家族幻想: 「ひきこもり」から問う (ちくま新書 1163)

著者 :
  • 筑摩書房
3.09
  • (4)
  • (10)
  • (20)
  • (8)
  • (3)
本棚登録 : 189
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480068699

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ふむふむ。

  • なんというか全体にまとまりがない。1〜3章までで個別のひきこもり事例から家族の価値観に問題を見出しつつ、自分の親との体験、親としての体験を綴ったとこまではとても良かったけど、それ以降また個別の事例の紹介に戻っていて、散漫な構成になっていて残念。朝ドラの後の番組でコロナ後の虐待について話してて面白そうな人だったから読んでみた。

  • 家族やイエ制度とは何か?を考えさせられる本。
    個別の事例が紹介されているが、明確な解決策がないため解決するための指南書として読まれる方は物足りないかも。
    問題の本質を考えるための本。

  • 家族

  • ひきこもり70万人、子どもを所有感覚・抱え込む親、イエが自分に課す規範から自由になれず、自分を空想上の「他人のまなざし」でチェックし、不十分と評価し、外に出られなくなる。

    ひきこもっていても生活や仕事もできるようになってきているし、それも生き方のひとつとしてノウハウが共有されるようになれば、悪いことじゃなくなるのに。

  • 引きこもっている人々へのインタビューを本にまとめている。引きこもりは、それぞれのイエの規範に縛られているのでなかなか抜け出せない。イエの規範から、抜け出すことが解決の糸口だが、どう抜け出せばよいのかは明かでない。

  •  この著者の本は、同じちくま新書の『ルポ 虐待――大阪二児置き去り死事件』を読んだことがある。これは優れたノンフィクションであったが、本書はとっちらかってまとまりがない印象だ。

     ひきこもりの当事者(本人・親・支援者・医師など)たちを15年も取材してきた結果がこの本では、ちょっと物足りない。版元がつけた惹句には「現代の希望を探しもとめる圧倒的なノンフィクション」とあるが、それほどのものではないと思う。

     本書の最大の欠点は、第三章「私の中のひきこもり」で自分語りを延々とやっているところ。
     著者の息子さんが長い不登校を経験しているそうで、その経緯について書くのはまあいい。
     だが、著者自身の生育歴や、祖父母の代(!)からの杉山家の物語をダラダラと書く必然性が、どこにあったのか? むろん、著者の中では必然性があるからそういう構成にしたのだろうが、私にはその必然性が見えない。

     第三章をすべてカットして、その分ほかの章をふくらませていたら、もっといい本になっただろう。

     ただ、それ以外の章も、私の心にはあまり響かなかった。
     著者は、登場する多様なひきこもり事例の背後に共通項を見出そうとしているのだが、その点に無理があると思うのだ。

    《ひきこもりの背後には、「自分に課す規範から自由になれないことがある。その規範が与えられるのは、多くの場合家庭=イエである」と私は書いてきた。》

     本書のそのような主張は、ひきこもりの子を持つ親たちを傷つけるのではないか。
     “親の規範・家の規範を子どもに押し付けたから、ひきこもりになったのだ”と、そう言われているように受け止めてしまうのではないか(著者の意図はそこにないにしろ)。

  • 引きこもりにはあまり関心がなかった。
    心のどこかで、親に甘え、自尊心が高く、周囲を見下している人だと思っていたからかも知れない。
    確かにそういう人もいるだろう。
    しかしそれが全てではない。
    狭く、密室である、家族という中で苦しむ人は一定程度いる。
    その苦しみに想いを馳せなければ、思い込みで語ってしまう危険性がある。

    「存在の肯定」が引きこもりからの回復に欠かせないと著者は言う。
    それは口で言うほど簡単なことではない。
    近すぎる関係がもたらしたこの問題は、本人だけでも、家族だけを支援するのも、不十分だからだ。
    双方に適切な方向転換を求めて、助けをもたらさなければ、事態は動かない。

    親の苦悩もわかる(と言っていいものかどうか、疑問はあるが)。
    傷つきやすすぎる心と、暴力によってしか自己表現できない子供を保護し、育てる心労は如何程のものか。

    と、まるで私は良き理解者のようだが、どうしたって芯の部分で理解し難い点は多くある。
    あまりに複雑に絡み合った問題で、家族という興味のあるテーマであっても、避けがちな問題のひとつだ。

  • 家族は人を追い詰める力も大きい。スペースの力を言うけれど、どうやって家族以外につてを求めるかがこの時代ずいぶん大きいのだろうなあ。

全23件中 1 - 10件を表示

杉山春の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×