心理学の名著30 (ちくま新書)

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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480068552

感想・レビュー・書評

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  •  人のこころ。心理学のなかでも、議論となる名著を厳選して解説。動物界の一員としてのヒトの研究、ひとの心理学は意味を構成しながら人生を歩んでいくひとの研究、人の心理学は社会を作り、そのあり方を問う。
     音や数字に色がついて見える。認知の多様性。デカルトの我思う故に我あり、心身二元論。
    正義は断じるもの、倫理は抱え続けるもの、道徳はしつけられたもの。正義の反対はもう1つの正義となる。悪では無い点には注意。逆から見たらすぐに分かる。主体として考え、行動することが大切だ。
    ブルーナーのコインの実験。裕福な子と貧困の子で同じコインを見ても、貧困の子の方がコインが大きく見えているという。価値、意味がひとによって異なるという実証である。
    そして、マズローの心理学。生理的、安全、所属と愛、承認、自己実現という五段階の欲求があり、高い精神的な欲求に進んでいく過程をピラミッドで表した。
     カルトについてはフィスティンガーの研究、ノストラダムスの予言は外れたが、むしろのめり込んだ人の多くは財をつぎ込んでいて、都合よく解釈する。カルト入信もまた、犠牲を伴う分都合よく解釈していった結果と。宗教なんて、まさにそれよと心理学では分析している。問題になるから、暗にだけど。

  • 予想通り30冊をつまみ食いした本

  • 無駄な文も多いが、フランクで読みやすい。心理学の各領域の分類、関連については、教科書よりも分かりやすい。

  • 去年読んだときはかなり難しく感じ、意図的に難しく書いているのでは?とさえ思ったが、今読むとそれが勘違いだったと分かる。これは心理学中級者向けの本だと思う。去年の秋に心理学検定1級を取得し、基本的な用語を理解した今では難なく読むことができ、さらにキーワード間の論理や物語を保管できたという点で有用だった。今後も読み返すと思う。

  • 心理学書の名作についての評論という感じか

  • 読了。

  • 配置場所:2F新書書架
    請求記号:ちくま新書 ; 1149
    資料ID:C0037198

  •  心理学における名著30冊を紹介。

     古典だけでなく新しいものもかなり入っている。多岐に渡る分野からバランスよく選ばれ、心理学を学ぶ者は一度は目を通すべき本ばかり。

  • 3(領域:認知・行動,発達,社会)×3(基本・臨床・発展)の9カテゴリで30冊を紹介。名前は知っているけど通読したことない本もたくさん。臨床のあたりは教科書のさらっとした記述だけ読んで上っ面しか見てなかったんだなーと気付かされること多々あり。専門の人間としては30冊ちゃんと全部読むべきところか。せめて社会領域は読んでおかないといかんかな。

  •  ちくま新書の〈30冊〉シリーズの中には、〔あくまでごく一部だが〕選書において「なんとなく、有名どころを30冊くらい選らんじゃおー」的な甘さが垣間見えるなか、本書は選択においてかなり真面目にバランスを実現しようと努力されていらっしゃる。

    【メモ】
    ・96頁の書誌情報だけが日本語。もとが論文だからか。
    ・153頁は個人的に好み。脳みそ還元主義やトロッコ問題乱発に釘を刺している。
    ・187頁の書誌情報。
    Erich Fromm, Escape From Freedom, 1941 (翻訳[新版]日高六郎訳、東京創元社、一九六六)
    とあるが、わたし調べでは、邦訳は1965年のはず。


    【目次】
    目次 [003-006]
    はじめに [007-011]

    第1章 認知・行動領域――「ヒト」としての心理学 013
    01 ジェームズ『心理学について』――近代心理学の土台となる思想 014
    William James, Talks to Teachers on Psychology: and to Students on Some of Life’s ideals, 1989
    哲学者西田幾多郎にも影響を与えた心理学者/意識は不断に流れている/心理学への様々な影響/『心理学原理』の余波/人間への飽くなき興味

    02 ルリヤ『偉大な記憶力の物語』――記憶力が良ければ幸せか 023
    А. Р. Лурия, Маленькая книжка о большой памяти (Ум мнемониста), 1968
    同窓会でその当時に戻れるのはなぜ?/記憶の分類/特殊な記憶の持ち主/忘れることも立派な能力

    03 スキナー『自由と尊厳を超えて』――新たな行動主義 030
    Burrhus Frederic Skinner, Beyond Freedom and Dignity, 1971
    行動を分類する/行動主義の誕生/罰に対して反対する/ジェームズからの影響/価値と文化の行動分析/死ぬという行動はオペラント行動

    04 ノーマン『誰のためのデザイン?』――アフォーダンスの応用 039
    Donald A. Norman, The Design of Everyday Things, 1988
    ギブソンのアフォーダンス理論/デザインは記号の配置である/アフォーダンスをいかに応用するか/知覚の心理学を実社会で活かす/

    05 セリグマン『オプテミスィトはなぜ成功するか』――無力感の研究から始まる楽観主義 046
    Martin E. P. Seligman, Learned Optimism, 1990
    無力感を学習するとは?/ポジティブ心理学の誕生/社会からも必要とされるポジティブ心理学

    06 カバットジン『マインドフルネスを始めたいあなたへ』――自分らしく生きるための思考 054
    Jon Kabt-Zin, Wherever You Go, There You are: mind fullness Meditation in Everyday Life, 1994
    行動療法その第三世代の波/自分を深く知り世界と調和するために/いまここを重視する

    07 ラマチャンドラン『脳のなかの幽霊、ふたたび』――脳のなかの意識ではないもの 060
    Vilayanur S. Ramachandran, The Emerging Mind, 2003
    脳の中の混線と断線/数字に色がついて見える/ペンフィールドによる脳地図/言葉によって失った知覚

    08 ダマシオ『デカルトの誤り』――身体と精神は別ではない 069
    Antonio Damasio, Descarter’s Error/Emotion, Reason, and the Human Brain, 2005
    「我思う故に我有り」は本当か?/神経心理学における有名な参加者たち/感情が欠落すること/有機体としての人間

    09 トマセロ『コミュニケーションの起源を探る』――人は協力するために他人を理解する 078
    Michel Tomasello, Origins of Human Communication, 2008
    トルコと日本の協力関係/人は九カ月から社会の一員となる/子どもの心理学の歴史/「異なる視点」は人しかもたない


    第2章 発達領域――「ひと」としての心理学 089
    10 ビネ、シモン『知能の発達と評価』――教育のための適切な検査 090
    (邦訳:中野善達・大沢正子訳、福村出版、一九八二)
    知能検査と知能指数は違うもの/当時のフランスの状況/総合的判断を重視する知能検査/誤用される知能検査/検査することの権力性

    11 フロイト『精神分析入門』――心理学と精神分析のつながり 097
    Sigmund Freud, Vorlesungen zur Einfu hrüng in die Psychoanalyse, 1917
    フロイトの前半期の総まとめ/独創的な発想/神経症の理解と治療/フロイト理論の魅力/新しい人間観としての精神分析

    12 ユング『心理学的類型』――対立を乗り越えて 106
    Carl Gustav Jung, Psychologische Typen, 1921
    ユングとフロイトとの対立/フロイトとアドラーの違いから理論を見出す/タイプ論/単純であるがゆえに複雑なものを引き出す

    13 ヴィゴーツキー『教育心理学講義』――心理学が教育にできること 116
    Lev Vigotskiy, Educational Psychology, 1926
    人間にのみある固有の機能/教育と心理学の関係/発達心理学者ピアジェ/手助けを借りながら学ぶ

    14 ロジャーズ『カウンセリングと心理療法』――カウンセリングの可能性を開く 125
    Carl Ransom Rogers, Counseling and Psychotherapy: Newer Concepts in Practice, 1942
    誤解を受けやすいロジャーズ/児童相談所で多くの子どもと接する/あくまで援助するカウンセリング/グループワークを開発する

    15 エリクソン『アイデンティティとライフサイクル』――人間の発達の可能性 134
    Erik H. Erikson, Identity and the Life, 1959
    エリクソンの不思議な生い立ち/児童分析が結実した『子ども期と社会』/「後漸成」という画期的な考え/「心理・社会的」発達の可能性

    16 ギリガン『もうひとつの声』――他者への配慮の倫理 145
    Carol Gilligan, In a Different Voice: Psychological Theory and Women's Development, 1982
    道徳性心理学と発達心理学/ハインツのジレンマにいかに答えるか/ギリガンによる発想の転換/道徳的問題に対するジェンダーの違い/脳に還元せずに考える

    17 ブルーナー『意味の復権』――意味から物語へ 156
    Jerome Bruner, Acts of Meaning, 1990
    認知革命の旗手/意味のない世界からの脱却/積極的に意味づけしていく存在としての「ひと」/ナラティブから文化へ/物語重視への転換(ナラティブ・ターン)の立役者

    18 ハーマンス、ケンベン『対話的自己』――自己はたった一つではない 169
    H. J. M Hermans. & H. J. G. Kempen, The Dialogical self: Meaning as Movement, 1993
    自己とは自分のことではない/自己は複数存在する/箱庭療法とコンポジション・ワーク


    第3章 社会領域――「人」としての心理学 177
    19 フロム『自由からの逃走』――人間の本質とは何か 178
    Erich Fromm, Escape From Freedom, 1941 (翻訳[新版]日高六郎訳、東京創元社、一九六六)
    悪についての洞察/近代における人間とは/社会的性格という新たな概念/権威主義的パーソナリティの本質/自由とは何か

    20 フランクル『夜と霧』――人生の意味を問いなおす  188
    Viktor Emil Frankl, Ein Psychologe erlebt das Konzentrationslager, in trotzdem Ja zum Leben sagen, 1977
    圧倒的な価値の源泉/人生の意味を見出す力/「私にしかできない何か」を問う/旧版と新版の違い

    21 レヴィン『社会科学における場の理論』――ゲシタルト心理学の流れ 194
    Kurt Lewin, Field Theory in Social Science, 1951
    ゲシタルトの概念を取り入れる/動きのゲシタルト:なぜ光が動いて見えるのか/ゲシタルト心理学の展開/子どもには場の構造をとらえるのが難しい

    22 マズロー『人間性の心理学』――動機づけを与えるために 204
    A. H. Maslow, Motivation and Personality, 1954
    よりよい生活を送るためのヒント/ピラミッド型の欲求段階/自己実現/心理学における手段と目的の取り違え

    23 フェスティンガー、リーケン、シャクター『予言がはずれるとき』――人は都合よく出来事を解釈する 210
    Leon Festinger, henry W. Recken and Stanley Schacher, When Prophecy fails, 1956
    終末予言と認知的不協和理論/社会心理学者の奇妙な人生

    24 ミルグラム『服従の心理』――誰もが悪になりうる 217
    Stanley Milgram, Obedience to Authority An Experimental View, 1974
    アッシュの集団圧力の実験/人は致死量の電気ショックを与えるのか?/悪の凡庸さを実験によって証明する/倫理的問いを抱える

    25 チャルディーニ『影響力の武器』――ダマされやすい心理学者による提案 225
    Robert Cialdini, Influence; Science and Practice, 1988
    心理学は役に立つ?/勧誘のプロを研究する/心理学は悪用できるか?/どれだけ真剣に読めるか

    26 ラザルス『ストレスと情動の心理学』――単純な因果関係を乗り越える 231
    Richard S. Lazarus, Stress and Emotion: A New Synthesis, 1999
    生理学からはじまる/各方面から研究されるストレス/ストレスとトラウマ/物語(ナラティブ)アプローチによるストレス理解/

    27 ミシェル『マシュマロ・テスト』――性格は個人の中には無い 240
    Walter Mischel, The Marshmallow Test: Mastering Self-Control, 2014
    性格および性格を知るということ/性格理論が訴えることをひっくり返す/マシュマロ・テストとは何か/ホットシステムとクールシステム

    第4章 心理学の展開 251
    28 ロフタス『目撃者の証言』――記憶はどこまで信用できるか 252
    Elizabeth F. Loftus, Eyewitness Testimony, 1979
    目撃者の証言はどれくらい使えるか/記憶はいつも不安定/心理学の応用は法の現場からはじまった/記憶による証言をどこまであてにするか

    29 ヴァルシナー『新しい文化心理学の構築』――普遍と個別を架橋する概念としての文化 262
    Jaan Valsiner, Culture in Minds and Societies, 2007 (邦訳:サトウタツヤ監訳、新曜社、二〇一三)
    文化と心理学の関係とは/「比較」文化心理学/「一般」文化心理学から見た文化/ディスコミュニケーションと自己の三層モデル/文化を扱うことの困難さ/複線経路等至性アプローチ

    30 カーネマン『ファスト&スロー』――行動経済学の基本にある心理学的考え 272
    Daniel Kahneman, Thinking, Fast and Slow, 2011
    経済学者か心理学者か/分かりやすさを重視した二項対立/速考としてのヒューリスティックの発見/プロスペクト理論/ファスト思考(速考)も合理的な判断/自己・人生・物語・幸福

    あとがき [282-286]

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著者プロフィール

立命館大学総合心理学部総合心理学科教授

「2019年 『質的研究法マッピング』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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