完全教祖マニュアル (ちくま新書)

  • 筑摩書房
4.07
  • (123)
  • (126)
  • (64)
  • (9)
  • (6)
本棚登録 : 1250
レビュー : 140
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065131

作品紹介・あらすじ

多くの人をハッピーにしながら、大きな尊敬を受ける-教祖ほどステキなビジネスはほかにありません。キリスト教、イスラム、仏教などの大手伝統宗教から、現代日本の新興宗教まで、古今東西の宗教を徹底的に分析。教義の作成、信者の獲得の仕方、金集め、組織づくり、さらには奇跡の起こし方-あらゆるシチュエーションを実践的に解説した本邦初の完全宗教マニュアル。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「困難に直面した時の具体的な対応は、全て歴史から学べるということです。」(第六章 困難に打ち克とう)

    もしあなたが教祖を目指すなら、ぜひ読むべき一冊です。
    そんなつもりはないという人も、読んでおくといいです。わりと本気で。
    「教祖」になるには… と考えることは、どのように人々を巻き込むかや、どのように金を稼ぐかといった問題を考えることに他ならないから。

    立派な教祖ってなんだ、と考えながらキリスト教、イスラム教、仏教の世界三大宗教をはじめとして、そのなかの宗派や、マイナーな宗教たちを見つめると、それぞれが生き残るためにどのような工夫をしてきたかが、明らかになる。
    そんじょそこらのビジネス書より頭に入って役に立つ。

    「神を機能的なものとして考えなければなりません。 … つまり、現実社会の問題に即して、いま必要とされる神を作れ、ということです。」(第一章 教義を作ろう)

    「『オレって何不自由ない王子だと思ってたけど、老いとか病気とか死とか全然免れないじゃん!オレって実はスッゲー困ってるじゃん!』と彼が気付いたのが、そもそもの仏教のスタートなのです。釈迦はこの認識により、『何となく受け止めていること』を『困っていること』に変え、それを解決するための宗教を作ったわけですね。 … この辺りは宗教者としての彼の突出したセンスと言えるでしょう。」(第三章 信者を保持しよう)

    「日本において最も東京ディズニーランドに近い宗教建築は伊勢神宮です。西行法師は伊勢神宮を訪れた際に次のような歌を詠んでいます。
    『何事のおはしますをば知らねども かたじけなさの涙こぼるる』
    … そこにどんな神がいるとか、どんなありがたいことがあるとか、そんなことには関係なく、とにかくそこにいるだけで涙がこぼれてしまう程に、伊勢神宮は『別世界』だったのです。
    … というわけで、あなたも教団本部を作る際は、ディズニーランドや伊勢神宮のような『一歩入るだけで別世界』のニュアンスを出せるよう頑張って下さい。」(第五章 布教しよう)

    「現代でもコレクターが高値でトレーディングカードの取引をしていることはよく知られてますが、種類があれば揃えたくなるのが人の性というものです。コレクション要素を高め、さらに『救済』という付加価値まで付けた御朱印は、日本特有の免罪符として卓越したやり方であったと言えるでしょう。 … 免罪符もやり方次第なのです。」(第七章 甘い汁を吸おう)

    それが教祖のやり方や!

  • なんじゃそのタイトル

    って、思うでしょう?
    でも、掛け値なし、そのまんまの内容です。

    教祖マニュアルなので、宗教の何たるかも理解できるようになってます。
    だから、宗教ってどういうものよ?という知的興味の為に読むのもよし。
    ちょっとナナメな視点から、シニカルな笑いを浮かべて、あるいはもっとストレートにジョークとして読むのもよし。
    または、本気でこれを傍らにおいて教祖を目指すのもよし。
    読み方は人それぞれ。

    個人的には、序章の「教祖とは(宗教とは)人をハッピーにするお仕事です」というのは目からウロコもんの名言。
    そのちょっと後の、今では世界中に広まり、押しも押されもせぬ一大宗教の○○○○教だって、発足当時はヤバイカルトだったんだぜ、という部分も含めて、
    とかく偏見を持ってみられがちな宗教、とくに新興宗教というもののとらえ方に一石を投じる卓見ではなかろうかと思います。

    一見穿っているようで、その実世間一般のイメージに構わず、シンプルでフラットなものの見方を提供してくれるのが、本書をはじめこの著者の作品の魅力です。

  •  よもや、本気で「教祖になろう」と考えて本書を手にする者はおるまいな(笑)。
     これは、“教祖を目指すあなたに贈るマニュアル形式のハウツー本”を擬して書かれた、パロディ色の濃い宗教(学)入門である。テイストとしては、パオロ・マッツァリーノの傑作『反社会学講座』に近い。

     『反社会学講座』は某大学で准教授をつとめる社会学者が変名で書いたらしいが、本書についても、「じつは、ほんとうの著者は某大学で教授をつとめる40代後半の宗教学者だ」と言われても、私はすんなり信じられるだろう。それくらい、笑いにくるんだ宗教入門としてよくできているのだ。

     実際には、著者2人(役割分担がよくわからないが)は1980年代初頭生まれでまだ30歳になるやならずの若手ライターである。この若さでこれほどの本が書けるというのは、ライターとしてすごい力量だ。

     ただ、本書には根深い宗教蔑視が通奏低音として流れているので、私としては、あまり大っぴらにオススメする気にはなれない(各宗教の生真面目な信者が読んだら、激怒するかも)。だがそれでも、知的エンタテインメントとしての質の高さは認めざるを得ない。

     たとえば、本書からおふざけの要素を削ぎ落とし、内容(紹介しているエピソードなど)はそのままで真面目な文章にリライトしたなら、岩波ジュニア新書の一冊として、『高校生のあなたに贈る宗教入門』とでも題して刊行することが可能だろう。
     むろん大人にとっても、さまざまな角度からの問題提起を盛り込んだ宗教入門として読むことができる。

     宗教にくわしい人ほど笑える本だし、その笑いの底には「宗教とは何か?」という根源的問いかけが秘められている。

  • 宗教団体をコミュニティと意味付けると、教祖はリーダーとかコミュニティを引っ張るファシリテーターということになり、良いコミュニティを作ったり良いファシリテーターになるヒントがあるかもしれないと思い購読。無理やりそういう観点で読めばそう思えることも少なくないが、タイトル通り教祖になるためのマニュアルに徹しているのでどうしてもそっちに引っ張られる。本書の中には宗教を冷静に分析している部分もたくさんあって、それはそれで参考になる。宗教もコミュニティも、世界や活動の意味をどう解釈するべきか、そして参加者をどう幸せにするかを考えているものであり、やはり共通点は多い(はず)。

  • 教祖を小ばかにしながらも、なりたいかは別にして実践すればなれるかもと思う本。著者が教祖になっていないのは、やり方はわかるがやってないだけ、ということだろうか。
    ・普通の人は新興宗教の言ってることは頭から疑ってかかりますが、科学だと言い張りさえすれば、無条件で信じるところからスタートしてくれるのです。
    ・科学自体は論理的かもしれませんが、私たちは非論理的に科学を信用し、それを利用しているのです。非論理的な信用は、つまり「信仰」ですよね。この意味で、科学は確かに宗教であると言えます。しかし、私たちはしばしば科学を「信仰」していることを忘れ、絶対的心理であるかのように錯覚してしまいます。
    ・悟りとは要するに「脳みその錯覚」だと思われます。ですから、この錯覚を意図的に発生させる方法や思考法を確立できれば、あなたは自分でも悟れるし、人を悟らせることもできるんじゃないでしょうか。なお、この方法を2500年前に確立したインド人がいます。ゴータマ・シッダールタ、すなわち釈迦です。仏教は釈迦の完成した「完全悟りマニュアル」だと考えても良いでしょう。

  •  「教祖は人をハッピーにする仕事」という視点で、旧来の宗教がいかに魅力のある教義を生んで多くの信者を抱えることになったのか、その経緯を紐解いていきながら、人をハッピーにする教祖になる手ほどきを示していくハイブリッド実用書(ラノベの書き方と近代文学の俯瞰を同時進行解説する大塚英志の『キャラクター小説の作り方』のようなノリ)。
     イエス、ムハンマド、釈迦のような現在の私達と変わりのない人間のおっさん(語弊があります)が当時の社会の中で何を考えて行動したのかについて追っていくことで、いかにボクが宗教を時間・歴史のフィルターを通して眺め、認識を誤っていたかについてかなり自覚させられた。日本人の宗教アレルギーは、生まれた時から宗教が「はじめからあるもの」で「自分たちに直接関わりのないもの」ゆえの偏見なのかも。そんな宗教アレルギーを持つ人にはポップな入門書としてきっと役に立つので、星5つ。

    (蛇足)先輩が読んで感想を聞かせて欲しいと言って、本書をボクに貸してくださった。良い本をありがとうございました。本書とは関係ないけど、宗教への理解を深めていくほど、日本人は宗教ではないけど宗教っぽいものは沢山あるなーと思った。「Twitterの◯◯クラスタは宗教」とか「はてな村は宗教」とか「東方projectは宗教」みたいに言われるのを見ていると、日本人は無宗教のようで宗教チックな行動してるよなーって思った。
    (追記)蛇足の最後、日本人は無宗教であるがゆえの豊かな宗教的感受性を持っている、というのが本来言いたかったこと。

  • 宗教版ビジョナリーカンパニー

    宗教をプログラミング言語とかフレームワークにしても違和感なさそうだと思った。
    また、世の中には広義の「信仰」が溢れているっぽい。「イスラム教徒とおばさんたちの違いは、ムハンマドの予言に従うか、みのもんたの御託宣に従うかの違いでしかない」とか、エコの概念とか。
    単純に、宗教に関してここまでラフに書いてくれている本もあまりなさそうだし、宗教入門書としてもいいかもしれない。

  • 教祖になるための手順が初心者にもわかりやすく解説された良書。
    歴史から客観的に導き出された理論により教祖として成功する秘訣を学べます。
    食事制限や服装制限など外から見ると不思議な教義も、信者が信仰を自覚するために必要な要素であることなど新たな発見が多かったです。
    学んだことをすぐに実践してみようと思える実用書になっており、これから教祖を目指す方必読です。

  • 「コメディタッチのドキュメンタリー」という位置付け読むと、この浅はかさ丸出しの「言い切り」「楽観的」「教祖も信者もひっくるめて宗教を小馬鹿にしすぎ」というテイストも「演出」として、まぁ「有り」かなと。
    マイケル・ムーア監督作品のような受け止め方で丁度良い。間違っても正座して崇めるものではない。

    演出は面白おかしく、シニカルでジョークっぽく書かれているが、「困っている一般の人々」に「少しのお金」と「儀式から得られる精神面のハッピー体験」を交換し、また「苦しむお金持ちや権力者など」にも「大金」と「救済」を交換し、その集めた大金のほとんどを寄付して、信頼と尊敬を得ようと説くこの構造は、企業のマーケティング活動にも重なる。大衆と組織の関係性そのものと言って良いかもしれない。

  • 反社会的思想を世に拡げていく為のノウハウがポップに書かれていますが、参考例として三大宗教の宗教的価値観が丁寧に説明されているため、宗教学の勉強になります。というのはほぼ建前で、「物は言いよう」な論理展開と文章力が面白いため最後まで読む価値ありです。群集心理の極端な例として捉えると、ビジネスにも応用できるかと思います。基本的には話のネタとして楽しむ本!

全140件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1980年生まれ。広島県出身。作家。著書に『仁義なきキリスト教史』『完全教祖マニュアル』(辰巳一世との共著)など多数。

「2020年 『仁義なき聖書美術【新約篇】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

架神恭介の作品

完全教祖マニュアル (ちくま新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする