古事記を読みなおす (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.19
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本棚登録 : 183
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065797

感想・レビュー・書評

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  • 古事記は、律令国家の由緒を描く史書として読まれてきた。だが、こうした理解には根本的な誤りがある―。日本書紀には存在しない「出雲神話」が必要とされたのはなぜか。どうして権力にあらがい滅びた者たちに共感を寄せるのか。この作品の成り立ちを説く「序」は真実か…このような疑問を通じ本書は、「国家の歴史」以前から列島に底流する古層の語りとして、古事記をとらえ返す。それにより神話や伝承の生きた姿、魅力がよみがえる。古事記の世界を一望に収める入門書の決定版。(カバー)

    入門書としては偏っているような…。
    全編通して話が及んでいるのはうれしいところ。読みごたえがありました。

  • 著者は、古事記と日本書紀を「記紀神話」と一括し、両者をともに律令国家を支えるために編纂されたとする通説を批判し、古事記の「語り」に滅びゆく者へのレクイエムを聴きとろうとしています。

    その際に著者がまず注目しているのが「出雲神話」にかんする叙述です。大和政権の正統性をあきらかにする意図で書かれた日本書紀には、古事記に含まれている出雲にかんする記事の多くが存在していないことを著者は指摘します。このことは、天皇家の歴史を叙述するためには出雲神話を無視してもさしつかえがないということを意味しており、それゆえ古事記における出雲神話に関する記事に、律令国家における正史として編纂された日本書紀とは異なる「語り」が響いていると論じられます。

    古事記におけるポリフォニックな「語り」に焦点をあてた本で、スリリングなおもしろさがあります。ただし「あとがき」で、「わたしの古事記成立論に反論する人がいると、あなたの論理では古事記を国家に親和させるだけですよ、それでいいのですか、といささか挑発的に切り返すことにしている」ということばは、おそらくなかば冗談なのでしょうが、古事記のポリフォニーに「国譲り」に見られる日本民族の寛容性を見ようとする論者もいるくらいですから、あまりおもしろい冗談にも思えません。

  • [ 内容 ]
    古事記は、律令国家の由緒を描く史書として読まれてきた。
    だが、こうした理解には根本的な誤りがある―。
    日本書紀には存在しない「出雲神話」が必要とされたのはなぜか。
    どうして権力にあらがい滅びた者たちに共感を寄せるのか。
    この作品の成り立ちを説く「序」は真実か…このような疑問を通じ本書は、「国家の歴史」以前から列島に底流する古層の語りとして、古事記をとらえ返す。
    それにより神話や伝承の生きた姿、魅力がよみがえる。
    古事記の世界を一望に収める入門書の決定版。

    [ 目次 ]
    序章 なぜ古事記を読みなおすのか
    第1章 青人草と高天の原神話
    第2章 出雲の神々の物語
    第3章 天皇家の神話―天から降りた神々
    第4章 纏向の地の物語
    第5章 五世紀の大王たち
    第6章 滅びへ向かう物語
    終章 古事記とはいかなる書物か―語りの世界と歴史書の成立

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 学説論争的に真面目に記述されている点は、評価できるが、新書なのだから大胆に自説を物語風に展開しても良かったのではと読後に感じた。

  • まぁ普通かな・・・

  • おもしろい

著者プロフィール

千葉大学名誉教授。1946 年、三重県生まれ。『古事記』を中心に古代文学・伝承文学に新たな読解の可能性をさぐり続けている。共立女子短期大学・千葉大学・立正大学等の教員を歴任し、2017年3月定年退職。著書に『浦島太郎の文学史』『神話と歴史叙述』『口語訳古事記』(第1回角川財団学芸賞受賞)『古事記を読みなおす』(第1回古代歴史文化みやざき賞受賞)『古代研究』『風土記の世界』『コジオタ(古事記学者)ノート』など多数。研究を兼ねた趣味は祭祀見学や遺跡めぐり。当社より『NHK「100分de名著」ブックス 古事記』を2014年8月に刊行。

「2022年 『こころをよむ 『古事記』神話から読む古代人の心』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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