ユダヤ教 キリスト教 イスラーム: 一神教の連環を解く (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480067548

感想・レビュー・書評

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  • 折しも過激集団「イスラム国」のインターネットをつかった
    日本人人質事件の渦中だった

    自己責任や首相の中東訪問時期、日本の立場など
    わたしの頭はめまぐるしくめぐるのだが

    いちばん思うのは平和ボケ鎖国日本にとっていいチャンスだということ

    あの敗戦後、苦しかったけれどもなんとか繁栄し
    きれいに近代化された日本、自由を謳歌しているよう
    バブルははじけたけれど、世界にも経済進出して
    なんとか、かんとかあっぱれに生きているような日本

    しかし、世界は甘いものではない

    この本にもあるのだが
    中東にただひとりの神があった
    ユダヤ教が一番最初、枝分かれしてキリスト教、イスラームの順番だ

    そうして元がおなじ神を畏れた人々は
    おなじように寛容と不寛容を繰り返しているのだと

    相手、つまり枝分かれした神々信者は枝分かれを絶対許さないらしいのだ
    お互いとことん根絶やしにしないと気が済まないらしい

    わたしなどは神社に詣で、帰りにお寺に参るなど平気
    そういう節操ない日本人にとって想像もできない憎しみの連鎖、連環

    に、飛び込むのはやっぱり大変なことなのである
    いや、この距離がなくなった地球に
    日本という国だけが縮まってはいられないから

    すこしでも西欧や中東や亜細亜や阿弗利加のことを知らなければならない
    本当に知っているかどうかを知らなければいけない

    わたしという歳も歳で何役立つわけでもないのだけれども
    すこしでも勉強して知ることだけでもいいのではないかと思う

  • 同じ源を持ちながら各々の歴史を辿るようになった三教を概観。世界の底流をなす宗教の本質がおぼろげながら見えてくる。

  • ケルトやゲルマンの神々の神殿が破壊され、そこにキリスト教の教会が建てられた。cf. 神社と寺院。

  • ユダヤ教もキリスト教もイスラームも「たったひとりの神」を持つ宗教である。もとをたどれば同じひとりの神だった。それが「それぞれの神」になったとき、地球の表面が変わった。宗教史のうえでは突発的・変則的であった一神教が、なぜ諸宗教をしのぐまでに発展し、世界の底流となりえたのか――。出発点であるユダヤ教と、そこから枝分かれしたキリスト教とイスラームを視野に入れ、より大きな広がりのなかで一神教の特質を把握する。「聖戦」「不寛容」「平等」「福祉」「契約」などの題材にふれながら、歴史に決定的な影響を与えた三宗教の連環を解き、一神教の光と闇にせまる比較宗教学の入門書。
    第1章 聖戦がはじまる―根絶やしという宗教行為
    ひとりの神を信じるところ 神々を投影する世界 契約によって結ばれる 蜜よりも甘いもの
    第2章 福祉がはじまる―預言者はみなし子だった
    落ち穂を拾う女 イスラエル社会の掟 かつての思いをしのぶ 苦しみのパンを
    第3章 続福祉がはじまる―夜明け前のモスクで
    東京のモスクにて モスクは喜捨される 信仰のあかしとして 再配分の構造とは
    第4章 続々福祉がはじまる―苦しみをいたむ心
    罪の女が 白い女性たちの会 誰が先に神の国へ 光りが差し込む瞬間
    第5章 平等がはじまる―キンシャサの奇跡へ
    ザイールの暑い夜明け 切手になったファイター 別種の黒人たちの集団
    第6章 寛容がはじまる―はるかなるアンダルス
    壮大華麗なつぎはぎ イスラーム芸術の息づく国 イスラーム文明の統一性
    第7章 不寛容がはじまる―離散の民の心の空洞
    追放された者たちの歌 同居する寛容と不寛容 離散した人々の群れ


  • ユダヤ教 キリスト教 イスラーム: 一神教の連環を解く(菊地章太著。ちくま新書)
    読了。dブック電子書籍にて。

    宗教に関する知識は個人的にかなり少ないと思っているので、少しずつでも勉強したいなと常日頃から思っていて。
    様々な宗教ごとに考え方があって、信者はそれを信じていて、他の宗教と異なるのはそれぞれの宗教の独自性や差別化だから存在して当然としても、宗教間や価値観との対立が先鋭化して、それが公共の福祉や人間そのものの倫理に触れる時、どこまで宗教が定義していいのか、どこに折り合いがあるんだろうと、何か心配になるような。
    また、宗教の定義は、少し本を読んだくらいで正しく理解できるかは分からないものだろうし、その本の著者のスタンスによっては、客観性が保たれているかどうかや、信者からすれば不本意な記述とか、なかなか簡単ではないんだろうなと思う。

    そんな慎重さも念頭に置きつつ、私が宗教関係の勉強について初心者であることは割り引いたとして、
    本書は、まあほとんど日本人らしい無宗教というかあまり明示的に強い拘束を普段の生活で受けていない(課していない)私が読んで、あまり違和感が無かったというか、勉強になるなあと思いながら読めた。
    文章の内容は何かに対して極端なスタンスにも見えなかったし、何かだけを批判することも擁護することもなく、淡々と、それでいて学術的に難解にすることなく、初心者にも読みやすく平易に解きほぐしてくれていて、親しみを持ちながら読み進めることができた。発見というか、ああ、そうなんだ、と、少しずつ知識を積み重ねていけるような。

    この次レベルの知識を得るには、どんな本を読んだらいいかな。

    (ブクログ登録124番乗り。感想登録17番乗り。)

  • 一神教=全能者への服従が、平等と福祉の概念をはぐくんできたことをがよく理解できる。

  • ユダヤ教、キリスト教、イスラム教という根元を同じくする一神教の宗教について、聖戦・福祉・平等・寛容・不寛容というテーマから紹介していくもの。完全な比較でないので、読み物としては面白いけど、資料としてはどうかな……。
    また、イスラームについて割合好意的に書かれている部分が多くて、比較という点ではどこまで信用していいのかちょっとわからない部分もある。聖書の一部だけ引用してきて、根拠としてくるところとか。前後がないので、文脈判断ができず、この一冊だけでわかった気になるのは不安を感じる。入門としては良いのかも知れないけれど、ある程度の世界史知識がないと読みにくい。
    ただ、一神教、という物について、多神教はそれぞれの神が職能を異にしている為、差異があって当然、即ち差別を肯定する、というのはちょっと面白いなーと思ったり。一神教の神は一人の神がすべてを司る訳だから、全知全能であり、完全無欠であるが、多神教の神は人間の似姿であるがゆえに、欠点だらけで品がない。現実を超越したところに、一神教の神はいるのだなとかなんとか。

  • 以前、同じ著者の『儒教・仏教・道教』を読んだことがあるが、それに比べると、様々なテーマが様々な話題を伴ってあちこちに展開することも少なく、おとなしい書きぶりで読みやすい。3つの宗教を、聖戦・福祉・平等というキーワードでまとめて語る、その視角が勉強になった。

  • このような書籍を数多く持っている。同じところもあるが違うところもある。この一神教を理解するにはまだまだ他のものも読み続けなくてはならない。そういう意味では良い道程の書である。

  • 一神教は奴隷の宗教であると著者は冒頭述べる。神の前では誰しもが取るに足らず平等である・・・差別され抑圧された者はをそれを拠り所にして行動、すなわち闘争を起こすとする。イスラム過激派が戦争に走るのは宗教側面も多少はあるのだろう。もちろん残虐な行為は許されたものではないが。聖戦のところだけフォーカスされた書籍ではなく、福祉・平等などについても言及はあること追記しておく。

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著者プロフィール

1959年,横浜市生まれ。筑波大学卒業。トゥールーズ神学大学留学。東洋大学教授。博士(文学)。著書に『神呪経研究』『儒教・仏教・道教』『哀話の系譜』『妖怪学講義』など。

「2023年 『妖怪学とは何か 井上円了精選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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