わかりやすいはわかりにくい? 臨床哲学講座 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.54
  • (14)
  • (21)
  • (26)
  • (7)
  • (2)
本棚登録 : 406
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065391

作品紹介・あらすじ

ひとはなぜ、自由が拡大したのに不自由を感じ、豊かな社会になってかえって貧しさを感じるのか-現代人は、このようなパラドックスに気づき、向き合い、引き受けねば幸福にはなれない。「自由」「責任」の本質は何か。「弱さの力」とは何なのか。哲学の発想から、常識とは違う角度からものを見る方法を、読者とともに考える。人々と対話し思索を深める"臨床哲学"を実践してきた著者が、複雑化した社会のなかで、自らの言葉で考え、生き抜いていく力をサポートする。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ヴェリーベストオブ鷲田清一。
    わからないことに囲まれたとき、答えがないままそれでも正解に近づくためにどう対処するか。わかるとわからないの境界をぼかす。わからないことをわかる。まだわかっていないことをわかる。また出た、ここでもわからないことへの耐性と寛容のはなし。

  • タイトルに惹かれて読みました。先に読んだ同著者の「〈ひと〉の現象学」とほぼ内容が被っていましたが、解りやさすさ(ライトな切り口)はこちらの方。「生きてゆくうえでほんとうに大事なことには、たいてい答えがない」として、それを問うこと自体に意味があると言う。解らないことに出会った時、それを安易な、解りやすい論理に当て嵌めて解ろうとしないこと、解らないまま、正解がないまま、いかに正確にそれについて対処するのが大事だとも。物質的に豊かになった現代社会は「速い」ことが「善」とされるだけに、何でも「早く」(速く)どうにかしなければという思いに駆られがちだ。確かにスピードを要される物事もあるけれど、何かをじっくり「思考する」「待つ」という姿勢も忘れてはいけないように思う。

  • 平易な語り口で生活に近いテーマを取り扱っていて面白かった。臨床哲学という領域に降れた経験は初めてだと思うけれど、参考になる内容が多く記載されていた。特に「コミュニケーションについて」「弱さについて」については日ごろ考えているが自分の中で整理できなかったことがしっかりと記載されていて、非常にうれしく感じた。

  • 所有できないものしか所有できない?―自由について が一番印象的で発見があった。ただし、臨床哲学というコンセプトには疑問がある。哲学はカウンセリングではない。そこを勘違いしている人は結果的に不幸になるケースが多いように思うが。

  • サラリと読める
    よかったが印象に残らない

  • 問いについて問う―意味について
    こころは見える?―ふるまいについて
    顔は見えない?―人格について
    ひとは観念を食べる?―生理について
    時は流れない?―時間について
    待つことなく待つ?―ホスピタリティについて
    しなければならないことがしたいこと?―責任について
    所有できないものしか所有できない?―自由について
    同じになるよりすれ違いが大事?―コミュニケーションについて
    できなくなってはじめてできること?―弱さについて
    憧れつつ憎む?―家族について
    未熟であるための成熟?―市民性について
    わかりやすいはわかりにくい?―知性について

    著者:鷲田清一(1949-、京都市、哲学者)

  • 旅のお供の一冊。
    さくさく読める本でした。
    「ネガティブ・ケイパビリティ」につながる内容だったので、今の私にぴったりでした。

  • NHKラジオ『こころをよむ』の講義テキストを加筆訂正した本です。「意味について」「ふるまいについて」「人格について」など、13のテーマをめぐって議論がなされています。

    「臨床哲学講座」というサブタイトルが示すように、われわれの生活に密着したところから著者らしいしなやかな知性が静かに歩みを進めていきます。哲学的エッセイですが、池田晶子のような力みは感じられません。そこに、少しもの足りなさを覚えてしまうこともあります。

  • 書名に代表されるタイトルの他に、「時は流れない?」「未熟であるための成熟?」と言った、パラドクシカルでレトリックでクエスチョンマークが付されたた章タイトルが続く。意識や認識に関する哲学かと思いきや、深い人生を送る上での処世訓というか、(有体だが)生き方のヒントのような文章である。新書化された底本はシニア向け講義録とのことなので、やや懐古趣味的な印象もあるが、落ち着いて静かに読み進められる詩のような文章だった。

  • 苦手な鷲田さんに少しでも慣れるため、
    意識して彼の著書を読むことにする。

    でも、わかったような、わからないような。

    まったくわからないのなら、
    こんなに苦しまなくてすむのに・・・
    自分の読解力不足に打ちのめされるわ。

全37件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1949年京都生まれ。お寺と花街の近くに生まれ、丸刈りの修行僧たちと、艶やかな身なりをした舞妓さんたちとに身近に接し、華麗と質素が反転する様を感じながら育つ。大学に入り、哲学の《二重性》や《両義性》に引き込まれ、哲学の道へ。医療や介護、教育の現場に哲学の思考をつなぐ「臨床哲学」を提唱・探求する、二枚腰で考える哲学者。2007~2011年大阪大学総長。2015~2019年京都市立芸術大学理事長・学長を歴任。せんだいメディアテーク館長、サントリー文化財団副理事長。朝日新聞「折々のことば」執筆者。
おもな著書に、『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫、サントリー学芸賞)、『「聴く」ことの力』(ちくま学芸文庫、桑原武夫学芸賞)、『「ぐずぐず」の理由』(角川選書、読売文学賞)、『くじけそうな時の臨床哲学クリニック』
(ちくま学芸文庫)、『岐路の前にいる君たちに』(朝日出版社)。

「2020年 『二枚腰のすすめ 鷲田清一の人生案内』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鷲田清一の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヴィクトール・E...
ヘミングウェイ
フランツ・カフカ
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印

わかりやすいはわかりにくい? 臨床哲学講座 (ちくま新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×