ウェブで学ぶ ――オープンエデュケーションと知の革命 (ちくま新書)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065674

作品紹介・あらすじ

職をめぐって世界中の人々と競争しなければならない状況がすぐそこまで来ている。一方、知識の陳腐化も激しくなるばかりだ。そんな時代に、人生を切り開いていくための強力な道具は「ウェブ」である。今や、グローバルウェブは「知の宝庫」となり、それを利用した新しい学びである「オープンエデュケーション」が、アメリカ発で全世界に拡がりつつある。本書では、革命的ともいえるそのムーブメントの核心をとらえ、学びの進化とウェブの可能性について、専門家二人が徹底的に考え抜く。

感想・レビュー・書評

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  • 大好きな著者が「教育」について語るとなると、
    「これは買うっきゃない!」となってしまいました。
    お馴染みの梅田さんが将来の展望を熱く語る部分には、
    ドキドキさせられます。

    題材は、「オープンエデュケーション」。
    僕はあまりこの概念は知りませんでしたが、
    要はインターネットを使った無料で教育が受けれるシステムのこと。
    例えば、アメリカのMITは大学の講義をインターネット上で
    無料開放して世界中の人たちが勉強しているようです。

    確かにアフリカの貧しい人とかで、
    このシステムを使い倒して勉強ができるようになって、
    奨学金を勝ち取って留学とかする人が増えれば、
    貧しい人たちの新しい勝ちパターンになる可能性を
    秘めていると思います。
    (アフリカの貧しい人がそんなにネットを
    使えないという問題はさておき。)

    一方、こういう便利なシステムを知っていて、
    使い倒す人とそうでない人の知識・情報格差は
    ますます広がっていくな、とも感じました。
    自分も含めて、現状に満足することなく、
    常に新しい情報をキャッチしていきながら、
    自分の志向性を突き詰めていかないと、
    なかなか自分の個性・価値を出せない時代に
    なってきたんだなぁ、と思った次第。
    これからますます、個人がサバイブしていくには、
    競争が激しくなりそうな予感です。

  • (梅田氏)
     IT業界で変革を起こすリーダーは「ビジョナリー」と呼ばれる言語表現能力の高い人たちである。
     彼らの言葉にたくさん接し、言葉の背景にある発想や思想によりそって考え、その結果を構造化する。

    MITのOCW(質の高い教育をオープンにする)ことで、「独学のインフラ」が整う。

    ウェブでは多量の情報が得られるとともに、志向性を同じくする人々と高確率で出会える。

    ウェブの進化は「経済のゲーム」と「知の情報のゲーム」の側面がある。注目されがちなのは前者であるが、後者の方が重要である。後者はビジョンと信念によって牽引される。それは「人類の共有財産たる知を広く誰にも利用可能にすることは善なのだ」という「パブリックな意識」がある。

    グローバルウェブ・ローカルウェブ
     前者はアメリカで生まれた思想がタイムラグを有しながら拡がっていくことを指す。が、現代はこの2つが併存する世界。
     前者は、以下の3つに支えられている。
    ?地球全体をターゲットと考える
    ?世界全体への関与の意志
    ?カリフォルニアン・イデオロギー
     反中央、反権威、現状を打破しフォロンティアを切り開く
     個人のエンパワーメントを主眼に。
     強者の思想になるリスクはある。

    <シリコンバレーの雰囲気>
    ・人がやっていない、新しい、面白い「いたずら心」
    ・google apple 個人の狂気がビックビジネスになるアメリカの長所
    ・オープンエデュケーション
    →不遇のideaをもった人が別の人に引き継がれ、他の場所で花を咲く
    ・アメリカのオープンエデュケーション 中国等に「塩を送る」行為がだが、
    openにしたほうが、自分達に利する、分け与えることで前に進み続ける、アメリカ的自信の現れ
    ・セミ・オーダーメイドの教科書
    ・アメリカのrealの大学→魅力的な場所にして、学生・教員をひとところに「閉じ込める」発想
    ・webと本・学校の違い→選択肢の多様さ
    ・学ぶためには「環境」と「動機」が不可欠
    ・大事なのはただ勉強している、とか考えている、だけでなく何でもいいから実践的なプロジェクトにかかわって、人と繋がっていくこと

  • EdTechに興味がある人には、非常におすすめの本。

    この本は、ウェブ進化論の著者でミューズアソシエイツ社長の梅田望夫氏と、マサチューセッツ工科大学教育イノベーション・テクノロジー局シニアストラテジストの飯吉透氏が、「ウェブ」という強力な道具を利用した新たな学びのムーブメントである「オープンエデュケーション」をそれぞれの視点で紹介し、二人の対談形式で進む。

    ウェブ業界の最先端で生きる梅田氏と、MITという教育の最先端で生きる飯吉氏の考え方は刺激的で、教育の分野で新しいことがしたいと考えている人にとっては参考になることが多いだろう。

    飯吉氏の考え方が非常に共感する部分も多く、勉強になった。



    オープンエデュケーションとは何か



    現在のように、社会構造が複雑化・流動化し、技術や知識の陳腐化も激しい世界では、「学校や塾や職場の『壁の内側』で教えられること」だけが学びのすべてではなく、「学校を出たから、もう自分の学びは終わり」というわけにもいきません。そのような「個人が一生学び続ける時代」にふさわしい「一人ひとりの無限の可能性のための次世代教育環境」こそが、オープンエデュケーションなのです。



    「学ぶこと」は、そのための「機会」と「必要な助け」さえ得られれば、あとは自分の志や情熱次第で、かなり思い通りになるはずです。オープンエデュケーションは、そんな「学ぶ機会」や「よく学ぶために必要な助け」を、世界中のすべての人たちのために最大限に増やしていこうという、「二十一世紀の壮大な教育イノベーション」なのです。



    オープンエデュケーションを構成する3つの分野



    「オープン・コンテンツ」

    オープンコースウェアのような教材をオープンにすることを指す。MOOCsと言われるようなオープンコースウェアは、この構成分野に対する注目度が高いと言えるだろう。EdTechで話題になりやすいのは、この教育のコンテンツを低価格(多くの場合無料)で提供するという形で話題になりやすい。



    「オープン・ナレッジ」

    教育的知識に関するナレッジ。コンテンツがオープンになり、テクノロジーが進化しそれを伝える仕組みが整っても、それらを効果的に使いこなし、教えることの出来る実践的なノウハウが乏しければ意味がない。その実践的知識を理解しやすく表現し、他の人と共有可能にすること。



    「オープン・テクノロジー」

    教育的オープンソース・ソフトウェアというイメージ。ラーニングマネジメントシステム(LMS)と呼ばれるウェブを利用して授業を行う際に必要な教材を作成・配信したり、教員と学生たちの間のコミュニケーションや提出物のやり取り、成績評価などを相総合的に管理するシステムのことをさす。



    「教材や教育ツールのオープン化」に加えて、さらに「教育的知識のオープン化」が進めば、互いの「学びと教えに関する成功経験や試行錯誤」をみんなで共有出来るようになり、先人の知恵・文殊の知恵によって、だれもがより効率的・効果的に学んだり教えたりする恩恵を受けられるようになるのです。



    上記のオープンエデュケーション(ほぼEdTechと同義といっていいと思う)を3つの構成要素に分解して考えることで、頭の中が整理された。

    今の日本にあるサービスのポジショニングや、空白を考える上でも非常に参考になると思う。

    梅田氏のウェブに関する思い、飯吉氏の教育に関する思いも伝わる良書。

    EdTechに興味の有る人には是非読んでほしい。

    http://edtech-media.com/2013/04/07/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96%E3%81%A7%E5%AD%A6%E3%81%B6%E3%80%80%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%B3%E3%82%A8%E3%83%87%E3%83%A5%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%A8%E7%9F%A5%E3%81%AE/

  •  梅田さん相変わらずポジティブです。オープンエデュケーションは,裏を返せば凄く恐い話なんだけども。ここまでオープンにされたら,知らないでは済まされない訳で。志向性の共同体の中での,学び→師や同志との出会い→職・生計というのは,理想的だけど,全部自力なんだよね,セレンディピティーも含めて。特にやりたいことがなかったりする場合どうするかというのは,教育が考えなければならないのか?
     今,自分が大学生だったらと想像すると,羨ましい反面,正直ちょっとキツイかもしれないな。。。自分の専門分野で公開されてる一流の授業があれば,観ないわけにはいかないからねぇ。知的好奇心だけで生きてた学生時代の感覚を失って久しいのでそう感ずるのであって,あの頃の自分なら狂喜して観たかもしれないけれどもw
     

  • 知識の新陳代謝が非常に激しくなっている昨今で、自分の人生を切り開いていく。その強力なツールがウェブであると作者は説いています。僕もそう考える一人ですが、まだまだ勉強が必要だと読んでいて思いました。

    いま、ウェブサイトではハーバード大学やMITの授業が無料で公開されているらしいですね。最初にこれを聞いたときにはびっくりしました。時代の進んでいくスピードに改めて驚かされます。英語ができるようになるとこういう世界中の『知』に触れることができるんで、こういうことに関しては非常にいい時代になりましたよね。

    僕もその恩恵を受けている人間の一人だと思いますがこの本を読んでいると、まだまだ自分の知らないことがこんなにもあるのだと感じました。最近ではウェブで公開された情報で壁にぶつかっている仕事の問題を解決したとか、とある別な大学に通っていて、その授業の内容がわからなくて別な大学のウェブ講義を観ることでで理解が早まったとか。そういう話が色々収録されているんですね。本当に10年前は考えられない時代です。

    日本の大学でもこういう講座がネットで無料公開されるとすばらしいのですけど、すべての人に門戸を解放して、最高峰の知識の世界を手軽にふれられるようになるにはまだまだ先のことになりそうです。

  • ずいぶんと前だが、ウェブやオンラインでの教育の可能性を議論している。

  • 梅田さんの新刊。
    サバティカルの後の切れの良さを期待したら、必ずしもそうではなかったけれど。

    ウェブで、オープンエディケーションの可能性が拡がっているという。

    確かにiTunesUで、サンデル教授の正義についての講義が全てダウンロードできた。
    しかも無料で。

    それしか選択肢がないのなら、日本にいて独学できるのかもしれない。

    日本にいて、世界に貢献できることを目指したい。

    目指せるのか。

  • なかなか刺激的だったな

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  • 【要約】


    【ノート】
    ・「ソーシャルラーニング」をamazonで見てたら関連図書で。

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