セックスメディア30年史欲望の革命児たち (ちくま新書 904)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 342
感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066060

作品紹介・あらすじ

風俗、エロ本、アダルトサイト、出会い系サイト、大人のオモチャ-現代日本は多種多様なセックスメディアで溢れている。人々の欲望と想像力を刺激しながら、セックスメディアはこれからも発展し続けるだろう。本書は、八〇年代から一〇年代までのセックスメディアを総合的に捉え、その変化の実像を解き明かしていく。第一人者たちの証言と、性と快楽に賭けるドラマを紹介しながら、欲望の秘密に鋭く迫る。

感想・レビュー・書評

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  • いやらしい本に非ず。エロコンテンツの系譜を読み解く真面目な文化的考察。時代が著者とぴったり合う人には中々懐かしいツールとの再会があるのでは。出会い系が生まれるまでにテレクラやポケベルなどの文化があった事。広末涼子のようなアイドルが、アイコン的にイメージを盛り上げていた事。公にしたくはないが性欲がある限り、存続する文化だという著者。まさしく、だが、人前では読みにくいです。

  • 新しいものが出来てはすぐ消える
    新しいメディアは情報機器に影響される
    不特定多数のユーザーを取り込むには携帯性により使用感にも大きく差が出る
    本文はメディアの歴史
    体験者でなければわからないことがある
    インタビュー記事は面白かった

  • 出会い系、オナニー、風俗を真面目に考察したもの。

    たしかに食欲、睡眠欲は大っぴらに考察も議論もされているが、性欲になると話題にすること自体憚られるか、性的搾取の構造に議論がすり替わる。

    性産業は決してアングラなものではない事が分かる。

    しかし当然、性的搾取や女性の貧困など問題は多数あるが、この本では触れていない。

  • ガールズバー研究のために読書

    出会い系の変遷が面白かった
    (今のティンダーとかみてると、すごい時代になったなと思っていたが、テレクラ、電話帳から始まり昔から形は違えど知らない誰かと繋がるツールを人は求めていて、その延長上にいまのかたちがある。つまり、進化してより使いやすくなったし、誰かと繋がりたいその感情はなんら恥ずかしいことではないと思えた)

  • いかにして出会い系は生まれたか?◆変化するウェブ上の出会い◆何がエロ本を「殺した」か?◆「エロは無料」の衝撃◆性と快楽のイノベーション◆変わり続ける女性サービス

  • 以前は著者に対して新進気鋭の論客というイメージでいたのだけど、不倫騒動があってそのときの言い訳とかから「ブルータスよ、おまえもか」的な印象に変わった。といいつつ、著作を読むのはこれが初めて。もう少し考察にページを割いてもいいんじゃないだろうか。余計な解釈をいれずに変遷を追ったり現場のレポートを入れているともとれるんだけど、興味本位でまとめただけみたいな感じもしちゃう。
    白眉は現場の人たちへのインタビュー。特に、ワクワクコミュニケーションズ代表取締役、芳賀書店社長・芳賀英紀氏、株式会社典雅・松本光一社長、オリエント工業・林拓郎氏は、志あるイノベーターという感じ。セックス関連産業という日陰のイメージの裏に、こんな志高い人たちがいるんだという心地よい驚き。それぞれが社会のなかでどうあるべきかということを考え、アクションしているのが共通点か。

  • 風俗、エロ本、アダルトサイト、出会い系サイト、大人のオモチャ-。現代日本は多種多様なセックスメディアで溢れている。1980年代から2010年代までのセックスメディアを総合的に捉え、その変化と実像を解き明かす。

    ツイッター,ラジオなどでよく目にする荻上チキの本。
    統計や参考図書,インタービューにより,淡々と語られていて興味深い。

  • 参考文献を読み漁っています。チキさんの『セックスメディア30年史』はテクノロジーに駆動されるエロ史をあえて大風呂敷を広げるのではなく、携帯の普及を分水嶺に射程を絞っているのに好感を持てる。エロ史の分析においても、レッシグのアーキテクチャフレームワークが有効になるのは発見だった。ぶっちゃけると、TENGA松本さんとオリエント工業さんの社員インタビューだけでも読む価値のある一冊。やはり真のイノベーターはエロ業界にいる。

    エロ本といえば、「オカズ系」メディアの代表的存在...のはずだった。70年代の自販機本の登場、80年代のビニ本ブーム、そして90年代初頭のエロ本バブル。エロ本の発展こそがアダルトメディアの発展であり、「不況でもエロ本は売れる」という格言が、エロ本業界にはそれなりに浸透していたほどだ。しかし90年代後半から00年代にかけて、エロ本不況が叫ばれるようになった。p104

    TENGAのオナカップ、オリエント工業のラブラドール。いずれの制作秘話にも、「障害者の性」というキーワードが出てきたのは、必ずしも偶然だとは思えない。両者とも、これまで可視化されにくかったニーズと向き合いながら、ユーザーの声を取り入れながらイノベーションを起こしてきた。なかなか陽の目を浴びることのなかった欲望の担い手たちとの細やかなコミュニケーションがなければ、アダルトグッズの風景が変わることもなかったのだ。p232

    アメリカの法学者、ローレンス・レッシグは著書『CODE』の中で、特定の対象に規制をかける場合、法、市場、道徳、アーキテクチャ(設計)の四つの力が重要になると指摘している。p249

    技術的要因もまた、セックスメディアの変化に大きな影響を及ぼしている。映画の発展がポルノ映画というジャンルを確立し、ビデオの普及がセックスメディアの市場を拡大した。本書が注目したのは、ケータイやインターネットの定着だ。これらニューメディアの拡大が、アダルトサイトの乱立をもたらし、新しい市場をも生み出した。
    新しい技術が発明されると、新しい市場が生まれ、古い市場の形を変える。エロ本やアダルトビデオ、さまざまな風俗産業の盛り上がりは、「裸の希少性」を変えることによって、ストリップ小屋やポルノ映画などから客足を遠ざける要因にもなるだろう。p257

  • 2016/12/07
    エロは滅びなくてもエロ本は滅びるのかもしれない
    エロはタダなのか?
    性欲の解消方法は普遍的な問題で、ある種平等な定規かと思う

  • 新書文庫

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著者プロフィール

1981年生まれ。評論家。メディア論を中心に、政治経済、社会問題、文化現象まで幅広く論じる。NPO法人ストップいじめ!ナビ代表理事。ラジオ番組『荻上チキ・Session-22』(TBSラジオ)メインパーソナリティー。同番組にて2015年度、2016年度ギャラクシー賞を受賞(DJパーソナリティー賞およびラジオ部門大賞)。

「2019年 『ネットと差別扇動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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