幕末史 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480068002

感想・レビュー・書評

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  • とても勉強になりました。

    佐々木さんとしての幕末史が書かれています。調査して、自分を通して文章にされているので、大事と思われるところの濃淡や主観的な表現があるのは当然ですが、それでも客観をベースに書かれていて、幕末・維新を知るための本としてはとても参考になる本だなと思いました。

    キーワードは
    ・挙国一致
    ・攘夷(破約攘夷)
    の2点。

    挙国一致。ペリー来航当時の欧米列強の勢いを危惧し、このままでは日本は欧米列強に飲まれてしまう、という危惧から、天皇、公家、幕府、民、全ての心を一致して取り組み日本を守っていくということが重要である、という考え方。

    攘夷(破約攘夷)。攘夷のイメージは外国人を成敗するというイメージでしたかそれだけではなく、外国と交わした不平等な条約の改正など武力だけではなく諸外国との不平等を打破する取り組み。その手法として武力もあるということ。最たるものはテロめいたものにもなる。

    この2つのキーワードをベースに各人が各人の立場や考えをもって活動していた時代が幕末・明治なんだなと実感できました。

    その根底にあるのが「国を想う心」であると思いました。「このままでは日本がダメになる」「何とかしないといけない」そう言った日本人としてのアイデンティティ、誇りがあったからこそ、そしてその想いが強かったからこそ、命をかけてまで活動したんだなと思いました。

  • 幕末の歴史について、著者自身の研究成果を踏まえながらわかりやすく解説している本です。

    「尊攘派」対「佐幕派」という図式で語られがちな幕末の歴史ですが、著者は「攘夷」ということばにさまざまな意味が含まれていたことを指摘しています。そのうえで、ペリー・ショックによって巨大な軍事力を見せつけられた日本が、挙国一致で困難に立ち向かわなければならないことを自覚し、「破約攘夷」という課題をどのようにして果たすのかという問いをめぐってさまざまな考えかたが交錯する、幕末から明治維新にかけての動乱の模様がえがき出されています。

    「あとがき」に「本書は欧米列強にたいして手も足も出すことができなかった軍事的弱小国家日本が、屈辱をバネにして立ち直って近代化を達成した、国家建設の物語として述べられている」と書かれているように、結果的に近代国家の建設へといたるプロセスとして幕末史の流れが整理されています。歴史を動かした当事者たちに近代国家としての日本について明確なイメージがあったのかという点では、すこし疑問に感じるところもありますが、上のような著者の意図が明確に示されているところに著者の誠実さを感じたのも事実です。幕末史が一連のストーリーとしてまとめられており、新書のスタイルの概説書としておもしろく読めるように思います。

  • 「日本はアメリカに2回レイプされた」と言い放ったのは岸田秀だったように記憶しているが、本書は1回目のレイプを屈辱とし、攘夷を国是として挙国一致で立ち向かっていったというテイストで書かれている。
    著者は攘夷は史料上ではその時々で様々な意味で解釈しなければならず、広辞苑的な意味で解釈してはならないとする。この辺は鎖国も同じであり、いみじくも鎖国→攘夷という繋がりを意識させられる。尚、著者の基本的解釈は「破約攘夷」であり、明治以降は攘夷が条約改正に変容するというロジックである。
    著者は大久保利通の孫の弟子のようなので、当然薩摩贔屓の史観で語られている事に留意する必要がある。また、想像や思い込みで語られている部分もあり、学者らしからぬ記述も散見される。この辺は癌の闘病中に執筆し、上梓後まもなく他界し本書が遺作となってしまった著者の熱い思いとして許容する必要はあるのかもしれない。
    とはいえ、尊王と攘夷が合体した瞬間や、体制委任が正式書面化され、攘夷が国是かされた瞬間があったという事や、その他新しい発見も多々あったのは収穫ではあった。(おそらく異論も多々あるのだろうが)

  • 1/22 179ページまで読了。一旦返却。

  • 江戸時代国際社会からほぼ孤立していた日本が尊王攘夷を唱え、外国との関係を模索する中、吉田松陰、坂本龍馬、大久保利通といった人物たちがどんな決意をもって臨んでいったのかが書いてあるが、マニアックな記述が多く退屈な本だった。もう少し初心者向けの方が自分にはあってると思う。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file7/naiyou27901.html

  • 日本史にまったく疎かったので幕末史を学ぶには最適だった。経過を淡々と追ってるだけなのが却ってわかりやすかった。

  • これは「歴史書」というより「歴史モノ」と言っては失礼か。解釈や断定が相当あると感じた。
    その分時勢の流れが一貫としていて、「幕末史」としては読みやすく理解しやすいが、現実はそんなに真っ直ぐ流れた訳ではないように思える。
    まあ、この時代の全体像を把握するには良いのかも知れないが、この書き方には読んでもさほど感銘は感じなかった。

  • リアルな幕末史を知ることができる時代で良かった!

  • 目まぐるしく移り変わり、混沌する幕末を非常に分かりやすく教えてくれる。
    この時代は面白いだけに、どこまでが真実かわからない小説擬きの本や、素人には読みづらい歴史書が多いなかで、この本はありがたい。
    歴史の本は、結果を知ってから書き、現代人の解釈で読むだけに、同時代に寄り添うのは難しいが、この本は資料を丹念に読み込み、「攘夷」という言葉に新たな解釈をしてみるなど、目をひらかされた気がする。

  • 癌を患った著者渾身の一冊。
    登場人物が多く、夫々の思惑が絡まり合っている為、一読で全て納得という訳にはいかないが、日本のために全力を尽くした人々の苦悩を想うと胸があつくなった。

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著者プロフィール

1940年、秋田県生まれる。1970年、立教大学大学院文学研究科博士課程修了。京都大学教授、奈良大学教授などを歴任。2016年、没。
【主要著書】『大久保利通と明治維新』(歴史文化ライブラリー、吉川弘文館、1998年)、『江戸が東京になった日』(講談社選書メチエ、2001年)、『幕末政治と薩摩藩』(吉川弘文館、2004年)

「2022年 『幕末政治と薩摩藩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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