公務員革命: 彼らの〈やる気〉が地域社会を変える (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.62
  • (10)
  • (34)
  • (28)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 227
レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066329

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • アンダーマイニング効果。パズルを解くごとに1ドル与えられるのと、何も与えられないのとでは休憩時間中、与えられない人の方がパズルをする。それは目的がお金になってしまうから。
    ワークショップの募集の時も同じな気がする。その後のことを考えるとお金は払わない方が続くのではないか。
    一部の人しか参加しないというが、まちは一部の人の頑張りで成り立っているもので、そのような芽を発掘するという点で良いと思う。

  • 筆者は元役人で行政経験を持つ学者の方です。実務経験をお持ちであることもあり、本書の内容にかなり説得力があり、安心して読むことができました。

    組織で働く上での動機づけは経営組織論や組織心理学のテーマであり、主に民間企業を対象とした議論や研究が多いため、公務員の動機づけを扱った書籍は少ない。そのため、本書は公務員のモチベーションや動機づけを扱った貴重な文献でしょう。

    まず、日本の行政組織では見せかけの勤勉さとは裏腹に本物の”やる気"はむしろ低下してきており、この傾向は欧米やアジアの国々とは対照的であることが現状のようです。この現状を踏まえて、どのような組織を作り上げ、職員としてどのように働くことが望ましいのかといったことについて、本書を読めばたくさんのヒントを得ることができます。

    公務員が仕事に満足感を覚える要因として、奉仕の精神と関連した内発的動機づけが挙げられ、自律的・自発的に仕事ができる時に”やる気”が出るとようです。これは簡単に想像できる話ですが、実際にこの傾向は民間企業の社員に比べて高い印象があると書かれています。全体的な傾向として、現場の若手に実質的な権限が与えられ、草の根的な実力主義が存在したのは昔のことであり、最近では「奉仕の精神」や「内発型のモチベーション」が抑制される傾向にあるとのこと。

    また、目覚ましい成果をあげている自治体には、「やる気の天井」が高いキーパーソンがいることが多いようです。ハイレベルで自発的なモチベーションの源泉として、「自律」「承認」「夢」の3つの要素があり、筆者はこれを「超やる気の三要素」と名付けています。本書の中では、このような要素を持てるようになるためには、管理職のファサードの影響も大きいと述べられています。これらの要素が持てる職場づくりが組織運営で不可欠なのでしょう。

    一方で、役所組織という枠の中に収まらないほどの夢を持ち、並はずれたモチベーションと行動力の源泉となり、役所を抜け出す(転職する)事例も紹介されています。筆者はそのような転出には否定的ではないようです。むしろ、将来に大きな夢を持った公務員が今の時代に求められている、と筆者は考えておられます。役所の内向きで閉鎖的な体質を改善する上でも、仕事の視野を広げ、広い範囲の人々とのコミュニケーションを促す組織体質が重要です。そして、役所の風土改革のためには、トップのリーダーシップが不可欠であるということです。

    役所の現場もいろいろあり、本書の内容が一概にすべての現場に当てはまるものではないでしょう。しかし、事例も多く引用されており、大所高所から自治体の現状がわかりやすく整理されており、とても勉強になる本です。

  • 文中に元公務員であったことを書いているだけあって、内情をよく理解していらしゃる。ただ、もっと根は深く、なかなかパラダイムシフトには至らないのが実情。「手段が目的化」というのは、常々思うことで、やる気どころか失望感が増すばかりである。これを変えてゆくのはかなりの荒療治が必要だ。

  • 公務員。何のために仕事をしているのか?やる気、モチベーションを維持することが難しい職種と20年以上勤め上げて感じることである。

    やる気の素は「自律性」と「承認」。
    自律的に創意工夫をして承認されればモチベーションが上がるのかなぁと思うのだが…

    「組織は、仕事をするために存在し、組織のために仕事をしているわけではない。」という締めくくりが的を得ているとすごく感じた。
    馬鹿幹部や馬鹿上司のために仕事をしているわけではない!と言いたい。

  • 読了。

  • 組織論を専攻し、これまでも企業におけるモチベーションなどに関して複数の著書を持つ研究者による良書。

    本書における著者の主張は明快で、
    「公務員には地域社会をよりよくする可能性があるのに、
    マネジメントがまずいために彼らのやる気は奪われている」
    というもの。
    過剰な管理主義により、公務員を身も心も“公僕”にしてしまうのではなく、
    “主役”としてのやる気を引き出すためにはどんな方策が考えられるのかということが論じられている。

    私自身も公務員への就職を目指す身なので、他人事ではないなということを思いながら読んだ。

    誰かのレビューにある通り、
    『公務員革命』というタイトルは少し読了後の印象とのズレがあり、
    商業的な意図が強い気がする。
    とはいえ役所の中で立場ある方がこの書籍を見つけ、
    役所一丸となって人事制度・マネジメントの改革に本気で取り組んだならば、
    地域に良い変化がきっと起こるのだろうと、信じたくなる作品でした。

  • 公務員バッシングの風潮に警鐘を鳴らし、公務員のヤル気を起こさせるための方策が提示されたいい本だった。

  • 2013年39冊目

  • 本書では、現行の地方自治体の人事制度の問題点を挙げ、どうすれば自治体職員の士気が上がる制度になるか、ということについて論じている。現行の人事制度は、個人を組織の中で管理する制度であるので、地域にとってプラスになる行為であっても、組織の行動原理から外れた行為を、職員が取りづらくなり、職員の士気が頭打ちになる制度であると指摘している。その上で、筆者は職員の「やる気」を生かすためには、職員個人の仕事の範囲を明確にすること、仕事のプロセスよりも成果を管理すること、職員個人の仕事に自律性を持たせることをすべきであると主張している。
    筆者の主張は理解できるが、筆者の提案の実現可能性には疑問がある。例えば、我が国は集団で仕事を行うことが多いので、個人の仕事の範囲を明確にできるかどうかという問題がある。さらには、筆者が主張する「あいまいな」人事制度は、確かにやる気のある職員にとってはいいかもしれない。しかし、やる気のない職員が、仕事をしなくなるのではないか。
    いろいろ述べたが、公務員の人事制度の問題点が、分かりやすくまとめられている点は評価できる。

  • 経営学の観点から、公務員についてとても示唆に富み、分かりやすく説明している。今、自分の周りの例からも、これまで研究等で接した例からもとても納得出来る内容。

全43件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1954年兵庫県生まれ。同志社大学政策学部教授。神戸大学大学院経営学研究科修了。京都大学経済学博士。専門は個人を尊重する組織の研究。おもな著書に『公務員革命』『ホンネで動かす組織論』『ムダな仕事が多い職場』(以上、ちくま新書)、『がんばると迷惑な人』『個人を幸福にしない日本の組織』(ともに新潮新書)、『個人尊重の組織論』(中公新書)などがある。

「2018年 『「ネコ型」人間の時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

公務員革命: 彼らの〈やる気〉が地域社会を変える (ちくま新書)のその他の作品

太田肇の作品

ツイートする