近代政治哲学:自然・主権・行政 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 327
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480068200

感想・レビュー・書評

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  • タイトル通り近代政治哲学の主要な人物における理論、主張の概説なのだが、紹介されている7人の考え方にどのような差異があり、またどのように変遷を辿ってきたのか、そしてなおも解決されていない課題には何があるのか、という点に言及がある。結論といえるものはなく、最後はこちらへ投げる形で終えているのは、その先は我々が、あるいは読者自身が考えるもの、ということだろう。平易な文章で読みやすかった。

  • たまたま目に入って、気になったので読んでみる。

    フランスのポスト構造主義のドゥルーズの訳者による政治哲学入門と思ったら、実は、こっちのほうが本業らしい。ほ〜。

    かくいうわたしも、実は、政治学のM.A.だったりするので、メジャーな関心に近かったりする。

    といっても、政治哲学をちゃんと勉強したわけでない。が、一応、ホッブス、スピノザ、ロック、ルソー、ヒューム、カント、程度はいろいろだが、読みかじったことはある本たちである。こうした古典を読んでいて、なんだかな〜?と思いつつ、明確に言語化できなかった疑問が、本当にクリアにされていて、すごいスッキリです。目から鱗がたくさんありました。

    他の人が読んでどうなのかは全く分からないけど、個人的にはすごい知的エンターティメントでした。

    ちなみに、読んでいて共感度が高かった哲学者は、スピノザとヒュームかな。このへんは、実は、ドゥルーズとも関連性の強い哲学者だと思うので、ある意味、最初に戻って、やっぱりね、でした。

  • ボダン、ホッブズ、スピノザ、ロック、ルソー、ヒューム、カントの政治哲学について考察している本です。

    単なる概説ではなく、哲学史的な叙述を通して著者自身の政治哲学上の問題意識を明瞭に浮かび上がらせるというスタイルになっています。著者自身の問題意識が最初に見えてくるのは、ロックを扱った章です。ここで著者は、ロックの「自然権」理解があいまいだと批判し、彼が「自然権」という概念のうちに、ほんらいそれに基づいて説明されなければならないはずの規範性が密輸入されていることを指摘しています。

    さらに著者自身の問題意識が明瞭になるのはルソーを扱った章です。ここで著者は、多くの論者たちを悩ませてきた「一般意志」について改めて考察をおこない、一般意志とは、そこから個別的具体的な政策が導き出されるようなものとしてあらかじめ確定することはできず、むしろ立法権に基づく法律の成立をもって一般意志が行使されたとして、遡及的に一般意志が見いだされるという解釈を示しています。

    ここまでくれば、ヒュームの経験論を経て、カントの規範的倫理学に基づく法哲学までは一直線です。この先がおもしろくなるのに……という思いにさせられてしまいますが、「近代政治哲学」という書名のためか、著者自身の政治哲学上の立場を明瞭にすることは控えられています。ただしその方向性は本書の叙述からも十分にうかがえますし、行政権をめぐる議論など、興味深い切り口がいくつも示されていて、読者自身が本書に続く考察を試みることを誘っています。

  • 人が集まり、そこでできる、せざるを得ないルール作り。
    それが、どんな「哲学」で成り立っているのか、それを整理する著書。
    分かりやすい良著。

  • 政治思想・哲学の書でスピノザを入れているのは著者の専門性ならではだろう。ただし、モンテスキューが入っていないのはどうかと思うが。特徴的なのはロック批判か。P147の社会契約論3者の自然状態・社会状態・国家状態の整理は面白い。他方、自然法や自然権については整理されていないように思えるが、そもそも著者は自然法や自然権について懐疑的なようなので、整理する気もないのかもしれないが。カントで締め括り、立法・行政の観点から民主主義(民主政)への問いをしているのも著者独特の信条の表れに思える(代表民主主義は貴族政?)。講義内容がベースとの事だが、内容的にはスタンダードではない印象。が、このような解釈もあるのだなと勉強にはなるので読んで損はない。

  • 私には難しすぎた。この本が理解できるようになるためにはそれなりの予備知識が必要だと思う。

  • いい本だったので、ブログで簡単に内容紹介しました
    http://highjamp.hatenablog.com/entry/2017/12/21/095142

  • 近代政治思想といえば、社会契約説がすぐに頭に浮かぶが、ボダン、スピノザ、ヒューム、そしてカントの政治論をそこに並べてみれば、ホッブズやロックの思想がまた違って見えてくる。

  • ・近代国家(←宗教戦争)←封建国家
    P15〜27
    筆者は封建国家の政治的側面、宗教的側面を近代国家と比較しながら説明し、宗教戦争が封建的秩序の崩壊をもたらすきっかけとなったと語る。
    P27〜33
    ジャン・ボダンは極端な絶対主義擁護論を主張し、そこからは主権という概念が生み出された。それは対外的には戦争による自立性、対内的には立法による超越性によって実現し、その概念はボダンが生み出してから疑われることがなかった。また領土の概念も生まれる。
    P41
    1章のまとめ

    ・自然状態の理論→自然権→社会契約論
    P47前半
    P42〜46のまとめ(自然状態の理論)
    P47〜53
    ホッブズは自然状態を脱却するための理論を説明するため、自然権という概念を生み、それを規制することで国家が創設されるとした。自然権とは自分の力を自分のために好き勝手に用いる自由のことであり、前述のようにそれを皆が行使すれば、戦争状態になる。そこで、その自由をある程度放棄・主権へ譲渡することで(社会契約論)、その契約が国家を生むのである。
    P54〜62


  • ボダン、ホッブズ、スピノザ、ロック、ルソー、ヒューム、カントの政治論を解説している。少しルソーに肩入れしすぎのようにも。

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著者プロフィール

1974年、千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。高崎経済大学を経て、現在東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。専門は哲学・現代思想。著書に『スピノザの方法』(みすず書房)、『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社、増補新版:太田出版)、『ドゥルーズの哲学原理』(岩波現代全書)、『来るべき民主主義』(幻冬舎新書)、『近代政治哲学』(ちくま新書)、『民主主義を直感するために』(晶文社)、『中動態の世界』(医学書院)、『いつもそばには本があった。』(互盛央との共著、講談社選書メチエ)など。訳書に、ジャック・デリダ『マルクスと息子たち』(岩波書店)、ジル・ドゥルーズ『カントの批判哲学』(ちくま学芸文庫)などがある。『暇と退屈の倫理学』で第2回紀伊國屋じんぶん大賞、『中動態の世界』で第16回小林秀雄賞を受賞。

「2019年 『原子力時代における哲学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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