人の気持ちがわかる脳―利己性・利他性の脳科学 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 78
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064998

作品紹介・あらすじ

人は、他人の気持ちを知りたいと思っている。それはヒトが社会的な動物で、私たちの日常が人と人との相互関係から成り立っているからだ。では人の心がわかりたいという人間の究極的本性は、駆け引きをして相手を出し抜くことなのか、社会全体のために助け合うことなのか。精神科医である著者の臨床例を参照しながら、最新の脳科学や社会神経科学の知見をもとに、人が人とうまくつきあうことの生物学的意味を問う。

感想・レビュー・書評

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  • 非常に分かりやすくて面白かった。
    日常的な例も交えながら最新の脳科学の知見を解説している。
    著者は精神科医だが,臨床例や臨床問題を扱った書籍というよりも,研究色の強いもののように感じた。

    が,それでも,非常に分かりやすいし,著者の知識量の多さには驚き。

  • 駆け引きをするにも協力するにも、人の気持ちがわからなくては始まらない。だから誰もが人の気持ちを知りたいと思っている。
    周りの人は今、何を思っているのか?自分はどう思われているのか?

    生物の行動や自然現象は、科学の発達でだいぶ理解が進んできた。理解に基づいて対策も立てられる。
    人の気持ちはそういうわけにもいかない。

    相手を信頼していると、その相手の心や行動の予測がしやすくなる。信頼関係がない相手だと全く予測できなくなる。

    他人の心を知りたいのは、この社会で生き延びるためだ。
    少し前まで、人の心を扱うのは哲学の仕事だった。人の感情は科学で推し量ることができないと信じられていた。
    しかし脳科学の発達に従い、心と脳のの距離は縮まりつつある。心脳問題。
    脳科学のブームによって、心の現象は脳で起きている出来事だということが常識になってきた。心の問題は他人事ではなく身近なことになった。

    人の脳は取り出してすりつぶして成分を調べるというわけにはいかない。
    そこで機能的MRIという検査法を用いるようになる。課題をこなしている間、脳の血流が激しい部位がどこかを調べる。血流が多い場所が脳の反応している部位だ。それで、脳の部位には得意分野があることがわかってきた。

    脳は、社会の中で生きていけるように進化してきた。不公平を憎み、時に不合理な選択もする。脳内物質のセロトニンは、不公平を拒絶する。セロトニンは「人間の価値観を決める」物質である可能性がある。セロトニンを調整する薬品は発見されている。
    価値観を変えるような治療をして、社会復帰できたとする。個人の価値観は治療や薬品で変えてもいいものなのか?
    人は何のために生きる?生きる目的は何だ?

    私は脳の何が知りたいんだろう?

  • 若手精神医学者のわかりやすい本。「社会脳」についてのわかりやすい解説がされている。自分が受ける不公平・不公正に対して、自己の利益を犠牲にしてまで、不公平・不公正をただそうとする「利他的懲罰」は、極めて人間的な行動であるが、その生物学的基盤、つまり脳の働きまで解明されてきたというのは、今後、いろいろな精神現象が脳機能で説明できる時代が近づいていることを予測される一方、今まで以上の医学倫理が求められてくると思いました。

  • 人がどうして利他行動を起こすのか、そのメカニズムにのめり込みました。脳の各部位を楽団の演者に喩えるなど、表現が分かりやすくてよかったです。

  • 利他性の意味、利己性の意味、
    科学的見解を分かりやすく理解できた。
    仕事が順調にいっていることよりも、周りの人たちのとの気持が心に占めるウエイトが大きい意味とは何か?

    •ハト派、タカ派Game
    •囚人のジレンマ
    •人間は本来、自分の利益だけを優先しているのではない。不公平、不利益な提案に対して、自分の利益を犠牲にしても、その提案を拒否する、そして一矢報いる。
    •携帯電話の気持

  • とても解りやすい文章と構成で、ストレスなしに読めました。
    「トロッコのジレンマ」と「歩道橋のジレンマ」課題で人が悩み葛藤している脳活動を計測した実験があったとは驚きでした。その他にも色々な実験の紹介がなされていて興味深く読みました。

  • 脳の仕組みについて詳しく書いてある。
    人が駆け引きをしたり不公平を感じる時
    脳はどういう仕組みになっているのだろうか、ととてもわかりやすい。


    個人的にはα(他者から受ける不公平)・β(自己が与える不公平)やトロッコタイプのジレンマ・歩道橋のジレンマのあたりが興味深かった。
    文章としては一般的に書かれてあり、
    わかりやすいが深く知りたいという人には少し物足りないかも。

  • [ 内容 ]
    人は、他人の気持ちを知りたいと思っている。
    それはヒトが社会的な動物で、私たちの日常が人と人との相互関係から成り立っているからだ。
    では人の心がわかりたいという人間の究極的本性は、駆け引きをして相手を出し抜くことなのか、社会全体のために助け合うことなのか。
    精神科医である著者の臨床例を参照しながら、最新の脳科学や社会神経科学の知見をもとに、人が人とうまくつきあうことの生物学的意味を問う。

    [ 目次 ]
    第1章 人の気持ちがわかるのは難しい?
    第2章 駆け引きする脳
    第3章 「駆け引き脳」を超えて
    第4章 不公平は許せない
    第5章 無償の利他性
    第6章 利他性・利己性のバランス
    第7章 道徳と脳

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    [ 参考となる書評 ]

  • 人間の価値観は自分自身で、あるいは親や周囲の人が、あるいは精神科医やカウンセラーが価値観に関与する脳の働きに影響を与えることによって、変更を加えることができる。そしてどういう変更を加えるべきかというその価値観自体も、私たち人間の脳が生み出している。
    現時点の価値観事態が自分の価値観に影響を与えるというと、どうどうめぐりになって答えが出てこない。

  • 本書単独でも読めるが『社会化した脳』の続編らしい。しかもまだ続きそう。

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著者プロフィール

1966年大阪府生まれ。京都大学大学院医学研究科修了。医学博士。マックスプランク認知神経科学研究所、京都大学医学部附属病院助手などを経て、現在 京都大学大学院医学研究科精神医学教室教授。専門は臨床精神医学、行動神経学。著書に『社会化した脳』(エクスナレッジ 2007)『人の気持ちがわかる脳』(ちくま新書 2009)、訳書にシュピッツァー『脳:回路網のなかの精神』(共訳、新曜社 2001)Hartje/Poeck『臨床神経心理学』(共訳、文光堂 2004)、ガミー『現代精神医学原論』(2009)『現代精神医学のゆくえ』(共訳、2012、以上みすず書房)などがある。

「2020年 『現代精神医学原論 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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