歴史の中の『新約聖書』 (ちくま新書 864)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 146
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065667

作品紹介・あらすじ

『新約聖書』は、キリスト教の流れの中で最も重要視されてきた書物である。しかし、この中に収められた文書を読むと、相互に対立するようなことが書かれている。この事態を理解するには、新約聖書がどのようにまとめられたのか、それぞれの文書はどのような立場から書かれたのかを考える必要がある。また、新約聖書の核にあるイエスの意義と、そのイエスが前提としていたユダヤ教の流れについて知っておくことも必要だ。歴史的状況を丁寧におさえながら読む、「新約聖書入門」。

感想・レビュー・書評

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  • たいへん勉強になりました。

  • 目から鱗です

  • 新約聖書というものが、歴史の中でどのように解釈されてきたのか、という本です。

  • 新書文庫

  • [ 内容 ]
    『新約聖書』は、キリスト教の流れの中で最も重要視されてきた書物である。
    しかし、この中に収められた文書を読むと、相互に対立するようなことが書かれている。
    この事態を理解するには、新約聖書がどのようにまとめられたのか、それぞれの文書はどのような立場から書かれたのかを考える必要がある。
    また、新約聖書の核にあるイエスの意義と、そのイエスが前提としていたユダヤ教の流れについて知っておくことも必要だ。
    歴史的状況を丁寧におさえながら読む、「新約聖書入門」。

    [ 目次 ]
    第1章 一神教の発想と展開(ユダヤ教とキリスト教;本格的な「一神教」の成立;「律法」と「神殿」)
    第2章 イエスとエルサレムの共同体(なぜイエスなのか;ペトロの共同体)
    第3章 エルサレム教会からの二つの分派(ヘレニストの分離;マルコ福音書;パウロの手法)
    第4章 ユダヤ戦争後の模索(マタイ福音書;ルカ文書;ヨハネ福音書)
    第5章 新約聖書の権威(マルキオンの聖書;キリスト教とローマ帝国;新約聖書の成立)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  •  キリスト教の聖典である『新約聖書』がどのような背景において成立したのかをわかりやすく解説している本です。キリスト教のことなので、まずはキリスト教の歴史の説明から入っており、非常にわかりやすいと思いました。

     4つの福音書がそれぞれバラバラな位置づけとなっているというのが面白い。それなのに、一つの新約聖書という文書集を形作っている。一神教であるのだから、キリスト教の中の解釈も一つであってよさそうなのに、イエスが生前に述べたとされる内容ですら微妙に違っていたりと。

  • 基本的に聖書とは、キリスト教における様々な立場の集約、である、からこそ統一的に理解することは一足飛びには難しい、という感じか。
    4つの文書によって様々な立場があるが、成立時期とその背景に着目することが重要ということがわかった。

    ①聖書があって、キリスト教ができているのではない。イエス以来のキリスト教の流れがいろいろとあって、その展開の中で、新約聖書が成立して、重要な書物になり、大きな権威をもつようになった

    ②聖書のキリスト教独自の部分である「新約聖書」は、すべてがギリシア語で書かれていて、これは事実上、ローマ帝国側の高い文化の領域が重視された形のものになっている

    この2点が重要と筆者は述べている。
    これを踏まえて、「キリスト教では、ローマ帝国の大きな支配の構造、一般化して言うならば、西洋文化的な大きな支配の社会構造、を採用しようとする流れが生じて、その流れが大きな成功をおさめた。その流れの中で、重要な機能を果たすものとして、新約聖書が成立して、安定したものになった」としている。

    やっぱりローマ帝国という政治的な背景は、キリスト教の成立に大きな影響を与えており、「聖書」という権威の象徴が重要視されていたことがわかる

  • 書いたものをいっさい残さなかったイエスの後、どのような経緯で新約聖書が成立したか興味があったので手にとってみた。端折られすぎてちょっと物足りない。もっと具体的に学説、学者名、引用元などを記してもよいのでは。

  • 良くも悪くも新書的。
    まあ基礎的な知識を得るにはなかなか。なぜマルコの福音書における使徒は愚かなのかとか。

  • 今のキリスト教がこんなにも普及してるのって、昔の伝道師あってこそなんだよね。色々な抵抗がある中でも、イエスの言葉を信じてそれを伝え続けた力強さはすごいな。

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著者プロフィール

加藤 隆(かとう・たかし)
1957年生まれ。ストラスブール大学プロテスタント神学部博士課程修了。神学博士。千葉大学文学部教授。著書に、『旧約聖書の誕生』(ちくま学芸文庫)、『新約聖書はなぜギリシア語で書かれたか』(大修館書店)、『『新約聖書』の誕生』(講談社学術文庫)など。

「2021年 『キリスト教の幼年期』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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