階級都市: 格差が街を侵食する (ちくま新書 937)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 289
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066367

作品紹介・あらすじ

「格差」が問題視されるようになって、はや数年。ついに格差は、風景にまで現出してきた。小さな木造家屋が建ち並ぶ下町に、富裕層向けマンションが建設され、昔ながらの街の景観は破壊される。同時に、地域間の格差は拡大し、富めるものは富める地へ、貧しいものは貧しい地へと、振り分けられる。そして、「山の手」「下町」といった歴史的な境界線は、都市をより深く分断する。まさに「階級都市」の出現である。本書では、理論、歴史、統計、フィールドワークなど様々な視点から「階級都市」の現実に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の「<格差>と<階級>の戦後史」から。

    上記の本と同様の、階級論についての硬派な本かと思ったら、硬派なのは序盤だけ。中盤からは階級を主座に置きながらも、東京のフィールドワーク、要は街歩きの案外軟派な本だった。

    大阪に置き換えるとどこになるだろう、と考えながら思った以上に「楽しんで」読む事が出来た。

    気軽なテーマから階級・格差を考えてみたい人、純粋に土地の高低差に関心がある人にオススメ。

    京都・出町座にて購入。

  • 後半の町歩きパートが1番面白かく、
    様々な街の成り立ちも立体的になったが

    階級都市というタイトルに比して
    東京における格差の実態の部分があまり説得力をもって
    描かれていないと感じる

  • 副題の印象とは違って、東京、それも23区内の地域別の住所地による住民の階級差(具体的には職業、収入、学歴の差)を詳しく見ていったフィールドワーク。
    行ったことのある人でないとわからないくらい詳しく、具体的で面白い。

  • 流し読み

  • 社会

  • 第2章の生産/消費としての都市空間レビューは参考になった。本自体は都市=東京だけど、経済資本の差が都市の階層を規定するプロセスは下町や山の手においても同じ、特に新山の手の形成や下町の「ジェントリフィケーション」っていう内部格差が問題視されているらしい。格差が進めば階級間はますます対立が進展していくが、異なる階級や階層が共存する状態もまた都市の民主主義に貢献する。まあ「格差は小さいほうがいい」にこしたことはないが、地域やコミュニティ単位でどう括るかっていう問題でもありそう。

  • 様々な視点から東京23区内にある格差が説明されている。過去からの東京特有の構造上の問題が格差に影響しているという指摘がなされている。
    後半では実際の光景を紹介している点も興味深かった。しかし、地域内格差を解消すべしという結論には納得ができない。最後にいきなり、”交雑都市へ”という主張がなされるが、安易すぎるだろう。社会学者が書いているのでこの点はしょうがないかもしれない。

  • 自分が一番気になっていた、都内での格差をデータから紐解いていて、とても説得力があった。
    常日頃から、東京ってどうしてこんなに高級住宅街があれば下町もあって、そして東京に憧れを持つのか、不思議でした。
    東京の歴史的生い立ちから説明したり、とてもワクワクしながら読めました。

  • 東京都心の格差を幅広い視点から解説した1冊。東京在住の東北出身者は他の出身者に比べて学歴が高くないなどショッキングなデータも紹介されている。「下町」「山の手」とされるエリアの変遷が面白い。台地と低地の所得格差はやはりあるようで、これまでの分析を補強している。

  • 地方出身の自分にとって、東京(23区)内で地域格差が歴史的にあるという事実は知らなかったので興味深く読みすすめました。

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著者プロフィール

橋本 健二(はしもと・けんじ):1959年生まれ。早稲田大学人間科学学術院教授。専門、社会学。

「2023年 『階級とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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