暴走する地方自治 (ちくま新書 960)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 284
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066640

作品紹介・あらすじ

「地方から国を変えよう!」のかけ声のもと怪気炎を上げる知事や市長、地域政党。彼らは行政の無駄を廃した地元の発展、自立した地域同士の連携によって国と対峙することを目指している…ように見える。だがその主張は矛盾だらけ。幻想の地域主権と言わざるをえない。この熱狂の行き着く先には何が待っているか。"改革派"首長が掲げた政策と彼らの政治行動、さらに結果を分析しながら、あらためて地方自治の根幹を問いなおす。

感想・レビュー・書評

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  • 改革派首長と言われるような知事や市長の暴走ぶりをまとめつつ、国政の批判、欧米の地方行政体制の解説など論点が多岐に渡る構成に、その結論がよくわからなかった・・・

  • 大阪市の橋下徹市長、名古屋市の河村たかし市長など、"改革派"と呼ばれる首長による功罪入り乱れる地方自治を扱った本。

    議院内閣制の国と大統領制の地方、変革がどちらから始まるかといえば、トップダウンで新しいことを導入しやすい地方であろう。その辺りの制度上の差異や戦後からの改革派首長の系譜など、解説的な部分は非常に参考になった。

    一方で橋本大二郎高知県知事や田中康夫長野県知事、東国原英夫宮崎県知事など、個別の政治家に対する著者の評価は蛇足な面が否めない。

    変革に伴う失敗事例を揚げ足とりのように取り上げ、市町村合併や道州制といった話題には一家言ある論調なのは、旧自治省出身の学者である著者のポジショントークであろう。

  • 地方自治について基本的なお勉強。外国のしくみなども紹介されており、とても勉強になりました。とくに新潟とイギリスはよかったです。ただ、大阪や名古屋のあたりでは「できない理由」が「なじみ」みたいな感覚的な理由に頼るところもあり、「できない理由」が先に出るあたり、官僚的だなあ、とも思いました。二重行政についても、「二つの図書館や球場は役割を分ければよい」とシンプルに答えていますが、神戸市に住んでいると、そんなにシンプルに流していいの?と思います。さてさて。

  • 大阪都構想など地方分権を目指す動きの事例集で、地方自治の入門書としては手頃。自治体の位置付けや地方行政の仕組みが丁寧に解説されていて勉強になる。
    「構想は華やかだが実現可能性とその効果には疑問」というのが筆者の主張のようだが、その批判は少し「できない・意味ない」と駄々をこねているようで、「もっとこうしよう」という建設的な批判がないのが物足りなかった。新書だから丁寧に論証する紙面が避けなかっただけなのかな。

  • 本書の主張は「不易流行」なんだろう。それにしても通読して論が一定していない感があった。暴走しているのは首長なのだが、同時代を生きる著者や我々がすべての革新派首長を「暴走」と評価してよいか疑問が残る。例えば脱ダム宣言(長野県)に対し私は一定の評価をしている。阿久根市は当初の報道から暴走だと感じたがw 根底に流れるのはThink globaly,Act locallyかも。

  • (^▽^)/

  • [ 内容 ]
    「地方から国を変えよう!」のかけ声のもと怪気炎を上げる知事や市長、地域政党。
    彼らは行政の無駄を廃した地元の発展、自立した地域同士の連携によって国と対峙することを目指している…ように見える。
    だがその主張は矛盾だらけ。
    幻想の地域主権と言わざるをえない。
    この熱狂の行き着く先には何が待っているか。
    “改革派”首長が掲げた政策と彼らの政治行動、さらに結果を分析しながら、あらためて地方自治の根幹を問いなおす。

    [ 目次 ]
    序章 暴走する首長たち
    第1章 大阪都、中京都、新潟州―相次ぐ大都市再編構想
    第2章 「改革派」たちが遺したもの
    第3章 地域主権の落とし穴
    第4章 欧米は本当に分権国家なのか
    第5章 混迷する国政のあだ花か
    終章 地方自治はどこへ行く

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • ○元公務員で、地方自治などを専門とする大学教授の田村氏の著作。
    ○いわゆる”改革派知事”たちの功罪(特に罪)について、彼らの目指したものと実現できたものとを客観的に分析し、その意味合いや傾向を明らかにしたもの。また、今後のあるべき「地方分権」の議論について、過去の制度の歴史を振り返りながら、そもそもの地方自治の意義について論じたもの。
    ○過去の歴史的な議論が多く、普通に行政についての勉強になる。
    ○改革派知事に対する分析は、やや批判的な立場から行われている感は否めないが、もっともなことが多かった。
    ○国=悪、地方=善という二元論が国民の総意のような報道等がなされているが、その実態について、もっと知りたいと思った。

  • 大阪、愛知、東京の事例を引いて行き過ぎた自治体の行動を暴走と危惧している。

  •  地方よりも、国政の方が、よほど暴走してるようなあ。

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著者プロフィール

1962年生まれ。北海道出身。東京大学工学部卒。博士(学術)。自治省、香川県企画調整課長、三重県財政課長、東京大学教養学部客員助教授、新潟大学法学部教授・学部長を経て、現在は長野県立大学グローバルマネジメント学部教授。専門は行政学、地方自治、公共政策。著書には『暴走する地方自治』『地方都市の持続可能性』(どちらも、ちくま新書)、近著に『公立大学の過去・現在そして未来』(玉川大学出版部、2021年)など多数。

「2022年 『自治体と大学 少子化時代の生き残り策』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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