- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480066954
作品紹介・あらすじ
『論語』のおもしろさがわからないという人は、その解釈の魅力を知らないからである。孔子・孟子の古典から知的営為を積み重ねてきた儒学。その中から宋代に新しい学問として現れ、儒教的な「宇宙認識」を哲学化した朱子学。そしてそれを継承しつつ克服しようとした陽明学。これらの世界観はいかなるものだったのか。東アジアの思想空間を今も規定するその自己・社会・宇宙のとらえ方を、心・性・理・気・鬼神などのタームを通して平易に解説。その魅惑に満ちた世界へと読者を誘う。
感想・レビュー・書評
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朱子学と陽明学についての入門書となっている。
性即理の朱子学と心即理の陽明学。これらの説明の前に儒教世界観についての解説から始まる。
第2章の後半ページには、朱子学と陽明学を学ぶ上で参考にすべき文献や学者の紹介がなされている。よりハイレベルな理解を得たい人は本書の後、これらの本を読んでみるとよいだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
朱子学は個と他を分けるが、陽明学は分けられないものとしている。
空:中庸力。個をなくして本来のあるようにすれば、滞りがない。 -
朱子学、陽明学の本は相変わらず難解。
本書も「入門書の入門書」を謳ってはいるが、それでも難しい。
さらには、「宇宙会館」「鬼神」「生命エネルギー」といったスピリチュアルな色が強い(朱子学自体がそういう傾向にあるのだろうが)。
つまり、時代が下るにつれ道家、道教の要素に影響を受けて、宗教的な方向に向かったのだろう。
朱子学の「理」は道家の「道」に近いように思う。
それにしても、用語の根本的な説明をしている本はないのか? -
朝鮮の儒学思想の専門家であり、NHKテレビのハングル講座で人気を博した著者による、朱子学と陽明学の入門書です。
時代遅れの道徳思想といったような儒学思想のイメージをくつがえし、そのラディカルな魅力を読者に伝えようとする著者の熱量が全編にわたってみなぎっているような印象で、そのエネルギーにみちびかれておもしろく読むことができました。
ただ、わたくし自身が本書の内容を十分に理解できたかといえば、ざんねんながらそうではないといわざるをえません。本書の冒頭で著者は「宇宙快感」と「宇宙認識」ということばを提出し、これによって朱子学と陽明学のちがいを示そうとしているのですが、本書を通じてのキーワードとはいいがたく、全体を通してやや散漫な印象があることも否定できないように思います。
とはいえ、とかく退屈だと思われがちな儒学思想に読者を引っ張り込む魅力があることはたしかです。本書を読んだあとは、著者から受け取った熱が冷めないうちに、本書の読書案内で示されている文献に進むというのが、おそらくは著者の意図する本書の読み方なのではないかという気がします。 -
一応読み終えましたが…よく分かりません。
いや、小倉紀蔵さんの叙述が悪いわけではなく、奥が深すぎてちょっとやそっとでは理解が難しい、という意味で。 -
【資料ID: 1117023736】 125.4-O 26
http://opac.lib.saga-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB10982524 -
〜p.84。性善説とは、もともと人には理解力があり、そのために善行ができるとの考え方である。悪人正機説は、性善説の一種。
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「儒家の「愛」の概念においてもっとも強力なのは、「差等」という考え方である。」「親や子を愛するというもっとも自然で強力な感情を、少しずつそのまわりにひろげていけるのが人間」こういう儒学の思想には非常に納得。
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朱子学は宋の時代、陽明学は明の時代
朱子学で重要な概念は理と気、陽明学は良知や万物一体
偉大な思想は社会の混迷期に現れる
儒教は人間分裂と社会分裂に対する恐怖心から誕生した。そして、これに対して美で対抗しようとした。
儒教とは地のつながりを基本にした宗教的な愛と道徳のエネルギーを、血縁以外にも拡大することによって文明的共同体の構築•維持を企図する思想
理とは、宇宙•世界•国家•社会•共同体•家族•自己を貫通する物理的•生理的•倫理的•論理的法則
気は単なる物質ではなく、バイタルな生命力を有した物質
陽明学の核心は、心を全てにシンクロナイズ(同期)させるエネルギー
朱子学が徹底的に均衡的動態の美にこだわるのに対して、陽明学はひとつになることに徹底的にこだわる
朱子学はわける思想、陽明学はわけない思想
儒教にとって大切なのは心という概念
心がなければ君子は世界を経営できず、君子が世界をできないのであれば儒教になびた一文の価値もない
朱子学、陽明学は生命の哲学 -
革命。エネルギー。ダイナミック。立ち止まるのではなく、在るはずの理想状態を求めて徹底的に行動しづける。