アニメ文化外交 (ちくま新書 782)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 209
感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064875

作品紹介・あらすじ

ミャンマー、サウジアラビア、イタリア、スペイン…。作品タイトルを聞くだけで悲鳴をあげ、人気アニメのエンディングの振り付けをマスターする海外のファンたち。日本のアニメは、想像を超えて世界に広がっている。本書では、日本のアニメが世界でどう愛され、憧れの的になっているかを、現地の声で再現。また、このアニメ文化を外交ツールとして積極的に活用する意義を論じ、加えてそのための戦略をも提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 外務省アニメ文化外交にかんする有識者会議の委員として、世界各地で日本のマンガ・アニメの講演をおこなってきた著者が、世界で日本のマンガ・アニメが熱狂的に受け入れられている現状をレポートするとともに、これからの「アニメ文化外交」の課題を論じている本です。

    おもしろく思った点と、すこし疑問を感じた点がひとつずつあります。まず、おもしろいと思ったのは、アニメを通して日本に強い関心をもった世界の人びとが、「官」の人たちの心を動かしているということです。日本のサブカルチャーに「官」がかかわることを批判する論者もいて、たとえばマンガの原作者であり「左翼」の立場を堅持する大塚英志は「国策としてのマンガ・アニメ」に明確に反対の立場をとっていますし、マンガ家の江川達也もそれに近い発言をしていた記憶があります。もうすこしアカデミズム寄りのサブカルチャー批評家たちも、「クール・ジャパン」の掛け声には冷めた視線で見ている印象があります。しかし、本書で紹介されている著者の情熱的な外交努力や、巻末で著者と対談している外交官の山田彰のことばを読んで、アニメ文化外交を進めていくのも、けっきょくは「官」のなかの「人」なのだということに気づかされたように思います。やや強引な議論だという気もするのですが、著者のように情熱的な「人」でなければ、アニメ文化外交の努力も海外のファンを動かすことはないのだろうとも思います。

    一方、少し疑問に思ったのは、マンガやアニメに代表されるサブカルチャーにどれほどの伸び代がのこされているのかという点です。著者は「ここ数年、アニメのDVD海外市場は縮小傾向にあるが、その最大の原因が違法ダウンロードにある」と述べていますが、それだけではないでしょう。日本の優位はそう簡単には揺るがないという意見もありますが、海外のクリエイターがそだってくれば、ますますかぎられた大きさのパイをうばいあうことになるのではないかという気もします。

  • 前半の世界各国でアニメが受けているという内容は一章にまとめられるはず。冗長だった。主題と関わらないけれど、タイの人がカラオケ好きで、川向こうまで聞こえてくるという記述に笑った。

  • 2022年7月~9月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00282641

  • はじめに
    日本のアニメが世界で特別なものになっている。

    第1章
    ミャンマーでは、ヨーロッパで人気のアニメの認知度が低い。
    サウジアラビアの講演は来訪者とのコミュニケーションがよくとれていた。
    違法なサイトでの動画視聴を将来的に解決しなければならない。
    日本のアニメは教育にも関わっている。
    イタリアのマンガは横文字なのに右開き。

    第2章
    インターネットでの違法配信やダウンロードは日本アニメのクオリティーを下げている。
    カンボジアはミャンマー以上にアニメの認知度が低い。

    日本のアニメは世界でも特別なものとして多くの若者に知られているが、インターネットに上げられている違法配信やダウンロードがそのクオリティーを下げてしまっていることを残念に思った。もっと多くの人々に知ってほしい。

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1203/K

  • 【由来】
    ・amazonで「アニメとプロパガンダ」の関連本で。

    【期待したもの】


    【要約】


    【ノート】

  • 今も世界情勢大差ない、もっと活動して欲しかった、残念

  • 2009年刊。アニメ文化をテーマに海外講演、フィールドワークに携わる著者が語る海外での日本アニメの隆盛の模様が本書。◆やや楽観的な見方とは思うけれど、ディズニーや米国ドラマが60年代の日本他の国の人々に与えた影響(親米化)を考えると、映像作品が外交、親日感醸成(特に子供や青少年)に意味あることは確か。ドラえもん(特にアジア)、グレンダイザー(EU。アーサー物語だから?)の影響の高さは割に著名だが、それ以外(ハガレンやNARUTOは兎も角、ハルヒの海外での高評価はやや意外)にもあるというのは心強い。
    さらに外交事務当局を介した作品上映会や試写会、現地TV会社への紹介・仲介も、実は安価なわりに効果的な方法かもしれない。◆そういう意味でアニメーション制作会社の経営安定の重要性を感じざるを得ない(現実に制作会社が小規模だし、著名作品を制作していたのに最近潰れたのも)。海賊版・違法ダウンロードの問題を地道に伝道している著者の姿勢には頭が下がる(「SHIROBAKO」や「それが声優」が有益に作用すればいいが)。◆一方で、ディズニーやピクサーのような金銭的に余裕のない日本アニメが、ネット動画で海外に拡散した意義。
    違法アップ・ダウンロードの問題(制作会社の利得減少に直結)を認識しつつも、ネットのかような意義を忘れ去ることは難しい。特に、中東・東欧に広がったことを見ると猶更。この手の書籍を見るたびに思わずにはいられないところ。◆なお、海外での反響や声には吃驚したが、中でも一番驚いたのは、独での「日本アニメは平和をテーマにしたものが多いが、それは政府のプロパガンタなのか」という問いかけ。

  • 実際に世界中のアニメファンと触れ合った実体験が語られるのが面白い。著作権保護まで含めて「正しい理解」を求めようとしている真摯な著者の姿勢がいい。今後求められるべきは、アニメが開いた日本文化への窓口をどう活用するかという行政側の対応だろう。

  • 日本人の女の子のファッションに憧れてるフランス人の女の子の話が気になった。
    満足度5

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著者プロフィール

コンテンツメディアプロデューサー

「2013年 『日本が好きすぎる中国人女子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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