これから世界はどうなるか: 米国衰退と日本 (ちくま新書 997)

著者 :
  • 筑摩書房 (2013年2月5日発売)
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480067029

作品紹介・あらすじ

戦後の世界には、常に米国が最強という「柱」があった。軍事的に経済的に、文化的にも他国を圧倒した米国が戦後世界を取り仕切った。旧ソ連との冷戦に勝利し、日本の経済的挑戦をも退けたことで、盤石と思われたその地位が、しかし今、揺らいでいる。米国の影響力が減退する中、世界は新たな秩序を模索し始めた。いっぽう日本は、ますます米国依存を深めているようにも見える…。外交と国防の大家が激動の国際政治をリアルな目で俯瞰。新時代の針路を読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 戦後の世界には、常に米国が最強という「柱」があった。軍事的に経済的に、文化的にも他国を圧倒した米国が戦後世界を取り仕切った。旧ソ連との冷戦に勝利し、日本の経済的挑戦をも退けたことで、盤石と思われたその地位が、しかし今、揺らいでいる。米国の影響力が減退する中、世界は新たな秩序を模索し始めた。いっぽう日本は、ますます米国依存を深めているようにも見える…。外交と国防の大家が激動の国際政治をリアルな目で俯瞰。新時代の針路を読み解く。
    序章 世界は今、歴史的な変動期にあります
    第1章 情報革命は国際政治に影響するでしょうか
    第2章 「アメリカの時代」は終わるのでしょうか
    第3章 「アメリカ時代の終わり」で世界秩序はどうなるのでしょうか
    第4章 平和的手段の構築は可能でしょうか
    第5章 日米四つの脅威をどう考えればいいでしょうか
    終章 これまで述べてきたことを総括したいと思います

  • 2016.06―読了

  •  皆さん都市伝説ってどう思います? 私なんかは、下らないとか言いつつ、ついつい引き込まれてしまいます。

     さて、実は私は陰謀論とか結構好きです。なんか都市伝説と似ていませんか。今のご時世ならば(不謹慎ながら)コロナはどこぞの国が作った人工ウイルスとか、あるいは製薬業界の仕業とか、いやいや常識的にはないでしょと言いつつ、心の底でまったくないとは言い切れんかも、とか思いつつ。

     実は本作の著者の孫崎氏もこれまでは私の中では陰謀論者のカテゴリーに所属しておりました。それは以前「戦後史の正体」という本を読んだからでした。

     さて、陰謀論だという印象はでも、そもそもどこから来るかと言えば、語られることがいわゆる常識的な話(学校教育やマスコミでの情報)から大分離れている場合に受けると思います。
     でも実際に陰謀論かジャーナリズムかを判断するとすればその分水嶺は、依拠する出典が相応にあるかどうかによると感じています(勿論、どこまで証拠を出せば十分かといえば、永遠にグレーにはなりえます)。

     そうした典拠の点では本作、陰謀論でもなんでもなく、骨太な国際政治論であったと思います。

     ただ内容は過激です。米国が挑んだイラク戦争は嘘だった。米国では当事者が誤りを認めている、米国内では米国衰退論が起こっている、イスラエルと中東との関係、欧州連合のスタンス、テロと外交のバランス等々。

     日本では殆ど報道されませんが、米国にも自国の政策を自省するむきももあるのですね。リベラルが居てネオコンも居て、結局まだら色の体をないしている。だから、そうしたものを渉猟してその国のカラーを学ぶべきなのでしょうね。

     少なくとも日本のマスコミはそうしたものを分け隔てなく報道・紹介しているようには感じず、その点読後に残念に感じました。

    ・・・

     まとめると、なかなか面白かったです。
     著者の孫崎氏が防衛大学で教授を歴任しているところを見ると、氏の意見や知見は、防衛庁が理解している米国や外国とは本作のものと同じ方向にあるのであろうと想像できます。
     また、米国のリベラル、ネオコン、どちらのオピニオンリーダーも出典や概要が併せて記載があるので後から追いかけて読むことが出来そうです。参考になります。

     日本の将来が末恐ろしいと感じるかた、政治を何とかしたいと思う方、日本の米国との関係やアジアとの関係はこのままではいけないと感じる方等々、政治や国際関係に興味のある方にはお勧めできる本でした。

  • 2009年に発足した民主党・鳩山政権の外交ブレーンを務め、20万部を超えるベストセラーとなった『戦後史の正体』や『アメリカに潰された政治家たち』などでアメリカ陰謀論を立て続けに糾弾する外務省OBの著者が、アメリカの凋落と中国の進出という現実に際して日本の針路を説いた一冊。「ロッキード事件から郵政民営化、そしてTPPに至る全ては米国の陰謀だった」と主張する反米派である一方で、「尖閣諸島は日本固有の領土ではない」という眉中思想も併せ持つ著者には反論も多いが、リベラル派の元外交官による洞察(どうさつ)は大いに意味深い。大戦後も相変わらず朝鮮半島やベトナム・イラクなどで次々と戦争を仕掛ける米国の正体に触れ、その米国に歩調を合わせる日本政府と官僚の問題を鋭く暴き出している。日米安保条約や米国の核の傘を信じて疑わない人々にとっては「目からウロコ」の書と言える。

  • ・有史以来、産業革命までは中国とインドが世界のGDPの約50%以上を常に占めていた。歴史的に見るとこの2カ国の台頭は普通のことである。
    ・AIPAC(アメリカイスラエル公共問題委員会)は、全米最大のロビー団体。政治家への資金援助も最大。オバマも会合で演説。

  • ソ連崩壊崩壊後、アメリカの一強時代が到来した時期もありましたが、現在の世界情勢はそのようなことにはなっていません。

    アメリカ時代の終わりで世界秩序はどうなっていくのか、日本の安全保障を考えていくうえで、きちんと世界で起こっていることを分析しておく必要があります。

    世界中の政治家、外交・国防・学者の言動をあらゆる角度で見ていかなければなりません。

    そういう意味で、元外交官の書いたこの本は示唆に富むものであり、一読の価値はあるでしょう。

  • 世界の二大大国の話。
    日本人はひたすら対米追従であるが,それへの疑問符を発した本。
    中国は巨大なマーケットであり,世界の中心的存在になっていくことにもはや疑いはない。中国との戦略的互恵関係を築くべきである。領土問題等は一旦棚上げである。それが現実的な選択であろう。
    尤も,領土の問題はそううまくいかないであろうが・・・。

  • これからの世界は大変化の時代にあり、米国一極支配が終わりアメリカ衰退後の中国台頭時代の世界観を分かり易く解説されていた。

  • 筆者といい佐藤優氏といい、分析の客観性が提言になると鈍るのはオシントの限界なのか。
    両氏ともさらに、自分のキャリア周辺分野になると逆に体験が邪魔をするのか客観性が低くなる傾向を感じる。
    過去の書籍と比べて新しいこともあまり見えず、少し残念。

  • 「いろんな意見を紹介」とか言いつつ自分の考えを広めてる感じがウケるな笑 いつも通りの主張。

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著者プロフィール

1943年、旧満州生まれ。東京大学法学部を中退後、外務省に入省。
英国、ソ連、イラク、カナダに駐在。駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大学校教授などを歴任。現在、東アジア共同体研究所所長。
主な著書『戦後史の正体』(22万部のベストセラー。創元社)、『日本外交 現場からの証言』(山本七平賞受賞。中公新書)、『日米同盟の正体』(講談社現代新書)、『日米開戦の正体』『朝鮮戦争の正体』(祥伝社)、『アメリカに潰された政治家たち』河出書房新社)、『平和を創る道の探求』(かもがわ出版)ほか。

「2023年 『同盟は家臣ではない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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