宮中からみる日本近代史 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066619

作品紹介・あらすじ

大日本帝国における主権者は天皇であり、その大権は、各国家機関を経て代行されるシステムとして運用されていた。しかし、それは天皇が単なるお飾りであったことを意味するわけではない。天皇自身も政治的意思を持ち、それを取り巻く機関「宮中」もまた、国家の運営に大きな力を持っていたのだ。「宮中」という視点から、「内閣」「議会」「軍部」など、各国家機関の思惑、それらから織りなされる政策決定時の錯綜に注目し、大日本帝国のシステムと軌跡を明快に提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 現代の日本と当時の日本との政治構造を比較した場合、もっとも異なる点は「宮中」と「軍部」という組織の有無である。当時の宮中と軍部は、現在の宮内庁や自衛隊とは比較にならないほどの権限を保持し、国家機関のなかでも際立つ存在感を放っていた。天皇と側近の政治的意思とは(2012年刊)
    ・第一章 近代国家の建設と新しい宮中の姿
    ・第二章 大正から昭和へ
    ・第三章 政党政治の時代から軍部の台頭へ
    ・第四章 戦争の時代
    ・第五章 破滅への道
    ・第六章 敗戦後の国体危機

    前著「昭和天皇側近たちの戦争」とかぶる部分もあるが、木戸幸一について、考え方を改めた部分があるという。また、本書では戦前と敗戦直後にも言及している。読み進める中で、昭和天皇や側近たちの選択によっては、悲劇を避けえたかもしれないいくつかのポイントについて、返す返すも残念な気持ちになったが、これは後世からの視点であり、当時の人々は限定合理的な中で判断せざるを得なかった事を理解すべきであろう。昭和史を知るうえで必読の一冊と言える。

  • [ 内容 ]
    大日本帝国における主権者は天皇であり、その大権は、各国家機関を経て代行されるシステムとして運用されていた。
    しかし、それは天皇が単なるお飾りであったことを意味するわけではない。
    天皇自身も政治的意思を持ち、それを取り巻く機関「宮中」もまた、国家の運営に大きな力を持っていたのだ。
    「宮中」という視点から、「内閣」「議会」「軍部」など、各国家機関の思惑、それらから織りなされる政策決定時の錯綜に注目し、大日本帝国のシステムと軌跡を明快に提示する。

    [ 目次 ]
    第1章 近代国家の建設と新しい宮中の姿―明治憲法体制下の宮中
    第2章 大正から昭和へ―元老西園寺による宮中管理
    第3章 政党政治の時代から軍部の台頭へ―宮中の苦悩
    第4章 戦争の時代―宮中新体制と西園寺の死
    第5章 破滅への道―側近による戦争終結への努力
    第6章 敗戦後の国体危機―象徴天皇制へ
    エピローグ 宮中を支えた「忠臣」たちの晩年

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 読了。

  •  歴史というものは、教科書を読んでもよくわからないと思っていた。
     おきた出来事はよくわかるのだが、その持つ意味はなかなかわかるものではない。
     本書は、明治期から昭和戦前期においての「宮中」を扱っているが、本書を読んで当時の政治風景がよくわかる思いがした。
     現在ではすでになくなっている「元老」や「内大臣」「侍従武官長」などの制度が当時どのような役割を果たしていたのかはなかなか歴史書を読んでもわからないのだが、本書は「宮中」が国家機構のなかで大きな役割を果たしていたことを詳細に解き明かしている。
     本書によると「宮中はほかの国家機関と同等か、時と場合によってはこれらを凌ぐほどの政治的影響力を保持していた」というのだ。
     「当時の政府や軍部などの国家システムは、それぞれに独立しており、意見が割れた場合、これを一元化する機能にかけていた」という。
     これを「天皇」が調整していたとは、現在とは全く違う政治的風景だ。「宮中の存在感は現代の我々が想像する以上に大きかった」。
     なるほど「英明なる君主」は、当時は国家システムとして必要だったわけだ。
     これを読んで当時の軍部が「宮中」の官僚を「君側の奸」と叫んだ理由がよくわかったように思えた。
     時代は「5.15事件」「2.26事件」「満州事変」「日中戦争」と進むわけだが、その経過は、「国務」と「統帥」の狭間で身動きが取れなくなっていく日本の姿だ。
     「天皇」と「宮中」がそれぞれ独立している「国家機関」の意見を調整できているうちは良いが、調整が困難になればたちまち制度は軋んでいく。
     本書を読むと、この時代の日本が戦争に突き進んでいった理由の一つに、当時の国家システムの不備があったことは間違いがない。
     それにしても、この時代の歴史書はずいぶん読んだつもりだが、「宮中」がこれほど重要な役割を持ち、大きな存在であったとは驚いた。これだから歴史は面白い。
     本書は、昭和戦前期を知る上で、非常に興味深い本であると高く評価したい。

  • 近代史は苦手なので、この本の善し悪しは分からないけど、宮内大臣と内大臣の権能が丁寧に解説されていて、興味深い。
    言及はされていないが、読んでいると現在の皇室や一般の国民をとりまく環境についても考えさせられた。

  • 日本の近代政治史では「宮中」という勢力がしばしば登場するが、本書では明治維新後における宮中勢力の成り立ちから大正・昭和にかけての変容について述べられている。内閣や軍部といった各機関が多元的に行動してまとまりを欠くなか、天皇の「側近」がどのような政治意思で行動したのか、時代に沿って論じられている点は興味深い。ただ、概要の説明なしに事件や人物の名前が登場するので、「日本史用語集」が手許にないと少し混乱してしまう。西園寺公望や牧野伸顕、木戸幸一といった人物がなぜ側近として登用されるようになったのか、そもそもの解説があればもっとよかったかも。

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著者プロフィール

昭和46(1971)年石川県生まれ。立教大学大学院文学研究科博士後期課程修了。現在、立教大学・明治大学兼任講師。専攻、日本近現代史。
主な著書に、『昭和戦前期の宮中勢力と政治』(吉川弘文館、2009年)、『宮中からみる日本近代史』(筑摩書房、2012年)、『牧野伸顕』(吉川弘文館、2013年)、『象徴天皇制の成立』(NHK出版、2017年)などがある。

「2018年 『関屋貞三郎日記 第一巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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