日本の文字: 「無声の思考」の封印を解く (ちくま新書 999)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480067043

作品紹介・あらすじ

漢字、ひらがな、カタカナ-。日本語は三種類の文字をもつ。この世界にまれな性格はどこに由来し、日本人の内面に何をもたらしたのか。文字の問題を構造的にとらえ、文体に蓄積された思想と感性を追究していくことによって、日本文化の不思議さをさぐり、日本とは何かという問いの核心に迫っていく。鬼才の書家が大胆に構想する文明論的思索。

感想・レビュー・書評

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  • 日本語とは文字からなる言葉であるという。その文字を形作るのが筆触であり、文字を書く重要性を説く。しかし、だから日本語がどのような特徴を持っているのか、筆触を失ったときに日本語にどのような影響があるのか、が見えてこない。そこを言葉を尽くして説けないと、いくらワープロの普及を嘆いたところでそれは繰言に過ぎない。

    ただ面白い記述も随所にある(まとまりがないし、繰り返しがやたら多いのが難点だが)。

    漢字は字数の多さゆえに学習困難とのイメージがあるが、字を覚えてさえしまえば意味も漏れなく一緒についてくる。一方、アルファベットは字を全部覚えるのは容易だが、そこから意味に至るには綴りを一つ一つ覚えなければいけない。表音文字の一時一時は、漢字の構成要素である点画に相当するのだ。よって、どちらが効率的とか学習しやすいとかは一概に言えない。

    カタカナは漢字書き下し文を作るための文字で、自分だけで文字をつくる力がない。

    和歌の技法である掛詞、縁語、見立、歌枕。→おやじギャグに近い気がする。

  • 400

  • 漢字と言う書字を基に発達したという日本語の特殊性について論じている。縦書きの重要性を改めて認識した。

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著者プロフィール

書家。京都精華大学客員教授。1945年福井県生まれ。京都大学法学部卒業。1990年『書の終焉 近代書史論』(同朋舎出版)でサントリー学芸賞、2004年『日本書史』(名古屋大学出版会)で毎日出版文化賞、同年日本文化デザイン賞、2009年『近代書史』で大佛次郎賞を受賞。2017年東京上野の森美術館にて『書だ!石川九楊展』を開催。『石川九楊著作集』全十二巻(ミネルヴァ書房)、『石川九楊自伝図録 わが書を語る』のほか、主な著書に『中國書史』(京都大学学術出版会)、『二重言語国家・日本』(中公文庫)、『日本語とはどういう言語か』(講談社学術文庫)、『説き語り 日本書史』(新潮選書)、『説き語り 中国書史』(新潮選書)、『書く 言葉・文字・書』(中公新書)、『筆蝕の構造』(ちくま学芸文庫)、『九楊先生の文字学入門』(左右社)、『河東碧梧桐 表現の永続革命』(文藝春秋)、編著書に『書の宇宙』全二十四冊(二玄社)、『蒼海 副島種臣書』(二玄社)、『書家』(新書館)、作品集に『自選自註 石川九楊作品集』(新潮社)、『石川九楊源氏物語書巻五十五帖』(求龍堂)などがある。

「2022年 『石川九楊作品集 俳句の臨界 河東碧梧桐一〇九句選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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