現代の金融入門 [新版] (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 108
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065292

作品紹介・あらすじ

金融のビジネス・モデルに大きな変革が求められている今、第一人者が金融を原点から考え直す。情報とは何か、信用はいかに創り出されるのかといった、金融の本質に鋭く切り込み、平明かつ簡潔に解説した定評あるロングセラー『現代の金融入門』を、金融危機の経験を総括すべく全面改訂。アメリカの金融におけるリスク取引の功罪を明らかにし、金融システムの安定に必要な規制・監督の仕組みを考察。あわせて、資産価格バブルと非伝統的な金融政策の効果についても検討する。

感想・レビュー・書評

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  • 金融、銀行、金融政策、バブル、コーポレートガバナンス、デリバティブ、証券化、金融規制などについて分かりやすく解説してくれる本

  • 「金融」に関する入門的な解説書。
    新たな知見を得られるというよりも、既知の知識を体系的に整理し、深めることができた、という点でたいへん有益でした。
    [新版]への改版時期がサブプライム問題に端を発する世界的金融危機と重なったこともあり、「金融取引」「銀行システム」「金融政策と中央銀行」といったプリミティブな金融論だけでなく、「資産価格とそのバブル」「金融機能の分解と高度化」「金融規制監督」といった極めて現代的なテーマにも紙幅が割かれています。
    「日本の企業統治」という、一見「金融」とは直接関係にないテーマも取り上げられているのが興味深かった。

    そこで解説されているのは、市場か規制かという近視眼的な二者択一ではなく、市場的政策により効率を高めつつ、情報の非対称性や外部経済などの市場の失敗に対しては合理的な規制であたるべし、という極めて常識的な議論であります。
    制度設計、政策選択にあたっては、それが誰に対してどのようなインセンティブを与えるのか、いかなる弊害(モラルハザードなど)を生ぜしめる結果をもたらすのか、といったことについての冷静な分析こそが必要である。

    中央銀行の金融政策や、金融工学に触れた部分など、もう少し深く突っ込んで欲しかった感はありますが、このあたりは「あとがき」にも一部紹介されているように、他の専門書にて学ぶべきなのでしょう。

  • 金融の意義から説き起こし、金融派生商品や金融規制の意味まで、原理原則に立ち返って説明しています。

    『金融入門』というタイトルですが、決して読者を低く見た単純な初心者向けではなく、その元となるロジックから説明した内容で、勉強になりました。難解というわけではなく、その逆で平易とは言わないまでも読者にできるだけ正確な理解をしてもらおうとして書かれているのがよく分かる記述でした。

    リーマンショックなど信用収縮だ何だと、何かが起きているのは分かるんだけ、いまいち腑に落ちないなと感じていたむきなどにはたぶんお勧め

  • 金融の入門書とされる。経済学部の学生や銀行など金融機関に勤める予定の方は一読をすすめる。金融取引、銀行システム、中央銀行、金融規制、デリバティブなど金融について学ぶ上で触れておくべき事柄について網羅されている。

  • 金融の入門書とされる新書。入門書だが…、文体が少し小難しい印象だ。何というか、回りくどいと言うか、悪い意味で文系的な文章というか、私は少し合わなかった。
    ただ、章の構成や中身はある程度理解できた。他の媒体で前提知識を得ているからかもしれないが。
    金融…と言うよりマクロ経済な話題と感じた。「金融取引とは」から始まり、「金融政策の目的」なんてまさにマクロ経済だと思う。そこから「株主と企業」や「規制監督」などに話題が広がっていく。

    新書なので通勤時に読むのに丁度良かった。星3つ評価にしておく。

  • 全然「入門」じゃない。
    本当の初心者には難しい内容。
    どこが「入門」なんだよ。

  • 【目次】
    第1章 金融取引
    第2章 銀行システム
    第3章 金融政策と中央銀行
    第4章 資産価格とそのバブル
    第5章 日本の企業統治
    第6章 金融機能の分解と高度化
    第7章 金融規制監督

  • 購入していた本。2010年初版。

    たぶんリーマンショック後におすすめされて、経済オンチながら読んでみようと思って挫折していたのだろうと思われる…。
    途中まで読んで付箋だけはいっぱい貼っていたので、読み進めを再開。

    ・コスト・パフォーマンスの高い優れた審査能力をもっているかどうかが、金融機関の存在意義を決めるといえる。(p26)


    ・決済機能のあり方は、それまでの慣行といったものからも強い影響を受ける。我が国では電子マネー、欧米諸国ではデビット・カードが普及。これは小口決済において我が国が現金社会、欧米諸国では個人小切手が広く利用されてきたという歴史的背景の違いに寄るところが大きいと考えられる(p53)

    ・米国の住宅ローン市場において貸し手の主力は、銀行から、モーゲージ・バンクと呼ばれる住宅金融専門の貸付会社に移っている。モーゲージ・バンクは、バンクと名乗ってはいても、通常の意味での銀行(預金取扱金融機関)ではなく、日本風にいうといわゆるノンバンクである。モーゲージ・バンクの貸し付けた住宅ローンは証券化され、資本市場で売却することで資金調達が行われる。(p188)


    ・資本主義には、自分だけが儲かれば相手が損をしても意に介さないような偽りの承認は排除され、まことの商人だけが参加を許されるべきである(p254)

    ・巻末の索引、役に立ちそう。

  • お金を融通することが金融。
    このやりとりを基本としてニュースで聞くような専門用語を丁寧の解説。

  • 3/13 丸善
    ライフネット 出口氏推奨

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著者プロフィール

慶應義塾大学経済学部教授
1953年生まれ。京都大学経済学部卒業、一橋大学大学院博士課程単位取得。岡山大学・京都大学助教授を経て、1995年より現職。著書に、『銀行はなぜ変われないのか』(中央公論新社)『なぜ世界は不況に陥ったのか』(共著、日経BP社)『現代の金融入門』(ちくま新書)など

「2017年 『日本経済再生 25年の計』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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