インフラの呪縛: 公共事業はなぜ迷走するのか (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480067715

感想・レビュー・書評

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  • 社会
    経済

  • 戦後日本のダム、道路、鉄道などの公共事業の光と影をルポタージュ形式で振り返る。
    本州四国連絡橋をはじめ、公共事業がいかに政治に翻弄されてきたがよくわかった。
    また、佐久間ダムの永田年、高速道路プロジェクトの川本稔、国鉄の十河信二、島秀雄などの事例を知り、質の高い公共事業実現にあたっての人材の重要性を確認した。
    著者は、公共事業は善悪二元論とはかけ離れた存在であり、これまで公共事業は計画重視か市場メカニズム重視の「二者択一」に陥っていたが、もっと有効に計画と市場を統合できる「第三の道」はないものか、と論じているが、もう一つ、今後の日本の公共事業をどうしていくのがよいのかの著者なりの展望が伝わってこなかったのは物足りなかった。

  • ジャーナリストらしく、内幕(?)を含めて、ヒアリングを通じて経緯を克明に記述。
    しかし、テーマ(軸)が不明で、とにかく「なんでも書いている」印象。ただ、それがかえって、政治に振り回されるインフラ整備の揺れ動き様を明らかにしているようでもある。
    東名道や本四架橋ルート決定、国鉄解体等のくだりは特に。

  • なぜ日本の政治が公共事業に揺れるのか、その起源を戦後から追っている。安易な公共事業批判ではなく、必要なところは持ち上げているが、基本的には批判的か。
    再読してみた。公共事業が必要か無駄かの二元論ではなく、必要性を十分に議論して実施すべきというなんかわかったようなわかっていないような結論になっているように感じた。

  • 無駄?必要?成長を支えた鉄道、橋、ダム、道路を徹底検証。公共事業はいつの時代も政治に翻弄されてきた。道路、ダム、鉄道――国の根幹をなすインフラ形成の歴史を追い、日本のあるべき姿を問う。

  • これは良い新書。

    戦後のインフラ整備の流れ、国土計画を、ダム、道路、鉄道等の分野ごとに追って行って、評価、反省と今後の展望みたいな流れ。

    事実関係に関してはニュースとかで見る政治の動きとか、オフィシャルな議事録とか回顧録とかで丁寧に追っていて、それらを治水だと高橋裕先生といったキーパーソンへのインタビューでまとめる構成で、とても読み応えがある。

    インフラに関わる言説って善悪二元論で分かり易いものが多い。これは動く金が大きいからか賛成反対を問わず政治家の関心を集めるからだと思うけど、実際はとても複雑っていう実情がよく分かる本。

    途中で、ダムの反対運動をしていた室原さんって人の言葉として引用されてる、

    「公共事業は理にかない、法にかない、情にかなわなければならない。」

    っていう言葉が激熱だと思ったので、まあこんな感じのことも思いつつ、ゆるふわに仕事に取り組もうと思った。

  • 510.921||Ya

  • 安易な両論併記、どちらかというと過去へのノスタルジー。中央道東名道どちらを通す?両方同時着工。本四架橋どれにする?全部通す→昔の政治家は偉かった。はい?藤井聡によるナショナルレジリデンスにも共感しておるようだしきな臭い。雑学がいくつか仕入れられたのはせめてもの救い。インフラについては面白いテーマだとは思うので、もっときっちりした本でもう一度読みたい。

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著者プロフィール

1959年愛媛県生まれ。ノンフィクション作家。「人と時代」「公と私」を共通テーマに政治・経済、医療、近現代史、建築など分野を超えて執筆。時事番組の司会、コメンテーターも務める。一般社団デモクラシータイムス同人。著書に『ルポ 副反応疑い死』(ちくま新書)、『コロナ戦記 医療現場と政治の700日』(岩波書店)、『後藤新平 日本の羅針盤となった男』『田中角栄の資源戦争』(ともに草思社文庫)、『ゴッドドクター 徳田虎雄』(小学館文庫)ほか多数。

「2023年 『暴言市長奮戦記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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