現代語訳 福翁自伝 (ちくま新書)

  • 筑摩書房
3.92
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本棚登録 : 1103
感想 : 97
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066206

作品紹介・あらすじ

『学問のすすめ』『文明論之概略』などを著し、慶應義塾の創設にも力を尽くした近代日本最大の啓蒙思想家・福澤諭吉。その自伝のエッセンスが詰まった箇所を選出し現代語訳。激動の時代を痛快に、さわやかに生きた著者の破天荒なエピソードが収められた本書は、近代日本が生み出した最良の読み物のひとつであり、現代日本人が生きる上で最高のヒントを与えてくれるだろう。

感想・レビュー・書評

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  • 2011年出版。齋藤孝さん、現代語訳。慶應義塾大学の創始者、お札の肖像画、歴史の教科書にも登場する認知度の高い有名人。しかしながら、どんな少年時代青年時代を送られたのか、ほとんどと言っていいほど知りませんでした。早稲田大学の創始者である大隈重信さんとは対局的で、終生在野を通された方。内容は、自伝にありがちな都合のいいことばかり書き並べるのではなく、大酒飲みで素行の悪いことも書かれており、とても近しい存在に思えました。しかし筋の通った方であることは、よく知ることができました。私が大阪に住んでいた頃、淀屋橋にあった適塾跡を訪ねたことがあります。なんだか幕末の時代に勉学に励んだ若者たちの息遣いを感じた印象が残っています。蛇足ではありますが、自伝中に、手塚治虫さんの曾祖父が登場されるのが興味深かったです。

    • 本ぶらさん
      どうしたんです?
      こんなシブい本を読みたいって(^^ゞ
      どうしたんです?
      こんなシブい本を読みたいって(^^ゞ
      2022/02/23
    • yhyby940さん
      本ぶらさん、コメントありがとうございます。ちょっとした心境の変化とでも言いますか
      本ぶらさん、コメントありがとうございます。ちょっとした心境の変化とでも言いますか
      2022/02/23
  • 「学問のすすめ」、そして一万円札の顔として知らない人はいないであろう福澤諭吉。その自伝がおもしろいと良く聞くので本書を読んでみた。
    まず第一に、福澤諭吉のイメージががらっと変わった。聖人君主のような人柄、人生を想像していたが、とんでもない。驚くほど人間くさい。基本斜に構えて、どこか人をバカにするような見ていて、飄々としてどこか冷めている。間の抜けた所もあるしやんちゃな部分も見て取れる。近くにいたら友達にでもなれるんじゃないかと思ったり。
    では福澤諭吉の何がすごいか。本人が「喜怒色に顕わさず」という言葉を大事にしていると述べていたが、どんな時でもブレない。自分の信念、軸が一本スッと通っている。
    借金は決してしない、愚痴は言わない、なにか大変なことが起こってもそれを不自由と思わない…等、基本他責で物事を考えず、常に自責で物事を考える。
    また、福澤諭吉は中津の国の下士の身分の出であった。そういった生い立ちもあり、誰に対しても平等にフラットに向き合う。そして人によって態度を変えたりということはなかった。
    当時で言えば変わった人間だったのかもしれないが、結果的には大成して今やお札の顔となっている。
    幕末という混沌とした時代を、自分の信念をもって飄々と駆け抜けた福澤諭吉を純粋に素晴らしいと思った。今の時代を生きる人たちにも、福沢諭吉の生き方は刺さる部分があるのではないだろうか。

  • まず福澤氏がひたすら酒好きというのに驚いた。アメリカに初めて渡ったときの、日本人のはしゃぎっぷりも読んでいて笑える。福澤氏といえば「学問のすゝめ」だが、そこでは語られなかった福澤氏の人となりを見ることができた。

  • 学問のすすめとセットで読むべしとあったので併読した福沢諭吉の自伝。なるほど、このような若干天邪鬼のようでいたずら好き、酒飲み、意見については頑固な性分だけど、人には等しく接し、バカをするが間違った大ごとはせず、血が怖く、という親しみやすさ。この性格でアメリカ、欧州に渡って見聞きしたことをもとに自由な社会を目指す(渡る前から思っていたが)というのも納得。政治の下戸であり士官せず、日本を窮屈な人間世界と考えて自分を信じて行動に移すこと、そこに原点があるんだと知った。「西洋事情」も気になった。
    256冊目読了。

  • タイトル通り福沢諭吉の自伝である。その自伝を著者が抄訳したものであり全編ではない。福沢諭吉とはどんな人物でどのような生涯を辿ったのかが分かるようになっている。自己啓発書というよりは、読み物として読むべき。

  • 福澤諭吉が還暦を超えた頃に人生をざっくばらんに振り返った本。全体の20%は酒の話。
    特に中盤で禁酒を誓った福澤が、友人に「キツい我慢はよくない」と唆され煙草を吸い始めた挙句に禁酒にも失敗し、ただの大酒飲み&ヘビースモーカーに成り下がった話は涙なしには読めなかった。

    気難しそうな顔からは想像し難い、破天荒な人物像。しかし、男子高校生のような言動ばかり。
    友人に「鯛だ」と言って河豚を食わせ、「お前は河豚を食った、もうすぐ死ぬ」とビビらせ横で爆笑してたり、神社の御神体をその辺の石ころにすり替え、それを知らず人が拝んでるのを見て爆笑してたり。

    しかし勉強に対する熱意も凄まじい。
    昼夜問わず蘭学書を読み続け、たまには枕で寝るかと思ったら、実は枕で寝たことがそもそもなく持っていない、と気づく程度に。
    読んでいく中で、その継続する熱意には驚かされたが、現代での「勉強」とはかなり色が違うなと思うようになった。福澤がハマっていた幕末〜明治初期の『勉強』は、今まで日本で閉じた世界しか知らなかったところに降ってきた未知のものである。
    これは今で言う『勉強』とは全く違い、掘れば掘るほど、進めば進むほど必ず知らないものが出てくるという、もはや『冒険』のようなもので、そりゃハマるわと思った。

    今の「勉強」は全世界が可視化され、そこを生きていくための教養がベースなので、どんなに勉強しても「他の人も知っていること」の範疇を出ない。なのでワクワクしない。
    大学研究以降の「他の人が知らないこと」に到達するまでがあまりに遠すぎて、現代に福澤のような人間を量産するのは難しい。

    あと面白かったのは、欧米旅行に行った時にそこで見る科学知識の大半は既に書物で知ってきたので、もっぱら興味は社会構造や法律の理念などだったという話。こればかりは現地でないと分からない、ということが分かったのが収穫と述べているけど、まさにその通りだなと思う。

    1冊を通して「知らない世界を知る、見る」ということは強烈な原動力になるんだなと思いつつ、今の世界で自分が見いだせる知らない世界はやはり人の中なんだろうなと思ったり。
    現代語訳もかなりフランクな口語でされており、ざっくり読めて面白い本だった。

  • 福翁自伝読了。
    現代語訳の学問のすゝめに続き本作も斎藤先生による現代語訳で読みました。
    斎藤先生の現代語訳はとても読みやすく抵抗感なく読み進められました。
    恥ずかしながら福沢諭吉さんのことを詳しく知らずにここまで生きてきましたが、この本を読んでイメージがガラリと変わりました。
    もちろん現代日本へも多大な影響を与えた偉人の一人でもありますが、何も隙がない訳ではないことがこの本で分かりました。
    お酒がやめられなかったり、人をからかって騙したりすることがあったりしていて全くイメージになったので驚きました。
    自身が臆病者であるエピソードの箇所は思わず笑ってしまうようなユーモアもありそういうことを考えるとある意味隙がないのかなと感じました。
    この本を通して感じたのは、福沢さんは自分の身に起こることを誰のせいにすることなく良いことも悪いことも全部自分が引き起こしたことと捉えている点に自立するとはこういうことなのだと思わされました。
    今後の人生において何回も読むことになりそうな作品でした。

  • 福沢諭吉の自伝。学問のすすめがなんとなく硬い印象を持っている人はぜひ読んでほしい。

    日本の一万円札の人だから、ではなく単に面白い伝記として読んでほしい。もちろん偉人なので人生の教訓にもなる部分もあるが、天の上の人ではなく、同じ人間として捉えることができるようになると思う。

    福沢諭吉のファンになること間違いなしの一冊。

  • 福沢の破天荒な生き方に意外性を覚えた。近代日本の学問の始祖でありながら、真面目一徹ではなく、多くの友人と遊び、楽しく暮らしていた。彼の豪胆さや心の広さは見習いたい。

  • 一万円、学門のすすめ(未読)、脱亜論(未読)というイメージしかなかったので、お堅い真面目な人だったのだろうな、と勝手に思っていましたが、全然違いました笑。持ち前の行動力と茶目っ気で、面白い人生を歩んだ人なんだ、と印象がガラッと変わりました。周りに結構悪質なドッキリを仕掛けたり、自分の物腰で相手の態度かどう変わるかというような社会実験もしてて今のYouTuberみたい笑。
    不思議なのが、福沢諭吉を主にしたドラマとか映画って他の幕末~明治の有名どころの人物に比べて、少ないですよね。何でだろう?アメリカやヨーロッパ渡航もしてるし、大河とかにしたら面白そうだけどな。
    それはさておき、他の著書も読んでみようと思いました。

    ~追記~
    ドラマ映画化がほぼ見られないのは、脱亜論を書いた人物でもあるので、中韓に配慮してのこと、とある人に言われ納得した。

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著者プロフィール

明治を代表する啓蒙思想家。大坂(大阪)、適塾にて緒方洪庵に蘭学を学んだ後、江戸にて中津藩中屋敷内に蘭学塾を開く(後の慶應義塾)。幕末、3度の渡米・渡欧を通して各国を視察し、『西洋事情』(1866~70)を著し先進時な欧米文明を紹介。『学問のすゝめ』(1872)、『文明論之概略』(1875)等の著作で、日本の近代化に大きな影響を与える。生涯を通じて女性の地位向上にも関心を寄せ、『女大学評論・新女大学』(1899)を代表とする女性論で女性の独立を訴えた。

「2020年 『現代語訳 女大学評論 新女大学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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