「リスク」の食べ方: 食の安全・安心を考える (ちくま新書 982)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066848

感想・レビュー・書評

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  • p160 要約
    リアルな医学的議論は「各論的に」行われなければならない
    「抗がん剤が効かない」というのなら
    ・どのガンのどのステージにおいて
    ・どの抗がん剤が
    ・どのような目的に照らし合わせて
    ・その目的を達成しているか、否か

    というめいだいに置き換える必要がある。
    そうしないと「あのがん」と「このがん」、「あの効く」と「この効く」のすれ違いが起きる。


    この考え方、当たり前なのだろうけれど、とても大事だ。
    日常的にこれをやったら、うるさいのだろうけれど、何かを知ったときに、まるごとで受け取ってしまうことが多い。
    でも、実際はほんの一部の現象しか指していないかも知れない。


    リスクというのは、ゼロには出来ない。
    安全と安心も違う。
    安全を求めるのはいいけれど、安心は、リスクゼロには出来ないものなのだし、求めずに、不安でいた方がいい。
    リスクと、コストと、それらを考えあわせなければいけない。

    というあたりには、うん、って納得するものの、やはり怖いものは怖い…というのは、どこまで自分でリスクを許容するかの話なんだろうね。
    当たる確率があっても牡蠣を食べたい人は食べるわけだし、私も賞味期限は「ま、これくらい」って言って、二年前賞味期限の茶葉を平気で使ったりするわけだし。

  • 第三章「食べ物には危険がつきもの」は、リスクをゼロにするということがいかに荒唐無稽であるか、実例豊富に語っていて実に面白い。
    「安心=思考停止」と「疑心=陰謀論」の中庸を綱渡りし続けなければいけない。これが大人の責任。
    「万が一にも」「もし何かあったら」「可能性は否定できない」は思考停止のステートメント
    ・レバ刺し禁止に至る議論の無責任
    ・トクホのデータ論拠いい加減さ
    ・ビタミンEは心臓病を減らさない
    ・ビタミンA,C,E、セレニウムが長命につながるおちうデータは無い
    ・ポリフェノールのがん予防効果は示されていない

  • どんなものにもリスクはあって、結局不安がらずに事実を直視して、リスクを自分で選んでいくしかないよね。
    安全は求めても安心を求めすぎるのは良くない。
    安全、安心は似てるけど、まったくちがうことばでした。

  • レバ刺し禁止騒動を例に、食のゼロリスクを追い求めることの愚かしさを新書らしく分かりやすく解説。放射能のリスク〜原発再稼働問題についてふれた章は少し唐突な気もする。「安心=思考停止」の指摘は、成る程その通り。

  • 「予防接種は「効く」のか?」を読んで、リスクの捉え方かぁ…と。
    暮らしていくなかで、ゼロリスクはあり得ない。
    食べ物も、医療も、リスクと効果を比べて自分で選んでいかなくてはいけないのですね。
    賢い消費者として、基本的な知識を身に付けておくこととか、曇りなく批判的な視線で冷静に見ることができるかとか。
    …私は生牡蠣もユッケもレバ刺しも食べたいなぁ。(そこか
    でも体調が悪い時や感染リスクの高いときは自分でコントロールするし、オカミに有無を言わさずコントロールされるのは不本意だな…。

  • 日本人の苦手な分野にリスクマネージメントというのがあります。
    私たちは生きているかぎりいろんなリスクにさらされています。
    冷静なリスクの評価が必要ですね。
    不安を解消するためには現実に向き合い評価する作業をするしかありません。
    リスク評価は面倒な作業ですが、私たちは思考停止におちいらないようにしたいですね。

    http://ameblo.jp/nancli/entry-11720402222.html

  • とても理路整然と文章が構築されている。

    幾度となく理論的に多角的に物事を考えようとしてきたが、この本だけでも山ほど偏見にとらわれてたかとがわかる。

    このような知見を得るためにもっと努力しなければならないのは重々承知であるのだが…w

    そして作者が言うその作者のバイアスにまんまと引っかかるあたりが自分の未熟さを露呈させるw

  • 書店でたまたま見て購入。
    レバ刺し禁止に対する疑義に始まり、「トクホ」や健康本を批判的に捉えながら、ゼロリスクを希求することの危険性を説く。
    健康本を丁寧に検証していく手つきをみると、なるほど批判的に読むとはこのようなことを言うのだと納得。
    また、自分の身は自分で守る、そのために自分で考える、自分で判断するということが大切であると痛感。

  • ★★★★極めて正論。原発の安全神話に騙されるように日本人はお上に「安心」を求め過ぎ。ゼロリスクなんてあり得ない。どんなものにもベネフィットがあればリスクもある。ユッケ、ワクチン、抗がん剤、健康食品、放射能。。。バッサバッサと痛快。

  • いつも通り、ならではって感じの論調で、いちいち納得しながら興味深く読ませて頂きました。

著者プロフィール

1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現・島根大学医学部)卒業。神戸大学都市安全研究センター感染症リスクコミュニケーション分野および医学研究科微生物感染症学講座感染治療学分野教授。著書に『コロナと生きる』(朝日新書、内田樹との共著)、『新型コロナウイルスの真実』(ベスト新書)、『僕が「PCR」原理主義に反対する理由』(集英社インターナショナル新書)ほか多数。

「2022年 『撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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