福澤諭吉幕末・維新論集―現代語訳 (ちくま新書 951)

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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066534

作品紹介・あらすじ

福澤諭吉の著した数多くの評論の中から、幕末・維新期の社会の様子を鋭く観察し画期的な提言が冴える四編を厳選して平易な現代語訳とした傑作選。旧幕臣の勝海舟・榎本武揚を筆で斬り、賊軍の首魁として散った西郷隆盛を弁護する。過去の封建社会・身分制の実情を浮き彫りにし、官尊民卑の風潮に痛烈な批判を浴びせ、民に用意された無限の可能性を力説する-新しい時代にふさわしい鮮やかな筆致で「この国のかたち」を大きく描き直す過程において何が必要か、我々に大きな示唆を与えてくれる。

感想・レビュー・書評

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  • 勝海舟や榎本武揚を批判した痩せ我慢の説など収録。ちゃんと批判した相手に文章を送っているあたりが現代人のブログと異なり正々堂々としている。
    内容の正誤は兎も古びない描写は流石。

  •  本書は、福沢諭吉の数多くの評論のなかから「旧藩事情」「痩我慢の説」「明治十年丁丑公論」「士人処世論」を現代語に翻訳したものであるが、現在読んでも興味深く面白いと思った。
     「旧藩事情」は、150年も前の日本社会の実情を手にとるようにあらわしている。しかも福沢諭吉は「この冊子は今は陳腐であったとしても、50年の後には逆に珍しく貴重な書物となり、歴史家の一助となるに違いない」と前書きで語っているなど、充分にこの書の価値を自覚しているなど、さすが幕末・明治を代表する知性人と驚嘆する思いがした。
     「痩我慢の説」での勝海舟と榎本武揚への批判の内容は、現在の目からは同意できにくい点もあるかと思ったが、これが当時の武家階級での教育をうけたもの達の価値観であったのだろうと、興味深く読めた。
     福沢諭吉は、明治政府につかえることはなく、在野の教育人として活躍した有名人であるが、くの教え子が「福沢山脈」として明治期の社会の各層で活躍し、強い影響力を誇ったと聞く。しかし、そのキャラは本書ではよくわからないようにも思える。
     本書は、福沢諭吉の知性人としての一面はよくわかったが、福沢諭吉個人の顔があまり見えないようにも思え、ちょっと物足りなく感じた。

  • 「福翁自伝」や「学問のすすめ」では分からない福澤諭吉の一面が強烈に分かる本。勝・榎本を一蹴し、西郷を守るための論陣をはる。武士として大切な「やせ我慢」の大切さを説き、官僚偏重ではなく民の重要性を説く。破天荒な福澤らしい主張が小気味よくまとまっている。

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著者プロフィール

1935~1901年。豊前中津藩(現・大分県中津市)下級藩士の次男として生れる。19歳の時、長崎に蘭学修行におもむく。その後、大阪で適塾(蘭方医、緒方洪庵の塾)に入塾。1858年、江戸で蘭学塾(のちの慶應義塾)を開く。その後、幕府の使節団の一員として、3度にわたって欧米を視察。維新後は、民間人の立場で、教育と民衆啓蒙の著述に従事し、人々に大きな影響を与えた。特に『学問のすすめ』は、17冊の小冊子で、各編約20万部、合計で340万部も売れた大ベストセラー。その他の著書に『西洋事情』『文明論之概略』『福翁自伝』など。

「2010年 『独立のすすめ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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