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- / ISBN・EAN: 9784480065346
感想・レビュー・書評
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本来は社会主義なのに資本主義経済を導入しているように見える今の中国について教えてくれる本。
中国について今まで義務教育やニュースでしか見知っていなかった自分からすると、知らないことが多くおもしろかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
経済
政治 -
■書名 拝金社会主義 中国 (ちくま新書)
遠藤誉 / 筑摩書房 / 本 / 2010年02月10日 / Amazonで見る ¥ 798
■全体的な感想
チャイナナイン、チャイナジャッジがよく売れている、遠藤さんの本。
報道ステーション等のテレビにもたまに出演されている、中国育ちの方。
この本はチャイナナインの前に出版された新書で、
タイトルとは若干内容が異なっており、
中国の世俗を余すことなく記載している本です。
新聞等で報道されている中国と、現実の中国とのギャップ感が面白い。
世界の超大国となるのか、一人っ子政策の失敗により急激に衰退していくのか・・・
少なくとも今後20年は、世界の中心にいる国であることは確かである。
中国人とひとくくりにしないで、各地域の人で捉えた方が良い国かもしれない。
中国事情を知りたい人にとっては読んで損はないと思います。 -
共産党を守るための向銭看が中国を社会主義から遠避けてしまっているという悲劇。今では何が共産主義と言わしめているのだろうか。富める者と貧しい者の間の所得再配分は2013年、世界の1つのテーマになるだろう。中国はどのようにその格差をマネージするのだろうか。
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中国では政治を語ることはタブー。
中国の多くの国民も中国政府の政策を快いとは考えていないし、国際社会と比較して正常な状態でないと考えているだろう。現在の中国は経済成長が順調 だが、いつまでこのような政治体制が続くのかは誰にも不明である。中国のインターネットでは「反日的」な内容の書き込みがあることで有名だが、それらも中国政府としては共産党への批判に繋がらないための捌け口として重要なことだと考えているだろう。 -
中国は「社会主義国家」であると思っていたが、本書で描かれる現在の中国の姿は、これまでに一般に言われてきた「社会主義国家」とはだいぶ違う。
鄧小平はかつて「特色ある社会主義の道」言っていたが、本書で目の当たりにする中国の姿は、とても「社会主義国家」とは思えない独特のものと言わざるを得ないと思った。
本書によれば、建国以来の「向前看(シャオチェンカン)」(前に向かって進め)という革命スローガンに変わって、同じ発音の「向銭看(シャオチェンカン)」(銭に向かって進め)という自嘲的言葉があるという。
鄧小平の「改革開放」経済政策によって解き放された民衆が突進した道は、「社会主義=計画経済」という常識を乗り越えた、資本主義以上に資本主義的な道であったとの結論には、言葉が出ない思いを感じた。
本書は、その爆進した中国の「特色ある社会主義」の現在における到達点の社会風景を余すところなく描いている。
「マイホーム、マイカーに向かって進め」「銭に向かって進んだ結果の就職難」「解放軍入隊に殺到する蟻族たち」等々の実情を読むと、中国は凄い歴史的実験を行っているとの感想を持った。
本書は「先富から共富への苦闘」という項で、中国のこの変貌がいかなる社会主義イデオロギーによるものかも言及している。
「先富」「党権力」「官僚経営者層」「利益集団」「江沢民の三つの代表論」等の本書の考察は、とても以前の社会主義の概念の枠を突き抜けているとしか言いようがない。
かつて、1991年にソ連が崩壊した時に、社会主義国家の未来はもうないと誰もが感じたと思うが、本書を読むと中国は賢明にも「特色ある社会主義への道」を選択することによって、新しい未来を切り開いたと言えるのかもしれない。
しかし、本書の『経済的に生き残る。それは成功した。しかし、国は生き残ったが社会主義は生き残ったのだろうか。中国共産党は消滅を免れるために「銭に向かって進み」そしてそれゆえに「共産党ではなくなった」。それゆえに中国は「社会主義国家ではなくなった」のではないか』との記載には同感と共に感慨を覚えた。
本書は、現在の中国の現状と挑戦がよくわかる良書であると思う。 -
普通の中国市民の生活や考え方がよくわかります。
外から見る中国の表層や政治的な動きだけでなく、その背景にある普通の人々の考え方を知ることで、今起きていることの背景を想像することも大切ではないでしょうか。 -
[ 内容 ]
中国は、「共産党が支配する社会主義国家」がこの地球から消えていくのを防ぐため、個人による金儲けを解禁、奨励してきた。
その結果、中国経済は大躍進を遂げ、人々はリッチになった。
その一方で、職に就けない大卒者が七百万人にも達し、階級差が生まれ、農民たちは最下層で貧しさに喘いでいる。
国は生き残ったが「社会主義」は生き残ったのだろうか?
経済だけは加速しながら、その陰で様々な問題が浮き彫りになってきた、隣の国では今何が起きているのか。
[ 目次 ]
第1章 改革開放で何が変わったのか(「向前看」から「向銭看」への大転換;大学入試が再開―知識人弾圧から知識人尊重へと転換 ほか)
第2章 「向銭看」行進曲に合わせて踊っていたら(「銭!」とせがむ群衆に代わって;マイホーム、マイカーに向かって進め! ほか)
第3章 結婚できない「デキル女」たち(なぜ「デキル女」が結婚できないのか?;公園で婿を探す、「デキル女」の父母たち ほか)
第4章 銭に向かって進んだ結果の就職難(二〇〇九年だけで二〇〇万人の大卒生が未就労;大卒就職率低下のわけ ほか)
第5章 「先富」から「共富」への苦闘―格差と優遇策の狭間で(不平等な条件下での競争が増幅させた格差と階級;共産党が資本家階級を容認?! ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
政治や文化の水準をあげずに、ただただ金儲けに走ってしまった中国社会で起きている歪みを紹介している本。
一つ一つのトピックスの取り上げ方がまずセンス良い。これまでの経緯、男女の結婚、労働者階級の苦悩など、日本社会に生きる我々が読んでも為になるようなことを取り上げている。
構成もよくって、こうした一つ一つバラバラな独立した社会問題が、ちゃんと一本の線でつなげられている。
そして何より、日本人でありながら中国で生まれ、中国で育ち、中国で地獄を見ながら、中国を愛している作者の視点に心打たれる。日本人学者が中国を研究して書いているのでは絶対表現出来ないような、熱っぽさに溢れてる。心がとても籠っていて、新書の軽さを感じさせない。 -
学術的とまでは言いませんが、もう少しデータに基づいた議論を期待していたのですが、著者の体験から導き出された感が強かったです。もちろん、その体験の裏打ちや、それに基づく直感・体感というのは、どんなデータよりも雄弁であり説得力があることもありますが、そこまでの力強さが感じられませんでした。この種の本はたくさん出ていますが、それらから一歩抜きんでるものを見つけられなかったというのが正直な感想です。かといって、文章の面白さでグイグイ引っ張ってくれるタイプのエッセイでもありませんし……
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