学問の技法 (ちくま新書 993)

著者 :
  • 筑摩書房
3.65
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本棚登録 : 521
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480066985

作品紹介・あらすじ

学問の王道から邪道まで、著者自身の苦悩から生み出されたテクニックを満載! 大学生はもちろん社会人も、読めば学問がしたくてしょうがなくなる、誘惑の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 読書力は腹筋と背筋などは名言である。本著の良いところは、俗欲や虚栄心や偽善や自己陶酔を含めてきちんと教養の技術をとらえ直している点であろう。そこそこの大学生ならば一年次に読むことを勧められる一本。

  • 2013.9.11am1:55読了。やっと読み終わった。初夏つまり5,6月から読み始め、半分ほどで止まっていたので、残りを一気に読んだ。通読と言った方が適切か。最後はかなり駆け足になった。反省。以下、感想。
    買って良かった。8章で構成。目次を詳しく明記してある。そのため、目次を読めば本の概要はほぼ分かる。学問の技法、つまり学ぶための手段や姿勢について述べ、その具体的な方法を示している。読書術や論文の書き方、議論や質疑応答の仕方がその例。『読書力』と同様、迷ったとき、何度も再読することになりそう。示唆に富んだ本。引用は多い。しかし引用毎に文献の題名と著者名、出版社を記しているため、参考文献を読みたいと思ったときにその場で調べることができるので便利。大学生活の展望が開ける…かも⁉
    以下、印象に残った言葉。
    『学問とは新しい問いを立てること』p8
    『イモづる式情報収集』p92
    『イモは深く掘れば掘るほど、たくさん収穫できる』p93

    『入門書は最初に読むべきものではない』p126

    『誰を味方にしようなどというから、間違うのだ。みンな、敵がいい。敵がないと、事が出来ぬ。国家というものは、みンながワイワイ反対して、それでいいのだ』(『新訂 海舟座談』岩波文庫)p158

    『「問題」とは「悩み」や「実践上の無理難題」とは異なる』『問題を100個抱えても、人間は正常に生活することができる』p176

    『本の理解とは、その内容に関する疑問点がなくなることではなく、内容に即した疑問点をたくさん挙げられるようになることである』p179
    『真似の上手な人ほど、人に真似のできないことをなしとげる傾向にある』p181

  • 高校生〜大学生向き。

    知的活動に対する姿勢の在り方からはじまって、読書の仕方や選び方などの指南。
    レポートの書き方、論議の仕方などなど。

    個人的に読書の仕方については斎藤孝の「読書力」を強くおすすめしたい。

    この一冊で全てを納得するというより、同じような「大学生活のすすめ」を数冊読むうちの一冊にすると面白いと思う。(学び方・読み方・書き方に特化したものを併せると尚良し)

  • 基本的には大学生に向けられた内容だが、とても具体的に学問のやり方が書かれているので、どの年代の人にも役立つと思う。
    読書をしよう、そしてアウトプットをしよう、とやる気にさせてくれる一冊だった。

  • 891

    大学入試や資格試験のための「勉強」は、「知識を詰め込むための機械的な作業」であ って、学問とは言えない。「勉強」とは、「ある問いに対する答えを学ぶこと」である。 れに対して「学問」は、「答えの確定していない新たな問いを発すること」である。「勉 強」は、「既存の問いから、確定した答え」とすすむのに対して、「学問」は反対に、「既 存の答えから、新しい問い」へとすすんでいく。

    マラソンは思考力を高め、執筆に必要な持久力を鍛えてくれる。強靭な知性は、 強靭なトレーニングと両立する。村上春樹の体力に学びたい。

    人はまず表面的な知識を得ること を通じて、やがてその分野に本格的な興味関心を抱きはじめる。

    たとえば、図書館を散策する、映画を見る、テレビをつけておく、ラジオを流して おく、本屋で立ち読みする、都市を歩く、といった行為である。これらは言わば、情報の シャワーを浴びる活動といえる。自分の無意識のなかに、漠然とした情報のプールを作っ ていく営みである。新しい発想やすぐれた意見は、このような漠然とした情報の「厚み」 に応じて発揮されることが多い。発想力の豊かな人は、情報のシャワーを人一倍多く浴び の確な情報を一つずつ消化するというのではなく、圧倒的な情報量に ことで、豊かな発想が生まれてくる。

    本の世界について情報通になるためには、たとえば、毎月一回、二時間程度、大きな本 屋に足を運んで、本をながめるという習慣を身につけてみてはどうだろうか。手始めに、 岩波文庫、岩波新書、中公新書、ちくま文庫、講談社学術文庫などの文庫本について、そ ルと著者名を眺めていく。興味を引かれた本を手にとって、その目次と解 なにも真剣に立ち読みするのではない。いろいろな本を適当に手に取 のに、書物に対する「慣れ」の感覚が身についてくる。慣れることによって、 うちに、読書してみたいという欲求が湧いてくる。

    かつて小林秀雄は、「どれこれの別なく貪るように」濫読したことのない人はダメだ、 むさぼ まことを述べたことがある。読書に溺れるという経験がなければ、読 は本当のところよく分からない、ということなのだろう。「読書にはいったいどんな意味 できない。があるのか」と悩んでいる人は、人生の「豊かな意味世界」を手に入れることが とにかく最初は、がむしゃらに読まなければならない。きようそん ムダにみえる読書にも、大きな効果がある。たとえば土田杏村は、次のように述べてい る。「損をしない読書などといっていると、平凡な優等生にしかならない。始終損をして いる読書生が、本当に独創的なものをつくるのである。」真に独創的なものは、損な読書 から生まれる。

    一般に、読書は〈よい子〉ほど熱心にすると思われているが、誤解である。先生に気に 入られようとするいわゆる〈よい子〉は、高校を卒業すると、あまり読書をしなくなる。 もはや先生が読書をすすめなくなるからである。〈よい子〉の典型的なパタンは、「小中学 生の頃はよく読書したのに、大学に入ってからはあまり読んでない」というものだろう。 宇生以降の読書はむしろ、不良にこそふさわしい。人の知らないことを誰に れずにたくさん読んでいるというのは、不良の証しではないだろうか。

    私が大学生のとき、岸本重陳先生と出会ったことは決定的であった。岸本先生は講義の がで、一日に一冊の新書を読むようにすすめていた。私はこれを真に受けとっ て不可能な読書量であるが、その頃の私は、適当に読み飛ばしてでも、一日一 配を試みたのであった。いまとなっては健気な努力であったが、この試みか けなげは多かった。 に、大学生の理想的な読書量は、一日一〇〇頁が目標であると言われる。と 一か月で一〇冊、一年間で一二〇冊の読書が目標であると言われる。このペースで読書を 続けることができれば、「読書人」と呼ぶに値するだろう。

    読書というのは、それによって「何かを感じ取る」ことが重要であって、「それに、 て何か感想を述べることは二の次である」と思われるかもしれない。けれども読書は、読 んで満足することが目的なのではない。読んだらそこから思考を開始して、生産的なアウ トプットに結びつけていく。すると脳が活性化して、読んだ本の内容をいっそう深く理解 できるようになる。ある本を読んだら、次の本を読む前に、その本についての感想や批評 を書いてみたい。あるいは、他人にその本の内容を語ってみたい。 読んだ本について、感想を書いたり語ったりすると、本の内容が頭のなかで反復される。 すると思考が刺激されるだけでなく、その内容がよりいっそう記憶に残る。読みっぱなし にすると、内容の半分くらいしか理解していない場合が多い。読んだら書く、そして語る。 この繰り返しによって思考力が伸びていく。従来の読書法では、あわせて読書日記をつけ ることが、精神を鍛練するための正攻法であった。思索家たちはみな手紙を大量に書いて いるが、手紙とは、読書日記や考察日記のようなものであり、思考活動そのものである。

    ところが私たちは、不安になると、異質なものにレッテルを貼って、それを排除してし まうことがある。異質なものに耳をふさぎ、目を閉じてしまう。レッテル貼りは危険であ る。それは公平な理解を妨げてしまう。レッテル貼りを防ぐためには、まず、読んでいな 者者を批判しないことにしよう。また評価するときには、自分の観点かま く、別のタイプの人が読んだらどのように評価するかについて、想像力を働かせてみよう。

  • 大学での勉強に迷う人が読むと良さそう。

    学問とは新しい問いを発見してそれに取り組むこと。 
    独学を続けるには①やる気②集中力③好奇心④
    ⑤威厳・目標⑥柔軟性・独創性
    文庫100冊、新書50冊、読んだら書く。
    自己内対話が上手い人は、発想力・構想力・表現力がすぐれている。
    文章を書くことによってはじめて自分の考えが育っていく。仮説を立てて構想する。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00243486

  • 大学生向けかな?

  • 高校までの受験勉強とは異なる「学問」の技法をマニュアル的に解説している本です。

    読書のしかたからレポートの書き方、討論のしかたまで、一通りの話題があつかわれていますが、主として英語圏で歓迎されそうなマニュアルに徹した内容ではなく、現代における「教養」のありかたをさぐろうとする著者の姿勢が示されているように感じられます。

    もっとも、そうした試みが成功しているかどうかといえば、抽象的な考えが散文的に語られているだけという印象もぬぐえないのですが、そうした著者のスタンスそのものには好感をおぼえました。

  • 学生向け

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著者プロフィール

橋本 努(はしもと・つとむ):1967年、東京都に生まれる。横浜国立大学経済学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科課程単位取得退学。博士(学術)。現在、北海道大学大学院経済学研究科教授。シノドス国際社会動向研究所所長。専攻は社会経済学、社会哲学。主な著書に、『自由原理――来るべき福祉国家の理念』(岩波書店)、『解読 ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』『経済倫理=あなたは、なに主義?』(ともに、講談社選書メチエ)、『自由の論法 ポパー・ミーゼス・ハイエク』(創文社)、『帝国の条件 自由を育む秩序の原理』(弘文堂)、『自由に生きるとはどういうことか 戦後日本社会論』『学問の技法』(ともに、ちくま新書)、『消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神』(筑摩選書)など多数。

「2024年 『「人生の地図」のつくり方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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