世界を変えた発明と特許 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066053

作品紹介・あらすじ

発明家はただ発明をすればよいのではない。いかに特許を申請するかが勝負なのだ。世界を変えた大発明の裏には、特許をめぐる発明家同士の激しい攻防があった。ワットは蒸気機関で強すぎる特許を取得したため同業者から執拗に抗議され、ライト兄弟は自分たちの飛行機の基本特許が盗まれたとして泥沼の訴訟を繰り広げた。特許制度は、いかに彼らの利害を調整し、審査や訴訟の仕組みを整備してきたのか。その歴史的経緯を解説しつつ、発明家たちの特許をめぐる苦闘の足跡をたどる。

感想・レビュー・書評

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  • ワットの蒸気機関は、ニューコメン機関の効率を大幅に上げたもの。ワットは、特許を使用許諾せず、提訴をつづけた。

    エジソンゼネラルエレクトリック社がGEになった。エジソンが直流にこだわったため、GEいはエジソンはいなかった。交流は、市中で電圧を変えられるから、高圧で送り出すことができて、電力損失に耐えられる。イノベーションのジレンマに引っかかった。
    GEも吐く鉄等にこだわって蛍光灯を無視した。後発のシルバニア社に市場を奪われた。

    ライト兄弟の特許は、期待が傾いたときに翼を捻じって元に戻す方法である。ライト兄弟とカーティスに特許訴訟があった。戦争のために、すべての特許をプールする仕組みを作った。パテントプール。
    強制実施許諾制度で、国が実施権を設定する。

    フレミングの二極管の発明はエジソン効果の二極管の用途発明。用途発明は医薬の発明に多い。電気などの分野では少ない。
    戦争のために、RCA社に譲渡された。

    特許権は独占禁止法の範囲外。しかし利用するやり方が不適切だと独禁法違反になる。
    パテントプールも利用条件も同じ。

    最初に提出した図面がすべて。あとで修正できない。

    豊田佐吉は、豊田職機に特許料8万円で売った。自動織機を作るため、まず綿紡績事業を起こした。これが時流に乗って大成功した。息子の喜一郎が作った自動織機をイギリスプラット社に許諾した10万ポンドがトヨタ自動車の礎になった。

    技術と科学は似ているようで違う。科学者は論文で発表しないと仕事にならない。特許は、発表より前に特許申請する。
    レントゲン博士は、レントゲンを特許申請しなかった。
    インスリンは、トロント大学に説得されて特許申請し、その収入がその後のトロント大学の研究費になった。

    研究ノートは開発者研究者の命。ルーズリーフは避ける。

  • [ 内容 ]
    発明家はただ発明をすればよいのではない。
    いかに特許を申請するかが勝負なのだ。
    世界を変えた大発明の裏には、特許をめぐる発明家同士の激しい攻防があった。
    ワットは蒸気機関で強すぎる特許を取得したため同業者から執拗に抗議され、ライト兄弟は自分たちの飛行機の基本特許が盗まれたとして泥沼の訴訟を繰り広げた。
    特許制度は、いかに彼らの利害を調整し、審査や訴訟の仕組みを整備してきたのか。
    その歴史的経緯を解説しつつ、発明家たちの特許をめぐる苦闘の足跡をたどる。

    [ 目次 ]
    第1章 ワットの功罪―強すぎた蒸気機関特許
    第2章 エジソンの栄光と挫折―電力システムの発想
    第3章 ライト兄弟vs.カーティス―飛行機に基本特許はあるのか
    第4章 マルコーニの世界戦略―無線と国家安全保障
    第5章 天才ショックレーの衝撃―トランジスタ発明の栄誉は誰に?
    第6章 キルビーvs.ノイス―日本企業を苦しめた半導体特許
    第7章 豊田佐吉・喜一郎の特許戦略―自動織機から自動車産業へ
    第8章 レントゲンはなぜ特許を取らなかったか―特許にならなかった大発明
    エピローグ 強い特許を取るための戦略とは?

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 特許庁に長く勤めた著者が、特許についての歴史的なエピソードを紹介し、特許制度の問題点や当事者同士の争いを解決するためにいかに整備されてきたかを解説している。アメリカ商務省ビルの入口にあるプレートには、リンカーンの言葉として「特許は天才の火に利益という油を注いだ」と記されているそうだが、基本特許は巨万の富を生む可能性があるだけに、特許を巡る発明家同士の激しい攻防が生々しい。
    8章からなり、ワットの蒸気機関、エジソンの白熱電灯、飛行機の基本特許、マルコーニの無線技術、トランジスタの発明、半導体の集積回路、豊田家の特許戦略、特許にならなかったX線やインスリンの大発明について。著者は技術的にも明るいので、それぞれの発明についての解説が分かりやすく、特許に関する記述と合わせて、ためになる書だった。

  • 特許の重要性を認識したいという思うから手にとった本。
    内容は期待通りで、なかなか面白かった。「優秀な技術者ほど優秀な弁理士を求める」という境地にはまだ程遠いな。

  •  元特許技監(特許庁の技術系トップ)の著者が産業革命以降の大発明を紹介。蒸気機関,白熱電灯,飛行機,無線,トランジスタ,集積回路,自動織機,X線など。結構発明の羅列になってる感じで,それらをまとめる総括みたいのがあんまり感じられなかった。あるとするなら,昔の特許制度は未熟で,不当に広い権利が成立して訴訟合戦で消耗することも多かったが,今は制度も洗練されててそういうことは起きにくい,知財活用しましょう!といったところ。
     確かにワットの特許は曖昧だったうえに権利期間が長く,その後の改良を阻害したとされているし,ライト兄弟もひねり主翼特許でカーティスのエルロンを侵害と主張したりして,随分もめて,アメリカの飛行機技術はヨーロッパに後れを取ったりした。
     最近でもキルビー特許が話題になった。あれはサブマリン特許みたいなもので,日本の現行特許法(昭和34年法)では起こり得ないのだが,親出願の出願日が昭和35年2月だったとかで,旧法(大正10年特許法)の適用だったために問題となった。
     旧法では,特許権の存続期間が出願公告から15年だったので,出願した後に出願人が引き延ばし戦術をつかって公告を遅らせて,権利期間を先送りするテクニックが使えたのだ。現行法では,権利期間は出願から20年なので,もうおこらない。引き延ばしの何がメリットかと言うと,基本的な発明を,それが広く用いられてもはやデファクトスタンダードみたいになってから,それ俺の権利でしたー!お金払ってね,と主張できるということ。これをサブマリン特許と言う。うまいネーミング。
     キルビー特許には,みんなしぶしぶライセンス料を払っていたのだが,富士通がこんな特許無効だ!といって権利者を訴えて,みごとに勝訴した。その最高裁判決は,裁判所が侵害訴訟において特許の無効を判断できるという画期的な判決となってよく知られている。
     あと,この本は4月の発行だが,今となっては多くの人が気付く誤植が…。原子炉の発明んとこで,「天然ウラニウムには、核分裂性のウラニウム二三九はわずかに〇.七%」「濃縮して、ウラニウム二三九の比率を高める」とある。212ページ。
     当然「ウラニウム二三九」じゃなくて「ウラニウム二三五」でなくてはならない。核分裂性のウランはウラン235。ウラン239は原子炉内でウラン238の中性子捕獲でできる核種だが,自然界には存在しない。
     ウランを「ウラニウム」と言ったり「ウラン」と言ったり一定していないのもいまいち。「減速物質」を「減速物資」と誤植してたり,「時遅れの中性子」とか妙な語がでてきたり,なんか原子炉のとこはぼろが目立った。
    「時遅れの中性子」はたぶんdelayed neutron のことだろう。それを言うなら「遅発中性子」。

  • パイオニア発明は、その発明自体が取り上げられがちだが特許をプラスして見るとやたらと生々しい現実が見えて来る。知的財産の保護と技術の広範囲の活用の並立は難しい問題だ。

  • ワット、エジソン、ライト兄弟、マルコーニ、ショックレー、キルビー、豊田佐吉・喜一郎親子などの発明家が、自分の発明をどのように特許化したか、そして、どのようにして特許で泣いたり笑ったりしたかについて、多くの文献に基づいて詳細に書かれている。これらの発明家に関していうと、いわゆる偉人伝で描写される人となりとは、また違った側面の人物像が浮かび上がってきて面白い。
    著者は30年以上特許庁に勤めた元審査官であることもあり、本書全体を通じて、現在の特許制度に対する肯定的な立場が貫かれている。IT系の職場にいると、どうしてもアンチ特許的なイデオロギーに囲まれて過ごすことが避けられないので、特許制度を擁護する立場の主張は逆に新鮮であった。(ウチの会社の特許部と同じような主張があちこちに書かれていて笑った)

  • 面白い。
    発明したら特許とらないとね。

  • 本書の第8章「レントゲンはなぜ特許を取らなかったのか」に発展のための不変の法則が表れていたように思う。オヌヌメ(`・ω・´)

    http://d.hatena.ne.jp/ymkjp/20110726/1311660662

  • タイトルに釣られて買った本です。まえがきの 009ページにデジタル・ビデオ・ディスク(DVD) の表現があったので失敗したかなと思いました。DVD はDigital Versatile Disc の略ですよね。Video も含まれるけれども。著者の経歴からこの表現は如何なモノかと思いながら読み進みました。

    内容は歴史上の事実として断片的に知っていた事柄の前後や背景も紹介されています。

    第 1章で紹介されているワットですが蒸気機関を発明した事は知っていましたしがその背景は知りませんでした。

    第 2章以降も同様で時間をみて近代技術史を勉強し直そうと思います。

    面白いです!

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