- Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480066770
作品紹介・あらすじ
貸本屋、共同アパート、裸電球の街灯、ドブ、コンクリートのごみ箱、路上のロウ石画、煙突、もの売り、番犬、原っぱ…かつて町にあったもの。気がつくとなくなっていて、無くなったことさえ忘れてしまうもの。それは二度と戻ってくることはない。変貌をつづける町で、それに追いつこうとすればするほど、過去はないがしろにされてゆく。変貌に慣れっこになってしまったあたしたちが、心に留めておきたい風景。なつかしいものたち。そのひとつひとつを、写真と文でつづる。
感想・レビュー・書評
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R4.2.4 読了。
昔の東京に存在した消えていった物たちが白黒写真で掲載されており、そこになぎらさんの味わいのあるコメント。ノスタルジックな気持ちにさせてくれる良い本ですね。
未来に残したい1冊だと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なぎら健壱さんが東京中を歩き回って、昭和の香りのするものを写真に写し解説というかつぶやきを加えたもの。このつぶやきが見事に脱力していて、いかにも昭和だなあと思わしてくれる。えっ、まだこんなものが残っているなんてとおもうけど、ほとんど遺物と化しているようだ。現役の物はほんのわずか。降る雪や昭和は遠くなりにけりですね。
「貸本屋の看板」小さいころ確かに貸本屋で漫画を借りた覚えがある。大阪市にもあった。
「おみくじ機」食堂なんかにあったよなあ。
「経木」薄く削った木の皮。商店街で量り売りなんかで買うと、これで包んでくれたよなあ。
「コンクリートや木のごみ箱」ありましたありました。
「荒物屋」今もやってる店を知ってる。
「手水鉢」上から吊るして出すやつもあった。
「国旗」昔は祝日になれば結構立っていたけど。たまに見ることがある。
「岡持」自転車かカブに乗って片手で持って来ていたような気がする。危ないよな。
なんて写真が満載。もちろん写真は白黒。ノスタルジアに浸るひと時を約束してくれる。 -
自分が知らないような年代のものでも、なぜか懐かしく感じる。大都市東京であっても、このような昭和の忘れ物がまだ見つかる。いや、むしろ東京のほうが見つかるのだろう。カメラをもってお散歩に行きたくなる、素直に入れる本。
自動車と変な住宅で地方都市を破壊してきた団塊の世代が、自動車に乗れなくなるだろう近い将来、どんな忘れ物を置いてってくれるのかな。 -
・忘れかけられたものの小さな記録。
・なぎら健壱さんが中高生だったころぼくは小学生だったというくらいの年齢差はあるがある程度体験を共有していると思う。なので「ああ、そういえばこういうのあったなあ」とほとんどのモノを思い出すことはできた。
・懐かしいがそれはぼくら世代にとっての懐かしさなのであって、それ以前の世代、以降の世代にとってはそれぞれの懐かしいモノがあるだろうから普遍とかこの時代が最良だったとかは言わない。とはいえやはり「あの頃が良かったかもなあ」という気分はどこかに残る。そんなもんですね。
・写真は、特に上手いとか、いい写真だというようなのではなく何が写っているかが大事という感じ。 -
忘れ去られる町を著者なぎら氏が切り撮ったノスタルジックな本。著者の話口調を思い浮かべながら読了。写真がすべてモノクロであることが良く、その写真を光が当たる正面から見るのではなく、斜に見るとコントラストが強くなって「タイムスリップしてその時代に行くとしたら、こんな景色に見えるんだろうな」なんて思ったりした。なぎら氏とは一回り以上歳が離れているのだが、妙に知っている物・事が多かった。
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なぎらさんならではのテーマで、かつての町にあったもの、消えつつものを取り上げてくれています。昭和の臭いがぷんぷんしています。
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何これ?ってのもあるけど、知っているものが多い。
なぜおじさんは歳をとると「あたし」って言うのか?(全員じゃないだろうけれど)
昭和は消えていくけど、昭和な気持ちの持ち主は、まだまだ元気だよ。 -
なかなかいかした題名だと思うのだが、忘れものをしたのは町ではない。過ぎ去っていく「時代」が忘れていって町に残っているものを探し歩く、というのが本書の内容なのだ。著者が著者だjけに町といっても当然大部分は下町で、我が家の周りもずいぶん出てきて楽しい。
「勝手口」や「岡持」など懐かしいものがたくさん出てくるが、中には「押し売り」や「噴霧器」など、言葉は知っていても見たことのないものも結構ある。
著者同様、いずれなくなってしまいそうなものを記録しておく必要があるなあと思うこの頃である。 -
何気なく、本屋で手に取って購入した。
おもに昭和を感じさせる写真とそれを解説?した文章。
なかなか、楽しめる内容でしたが、若い人にはどうだろう?
この本を手に取ることすらないのではないか?
少なくとも、女性がこの本を手に取ることはないとも
思われるおやじ的ノスタルジー。
たまには良いものです。 -
白黒写真が好きです。
写真部入りたてが気取って白黒にするそれではなく、本当に白黒しか無かった頃の写真が好きです。
この本は前者の新しい白黒写真になるんですが、とても良い写真ばかりです。
こういう写真、撮れません。
狙ってとるとろくな作品になりません。