若者が無縁化する: 仕事・福祉・コミュニティでつなぐ (ちくま新書 947)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066503

感想・レビュー・書評

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  • ざくざく読む本用に、図書館で借りた。

    若者論っぽいかんじの本だと思って借りてみたら、若者の生活基盤とか、生活保障とかの本だった。あまりこれまで読んでこなかった本なので、おもしろかった。
    中間的労働市場に興味がある。
    わたし思ったより若者の労働支援みたいなのに興味なさそう。

  • 少し前の地元紙の本紹介で紹介されていた本

    もうこの本を読んでため息した出てこなかった・・・
    ちょっと前の生活保護不正受給問題やらNHKで放送された無縁社会だの
    いろんな問題とリンクしていて、大丈夫か日本?とため息しか出てこなかった
    明るい要素を探すのが難しかった・・・

    今や「貧困」は大人だけの問題じゃない
    貧困世代の大人の子供も結局「貧困」になってしまう
    世代で貧困が受け継がれてしまう、ここから脱するのは困難だ

    P17の文章が刺さった・・・
    「お金がないために人とのつながりを保てない、労働の場や社会活動に参加できない、
     衣食住の点でみじめな思いをする、人間としての可能性を大きく奪われる、
     子供を安心して育てることができないなど、社会的・文化的な条件の欠如を加味したものが
     相対的貧困である」
    「貧しい家庭に育った子ども・若者が厳しい競争社会のなかで敗者の地位に追いやられている」


    子どもや若者の可能性は無限大なはずなのに、養育者が貧困だったら、その能力を伸ばす機会さえも
    奪われてしまう・・・
    映画やドラマなら、それでも主人公は立ち上がってサクセスストーリーを歩んでいくんだろうけど
    残念ながら全員がそうなれるとは限らない・・・
    だからってお金さえ潤沢にあれば解決じゃない・・・

    私も18歳の時に大きな決断をした
    それは今ならもっと違う選択をしたけど、当時の私には「それしか」なかった
    後悔はしてないけど、もっと広い視野が欲しかったなぁと思う
    その視野が自分になければ、その視野を与えるための人が、家族のように感情的な意見ではなく
    客観的な意見を言ってくれる大人がいたらと思う
    まぁ私がキャリコンになりたいと思った原点なので、これもまた良い経験になったのかなって思うけど(笑)

    これからの日本を長い期間生きていく子どもや若い子たちが、もっと希望を持てる世の中にしないと
    いけないんだよね・・・

  •  現在の日本の社会保障、福祉政策は、高齢者に優しく、若年者に手厳しい。納税者である現役世代に対して厳しい状態が続けば、税収が減少し、高齢者の福祉も立ち行かなくなる。だから、今、若者問題に真剣に取り組まなければならない。現行の施策では若者の雇用情勢の悪化が止められない状況が続いている。それは、現行の施策が、世界的な経済情勢の変化や人口構造の変化といったものに対応しきれなくなったことを意味している。本書では、これからの若者問題を解決していく上で必要とされる新たな視点を、雇用する側と若者側の両方から考え、若者を包括的に支援する仕組みについて考察している。

     若者が積極的に社会へ参加し発言し活動する環境の整備が必要だし、そういう場に参画できる若者へと教育・育成する仕組みも整えていかなければならないだろう。包括的な支援とは、単なる雇用対策ではなく、就労以前、つまり、教育、児童福祉などとの関わりも必要であり、いわゆる「縦割り」では成り立たない。職業教育から就職活動へ、生活保護から社会参加へ、失業状態から就労支援へ、不安定な非正規雇用から安定した雇用形態へ、それらの移行をシームレスに推進する仕組みがなければ、効果は表れないだろう。

     若者問題は、雇用問題だけでなく、日本の将来にも大きな影響をもたらす。宮本氏は次のように書いている。

    (以下、引用)
     賃金を補う子ども手当てや教育助成金、住宅保障があれば、結婚し、子どもを育て、生活の安定は保てる。また、失業や転職を頻繁に経験することも見越した失業手当や職業訓練費助成の拡充が必要である。そうすれば、失業しても当面の生活に困ることはない。また、再就職のための教育や職業訓練の環境が充実していれば、次のチャンスをつかむことが容易になるはずである。これらをはじめとする新たな社会保障制度や社会システムが、労働による社会参加(労働の義務)とセットになってはじめて、若者は社会へと参画し、社会の担い手となっていくことができるのである。少子高齢化の進むわが国の将来を若者に託そうとするなら、若者が自立できる環境条件を整えることが必要であろう。

  • この著書はデータをたくさん掲載されている。

    対として、
    「若者はなぜ正社員になれないのか」
    を読むといいと感じた。
    こちらは実体験を通した著書であるので
    データの著書と実体験の著書は
    こうも考えが違うのかが分かると思う。

  • 図書館で借りた。

    若者が働きたくても働けない状況にあるのはなぜかを分析し、それにより働けないこと以外に何が起きているのかを解説し、対策を述べている。

    企業が採用の姿勢を変えるというような就職の時点での対策だけでは不十分だとあった。小・中のときに貧困だと非正規就業となりやすいこと、そのような人たちは支援があることすら知らないことがあるためだという。できるだけ早い時期に見つけて支援することが二極化を防ぐ方法だと言っていた。

    若者支援の一つで社会的企業が取り上げられ、そこで紹介されていたK2インターナショナルに興味がわいた。共同生活をさせて、自社の飲食店での就労などもできる仕組みだった。
    公的資金を得ることのメリット・デメリットにも触れており、支援には色々な要素が絡むことを理解できた。

  • 【読書その63】若者の貧困問題の実態を明らかにし、その対策について論じた本。著者は、政府の若年者対策の審議官等の委員もされている、放送大学教授の宮本みち子氏。
    まず、若年者のデータ的なところを整理すると、2010の労働力調査(総務省統計局)では、15歳~34歳人口のうち、失業者が134万、フリーターが183万、ニートが60万。
    2007の厚労省の若者自立塾、サポステの実態調査では、ニートの8割が職歴あるが、経験職種はサービス業、土木作業等の生産労務職、営業販売職などの熟練を要しないアルバイト中心であり、不安定就労になっているという。
    さらに、ニートの中には就職を希望していない「非希望型ニート」には低学歴、低所得家庭出身者が多い。労働市場で不利な立場に置かれ、誰からも支援を受けられず、結果としてニートになっているという。
    特に重要だと思ったのが、「もっとも脆弱な層である不就業の状態にある若者は職業教育の充実だけでは救済できない重層的な困難を抱える。雇用対策が効果を発揮するには家族支援と福祉や医療も含めた包括的な支援が必要。ニート問題を労働に関する問題に矮小化すべきではない。」という指摘。
    自分自身が担当した生活保護受給者の若年層もこのような重層的な困難を抱えていた。ハローワークで仕事を見つければスムーズに自立した生活が送れるとは到底思えないような家庭環境や生活習慣であった。
    本書で特に注目したのが、釧路市の生活保護受給者への自立支援の先進的取組。
    生活保護受給者は非常に様々な困難を抱えている。その実像を無視して就労支援をしても効果があがらない。そこで、いきなり就労支援を行うのではなく、まずは日常生活、社会生活自立を達成し、就労自立に至るように段階的にプログラムを組んでいるという。
    釧路市では、意欲向上のための活動やボランティアや就業体験への参加を半就労・半福祉の「中間的就労」と位置づけている。人は、社会に参加し、活動し、他者との相互関係の中で自分自身の存在意義を実感できる場が必要なのである。著者も指摘するように、このような釧路市の取組は若年者への施策にも十分参考になると思う。

  • 主にEU諸国の青年政策を概説した上で、我が国の青年政策を照射する本。内容は包括的で、我が国については横浜・静岡など地方での取り組みを採り上げている。青年政策を考える上で基礎文献となるのは確か。

  • タイトルは新書なので書名と内容とあまり関係ないです。
    ニートやフリーターといった層は学校のどこかでいじめなどにあってしまっていることが多くなりたくてなったわけではない。
    低所得者層は再生産される。
    ニートはイギリスでは10代に適応されるが日本は拡大され35歳までとされる。
    フリーターはリクルートが命名。

  • 最近問題になっている格差社会の中で若者に焦点を充てた1冊です。
    土曜日から東京で研修を受けるために新幹線の中で読んで、低学歴と雇用形態の問題を中心に書かれていました。

    教育は本来平等であるはずなのに、所得によって格差が生じている。
    今後も注目していきたい視点です。

  • 会社の中でも年齢構成のバランスが崩れ、若手が閉塞感を感じてしまい、また登用が難しくなってきているのを実感しています。一方、それ以前に社会においてもバランスが大きく崩れ、若手を支援する必要性が高まっている事を実感しました。
    なんとか「自分で作る力」を若者達に身につけてもらい、会社に依存しない人たちになってもらえるよう、自分に何ができるか考えてみたいです。

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著者プロフィール

放送大学名誉教授・千葉大学名誉教授。専門は生活保障論、若者政策論、家族社会学。東京教育大学文学部卒業(経済学専攻、社会学専攻)。お茶の水女子大学家政学研究科修士課程修了。社会学博士。こども政策の推進に係る有識者会議構成員、社会保障審議会委員、中央教育審議会委員、労働政策審議会委員等を歴任。著作に『ポスト青年期の親子戦略――大人になる意味と形の変容』(勁草書房、2004年)、『若者が無縁化する』(筑摩書房、2012年)、『すべての若者が生きられる未来を』(編著、岩波書店、2015年)、『下層化する女性たち』(編著、勁草書房、2015年)、『アンダークラス化する若者たち――生活保障をどう立て直すか』(編著、明石書店、2021年)など。

「2023年 『若者の権利と若者政策』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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