力を養うのは学問。


    p203
    孔子も「自分であれこれ考えるのは、学ぶことには及ばない」と言っている。
    多くの本を読み、多くの物事に接し、先入観を持たずに鋭く観察し、真実のありかを求めれば、信じること疑うことはたちまち入れ替わって、昨日信じていたことが疑わしくなることもあるだろうし、今日の疑問が明日氷解することもあるだろう。
    学問をする者は頑張らないといけない。

  • なんで今まで読まなかったんだろう。
    この一言に尽きます。
    過去に書かれた内容なのに今に通ずるものがあり、遠い未来でも通用するのではないでしょうか。
    自立した人、そうした人々の代表である政府、全体としての国。すべては一個人に依るのであり、今の政府は今の国民の写し鏡である。ということ。
    学び方、国のあり方、コミュニケーションなど今日必要な内容がこもった一冊だと感じました。

  • 新鮮な驚きが詰まっている一冊でした。
    「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」
    誰でも知ってるこの一文ではじまる「学問のすすめ」。
    著者は慶応義塾の創始者である福沢諭吉でありますが
    この人だてに一万円札の肖像はってません。

    確かに、理想論や極論に感じるところや、ちょっぴり苦笑してしまうところもあったけど
    21世紀も10年以上過ぎた今読んでも、全然普通に受け止められて納得できるはなしがいっぱい。
    幕末、明治維新と激動の世を体験しているとはいえ、明治の時代にこんな教えを説いていたとは、すごい革新的で想像力のある人だったんだなぁ。
    歯に衣を着せぬ物言いで、バッサバッサと一刀両断していくけど
    すごく柔軟で本質を突く観察眼のあることがよく分かります。

    この本もっと学校の教科書とかで使えばいいのに。
    でも、子供のころ読んでも今ほどは響かなかったかな。
    大人になってからのほうが素直に読めるかもしれません。

  • 「天は人の上に人を作らず、人の下に人を造らず」で始まる「学問のすすめ」の現代語訳。この本は1872年~1880年の9年間で計17編の分冊が70万冊も売れた大ベストセラー。当時の日本はどのようにすれば国や個人が独立し、植民地化を防いで近代化できるのか、皆で考えなければならない状況にあった。(あとがきより引用)

    (印象に残った箇所)
    ・「一身独立して一国独立する(個人の独立があって国も独立する)
    >まずは自分自身が独立するようにつとめ、余力があったら、他人の独立を助ける。これによって一国を豊かにすることができれば、西洋人の力など恐れるに足りない。道理がある相手とは交際し、道理がない相手はこれを打ち払うまでのこと。」

    ・忠臣蔵四十七士の敵討ち>「乱暴人の私裁」とバッサリ。

    ・正しい自己アピールの方法
    1.言葉遣い>より多くの言葉を使って簡潔に説明する。
    2.表情>笑顔
    3.関心をさまざまにもち、多方面で人と接する・・・。
    「人間のくせに、人間を毛嫌いするのはよろしくない。」

  • 変なビジネス書読むなら、大人しくこれ読んで下さい。

  • 「天は人の上に人を造らず」はあまりに有名な言葉かもしれない。権利と義務の関係があって、国と平等な関係が築かれる。貧しい者と富のあるものの差は教育にある。ルールに厳しい政府があるとしたら、無知な国民が多いから。
    学者の様な発想よりも実学を大切にするのは、日本が貧しい時代で経済や軍備優先の時代というのもあるのではと感じました。今の時代だと教養も国際社会で付き合って行く上では大切な気もします。

    全体的にはひとが生きていく上で大切なのは考える力とか、依存による力関係ではなく平等な機会や権理と義務。男女の平等観などは、民主主義を標榜するなら、今でも通用する考え方の様なきがしました。
    強権国家の中国も学問が拡がれば変わっていくのだろうか。

  • 先輩の私物をたまたま譲り受けた一冊。現代語訳版だけど、著者の"快活さ"を損ねておらず、その時代に本当にこの本の内容を国民に伝えたくて書いたことが伝わってきた。また、21世紀を生きる自分にとっても心に刺さるような箇所がいくつもあった。皆平等に権理を有していること、正しい政府と国民の関係を意識すること、日本国民として気概を持つこと、中身のある勉強をすること、などなど。約150年前に書かれた本だけど、人ってなかなか変われないんだなと。"国民皆学"、意味のある勉学に励むことを改めて意識しないとなあと強く感じた。また、勉強が嫌になったら読み返したい。


    国の文明は中間(middle-class)から起こる。

    もっと頑張りたい。

  • 新しい日本を作り出した人ならではの強いメッセージがあり、心に響いた。
    「衣食住を得るだけでは蟻と同じ」
    私は生活ができているだけで満足してしましまっていた。また私たちに愛国心はあるのだろうかと疑問に思ってしまった。

    私たちは強く大きい人・国の主張を信じる。西洋が日本を含むアジアに対して、間違っていると思っていれば間違っているのか?正しい人・国が言ったから正しいのではない。先入観を捨てて、自分の目で観察すべき。それは今のネット社会でも言える。

    周りの意見に流されず、自分を持ち独立することで強い人間になることが私には必要だと感じた。

  • 源綴ではない現代語訳ではあるけども、三十路を越えて初めて、読んだけども。
    一万円札の座に君臨する理由に納得。

    これが、発刊当時は、明治の学者ではなく一般のそれも、小学生にも分かりやすく書かれた内容だというのだから驚きだ。
    学問なんて、大業なタイトルだが、空理空論が語られるのではなく、まさに実学の指南書。

    慶應出身に経営者で、その他の社会貢献活動に携わってる人が多いのもうなづける。

    物事を客観的に見る、時代や経済やあらゆるものを見る大局観が物凄い。
    明治に書かれたものであるが、そのまま現代にも十二分に適用応用できる内容にも驚愕。それだけ、真理をついているということなのか。

    小中高と、何処の誰が作って編集したんだか分からない教科書ってものに、感動なんてしたことは一度足りともないが、顔が見える人物が書いた教科書としては、非常に説得力があるな。

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著者プロフィール

1835年大坂中津藩屋敷生まれ。54年蘭学を志し長崎に出る。翌年緒方洪庵の適塾入門。56年福沢家の家督を継ぐ。58年江戸中津藩中屋敷に蘭学塾を開くが、翌年英学に転向。60年軍艦咸臨丸でサンフランシスコへ渡航。62年幕府遣欧使節随行員としてヨーロッパを歴訪。68年塾舎を芝新銭座に移転、「慶應義塾」と命名し、71年には三田へ移転。90年慶應義塾大学部を設置。1901年、66歳で死去

「2017年 『文明論之概略 ビギナーズ 日本の思想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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