知の格闘: 掟破りの政治学講義 (ちくま新書)

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  • 筑摩書房
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レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480067609

感想・レビュー・書評

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  • 政治

  • 残念ながら、半分以上の部分は、政治学に対する知識が乏しく、よく理解できない。それでも、言及されていた著者の別の書籍の中から、興味深いものを数冊見つけたのは収穫。
    最も興味深かったテーマは、建築と政治。建築物が、そこで執務する政治家にどう影響を与えたのか、特に歴代の首相官邸の話は面白い。
    次に興味深く読んだのは、メディアと政治。やはり、映像の力は強大、ある時点を境に、テレビで主張できない政治家が、淘汰されたらしい。

  • 新書としては、まとまりがなく
    老研究家の自慢話が大半を占めるが、
    時代と向き合った研究者のオーラルヒストリーとして
    読めば、興味深い記述も散りばめられている。

    おしゃべり社会となった日本での
    オーラルヒストリー研究の難しさや
    麻生総理の「状況規定」など。

    久しぶりに佐藤誠三郎の名前を目にした。

  • 【目次】
    目次 [003-008]
    前口上 [009-013]

    第一講 権力者たちの素顔に迫る――オーラル・ヒストリー 015
    1 おしゃべり的講義 016
    「開発天皇」との劇的な出会い/手探りで量産した草創期/「時事放談」で政治家の生態観察/元気な政治家から遠ざかる中野広務/歴史資料から現代の証言へ/質の向上に向けた解説と批評の実験/おしゃべり社会が促す粗悪品/対比列伝で見えてくる世界/何度も怒鳴りつけた後藤田正晴/嫌みだった宮澤喜一のすごさ/オーラル・ヒストリー学校の醍醐味
    2 ゲストコメント―― 牧原 出(東京大学教授) 038
    御厨オーラル・ヒストリーの三大傑作/無欲で話を聞くことの効用/人生の聞き手の総合芸術
    3 釈明と乱取り 047
    現場でその人に会うことの意味/ドラキュラの話しかしなかった小泉純一郎/政治家の嘘も時代の証言/文書資料の読み方で変わる/技術者や芸術家が語り出した/全編書き直した政党代表者/「公明党はちょっと危ない」

    第二講 政治の最前線に躍り込む――公共政策 065
    1 おしゃべり的講義 066
    都政と内閣官房研究/頓挫した電力問題と公社・公団論/勲章制度で平山郁夫画伯と衝突/勲章の数減らしにこだわった小泉首相/靖国懇談会で右翼から脅迫/役人と反対運動幹部とのなれ合い/敗戦で公文書を燃やした後遺症/議論すること自体に意味がある/幻の「安全・安心」研究論文/思い出したくもない震災復興構想会議
    2 ゲストコメント―― 飯尾 潤(政策研究大学院大学教授) 091
    実態暴露の楽しみ/変な人間の変な意見を認める/「場の理論」を重視する/復興構想会議という場を治める/もう一人の自分と対話する
    3 釈明と乱取り 101
    KY発言が好き/復興への提言は「勝負あった」/書簡で見える明治の政治家の器量/反対派住民の意見集約は難しい/史料を読む楽しみ

    第三講 近現代からの現場中継――政治史 113
    1 おしゃべり的講義 114
    昭和史から明治への大転換/書簡と意見書を読み抜く/二つの焦点を持つ楕円構造/背後霊のように立ちあがる明治天皇/皇室を近代憲法から解放する/検閲を逃れるための「奴隷の言葉」/普遍性の高い枠組みを編み出す/小泉首相を天皇と同じように書く/資料を読み合うことが栄養素に
    2 ゲストコメント―― 五百旗頭 薫(東京大学准教授) 139
    プラグマティズムと帝国主義/政治対立のモードを書き分ける/非政治的領域での多産と読みやすさ/日本政治外交史から「外交」をとる
    3 釈明と乱取り 149
    時空の差が大きい明治期の外交/復興策に見る中央と地方のずれ/政治家の質は劣化しているか

    第四講 進撃!歴代首相邸へ――建築と政治 159
    1 おしゃべり的講義 160
    研究者は不安でたまらない/建築が先か政治が先か/孤独な建物になった最高裁判所/総理をひきこもらせる官邸/公邸に暮らすのを嫌がった麻生太郎/控え室が最も機能した枢密院/外との連続性を感じさせる鳩山一郎邸/官邸で物事を決めなかった吉田茂/贈り物のバラづくりのための庭園/新聞連載「権力の館を歩く」
    2 ゲストコメント―― 隈 研吾(建築家・東京大学教授) 182
    金持ちの家は論外の二〇世紀/住宅は政治的産物だ/歌舞伎座の変遷に見る政治性
    3 釈明と乱取り 188
    時計のない首相官邸/高度成長が権力の館を変えた/政治の源流は治水/権力の有無で配置が決まる国会議事堂/竹下・小渕が共有したカラオケ部屋/個室化していった公共建物

    第五講 同時代とのバトル――書評と時評 203
    1 おしゃべり的講義 204
    「書評などいたしません」/良き学友との長時間の議論/新聞書評の環境が変わった/「嫌なおじさん」になっていた/亀井静香が怒鳴りこんできた/あなたがしゃべらないと新聞は出ない/切った張ったで生きる時評/「戦後」から「災後」へ
    2 ゲストコメント―― 苅部 直(東京大学教授) 229
    裏目読みをしないスタイル/書評・時評を書くときの自由度
    3 釈明と乱取り 234
    相手の内懐に飛び込む/「状況規定」というキーワード/時代の限界と私の限界/政治の外縁を広げた書評・時評/時評は相手があって生まれる

    第六講 映像という飛び道具――メディアと政治 249
    1 おしゃべり的講義 250
    やらせまがいの「新発見」/とにかく君は容貌がいい/中継で鍛えられたぶっつけコメント/海に捨てられた伊藤博文の銅像/佐藤栄作の沈黙の「風圧」/風圧に対抗する田中角栄の金権/政治家がテレビに出る時代
    2 ゲストコメント―― 池内 恵(東京大学准教授) 268
    旧メディアは十年持たない/高齢者のアイドル/老人支配は良くない/憲法の「無効宣言」をやったらどうか/技術の進歩と公共性の議論
    3 釈明と乱取り 276
    「研究会」という魔物/学問修行につきもののパワハラ/最終講義の果てに!

    結びの挨拶(二〇一三年師走 御厨貴) [297-299]

  • 読了。

  • 新聞で時々見かける名前程度の知識しかないところで読んでみた。

    6つのテーマについて、本人の独演、専門の研究者のコメント、質疑応答、で構成されている。

    まず感じるのは、本人、登場する研究者がみんな東大。 
    きっと、聴講者もそういう人たちなんだろう。

    中身は面白い。

    アカデミック一辺倒ではなくて。
    かなりベタなユーモアがあって、読み進められる。

  • 退官時に出す本として、本人は満足するだろうとは思う。大層な題名だし。
    非常に貴重な研究をし続けていたということは良くわかるし、一流の学者であることも良く分かる。
    でも、それって世の中の何に役立つのか、歴史という学問にとってどんな価値があるのか。それを説明してくれないと、ムダなことに思えて仕方がない。
    そこをしないのか、できないのかわからんが、それが学者オブ学者なのかもしれない。

  • 政治史の御厨教授の最終講義6回分のまとめ。
    政治史を、オーラルヒストリー、文献、建築など色々な角度から見ていること、メディアにもテレビや書評を通じて露出していることから、政治史そのものではなくそれぞれの切り口がどういうものかについて6回の講義を行っている。
    オーラルヒストリーについては、西欧からの導入であるが、日本に広まって来た感があり、インタビュイーもこなれて来ている。が一方メディアの出方も多様になっているため真の姿を見極めるのはやはり難しいのかもしれない。御厨教授は元々は官僚を相手に戦後の高度成長を裏付ける政策に取り組んでいたが、近年はより政治家より担って来ている。
    旧来のテレビ新聞といったメディアは、受け手も固定化され、作り手はその中で流しているだけになってしまっている。

  • 御厨貴センセイの最終講義をまとめた本。最終講義といっても全6回行われ、しかも客員教授である間は、このあとも単位のある講義としてまたやることになったらしい(笑)。6回構成。
    第1回はオーラルヒストリー。オーラルヒストリーのことをよくしらなかったけど、聞き書きした回顧録などの形で作っていく歴史資料というような分野のよう。長年オーラルヒストリーをやってきた先生だけあって、いろんな政治家や官僚の話を聞いたときの裏話が面白い、宮沢喜一とか。小泉純一郎も。後藤田正晴と矢口浩一の2人のオーラルヒストリーを対比させて宮内庁・警察・裁判所の人事の関係なんかも分析したらしい、ちょっと気になる。
    第4回の「建築と政治」では、先生が歴代首相官邸を訪ね歩いて考えたりした建築と権力の関係の研究の話で、それ自体とても面白いんだけど、最高裁判所の建物と権力の分析についての話も出てきて、これがひじょうに「なるほど」。裁判所側もがんばって「裁判とは」って説明したようなのだけど、建築家に具体的なイメージをもってもらえる説明ができず、裁判官・調査官・事務総局の面々の動線がよくわからないまま、旧最高裁と異なり完全に部署ごとに塊を分ける建物になり、権力側が想定していた以上に権力的で孤独な建物になってしまった。たしかにやたら歩かせる変な動線だな…とは自分や最高裁勤務経験者の話を聞いていても思うところ。建築によって権力がドーンと規定されてしまった例、という話。
    そのほか、公共政策、書評やメディアの話に本分の政治学史の話題など。

    どうも自分は、最近ようやく今行われてる政治が少し面白くなってきたぐらいで、それを超えて政治史まで深く興味を持つに至っておらず、大学1年生の時なんていっそうそうだったので、「先生と政治史を深く学ばせてもらいたい」とならなくて、それは悔やまれるような、でも多分もう一回大学1年に戻ってもやっぱりそうだっただろうなというようなだけど(回りくどいけど要するに先生のゼミを高校の塾の先生からも紹介してもらってたのに、ほかにやりたいことがたくさんあったのと先端研までの距離と初回に読んだEHカーの「歴史とは何か」にそこまで入り込めなかったために結局ゼミを取らなかったという個人的な話)、この本で、本当に、先生の関心領域の広さ・好奇心旺盛さとそれぞれの掘り下げの深さを知ることができて、すごく面白かった。「政治史学からこんなところに行けちゃうんだ!」というような。
    実際、研究の傍らというか、先生が実際に携わった国の政策も幅広く、この本で話題に上ったものとして、勲章制度、靖国問題、震災復興構想会議と。こういうのに呼ばれるもそれぞれの分野で「ブルドーザーでガーッと耕す」みたいなやり方でそれぞれ成果をあげてるからだろう。
    「一つの分野をコツ、コツ」という研究者イメージをいい意味でぶっ壊しちゃう先生の学者生活の話、読む前は「どうかな」なんて思ってたけど、たしかに「知のエンターテインメント」という言葉が合う本でした。

  • 日本政治史におけるオーラルヒストリーの第一人者、御厨氏が大学の最終講義を6回に分けて行った様子を新書にまとめたもの。

    それぞれのテーマに対しての御厨氏の講義→ゲストのコメント→御厨氏がコメントに対しての釈明と乱取りという流れの6回である。テーマは、オーラル・ヒストリー、公共政策、政治史、(首相官邸や最高裁判所などの)建築と政治、書評と時評、メディアと政治である。

    いろいろな裏話、または考えを知ることができたが、特に官房長官だった後藤田氏の「菅直人は統治がわかっていない」という一文は削除してくれというところだった。表には出てこない、いろいろな人間が作り出した歴史を感じることができたような気がした。

    御厨先生には、時事放談などではまだまだ活躍してほしいと思う。

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著者プロフィール

御厨貴

1951年(昭和26)東京都生まれ。東京大学法学部卒業。東京都立大学教授、政策研究大学院大学教授、東京大学教授を経て、東大先端研客員教授(名誉教授)、放送大学客員教授。サントリー文化財団理事、サントリーホールディングス株式会社取締役。東日本大震災復興構想会議議長代理(2011年4月~12年2月)、復興庁復興推進委員会委員長代理(2012年2月~13年3月)、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」座長代理(2016年9月~17年4月)などを務める。著書に『明治国家形成と地方経営』(東京市政調査会藤田賞)、『政策の総合と権力』(サントリー学芸賞)、『東京』、『馬場恒吾の面目』(吉野作造賞)、『権力の館を歩く』『平成の政治』(共著)などがある。

「2020年 『天皇退位 何が論じられたのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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