カール・マルクス: 「資本主義」と闘った社会思想家 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480068897

感想・レビュー・書評

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  • マルクス主義で知られる、カール・マルクスの人生と、社会主義思想の原点といえる著書である資本論の解説本。

    資本論に書かれている内容について理解したくこの本を読んでみたが、正直に言うと、何を言っているのかよく分からなかった。
    私の理解力の問題が多分に大きいとは思うが、すごくシンプルな話を、たくさん用語定義をして難しく書いているだけ、というように聞こえた。

    別途調べてみると、資本論の大筋は、

    ・労働者が労働力を低額で売買してしまうと、資本家は労働者を限界まで働かせるようになる。
    ・労働力の価値を最大化しようとすると、資本家は労働力を可能な限り集約するようになる。よって独占が発生する。
    ・独占状態に陥ると、労働者は他の働き口をなくし、資本家への交渉力を失う。
    ・結局、労働者は使いつぶされ、将来的に働き手はなくなるが、資本家は部分最適でしか考えないので、労働者を守る方向には動かない。
    ・よって資本主義は崩壊する。

    ということだと理解できたが・・・

    初学者が資本論を勉強するなら、ほかの本がいいかもしれない。

  • カール・マルクスの生涯を辿りながら、彼の思想を変遷を描いている。マルクスの思想はマルクス主義とは異なる。マルクスはより大きな展望を持ちつつ社会の問題に具体的な解決を求めて取り組み、社会変革のために生涯探究を続けていた。資本主義が進み、グローバリゼーションが広がる現代においてこそ、マルクスの問題提起が生きることを示し、新しいマルクス像を提示しようとしている。
    入門書としてもとてもわかりやすい。特に「資本論」については紙幅を割いて説明しているが、現代の日本の問題、ブラック企業や社会的基礎サービス領域の市場化なども例として挙げ、「資本論」が今日の問題とつながっていることを示している。さらに最終章は「資本論」(第1巻)執筆後のマルクスが「物質代謝」論を軸にエコロジー、気候変動、共同体、ジェンダーへと研究を広げて行った姿を書簡や「抜粋ノート」を追跡して明らかにしていく。これほどまでに多くの問題に関心を持っていたことに驚かさせる。気候変動など当時はあまり問題化していない分野まで興味を持っていたことや、農耕共同体に高い評価を与え、決して単線発展的は近代化主義論者ではなかったことに新しい発見があった。

  • 良い意味で新書らしい新書。マルクスの生涯および思想の変遷を追いながら、本丸たる『資本論』について多くの紙数を費やして解説している。その解説も実に懇切丁寧なもので、具体例をいろいろ引きながらうまく噛み砕いている(それでもやっぱり難しいのだが)。とくに著者の注目する物質代謝論から共同体研究に至る晩期マルクスの探求は、この思想家の先進性、スケールの大きさを示すものであり、大変興味深かった。

  • マルクス→法、文学、哲学ときて経済へ。

    資本論は労働者の搾取をただ語る本ではなく、資本主義経済がなんたるものか、その解釈を与える本。
    共産主義のユートピアを目指すか、資本の蓄積こそ攻略法と見出すかはその応用に過ぎない。

    物の価値→使用価値と抽象的人間的労働価値

    労働とは、貨幣とは、労働とは、労働力とは、勤め人とは、資本とは、資本家とは。

    ああこれは資本持たないといけませんはと背中を押してくれる。

  • 「「資本主義」と闘った社会思想家」という副題をもつ本書は青年期マルクスから晩年のマルクスまで、その格闘の足跡を最新のマルクス研究の成果を取り入れながら、簡潔に解説している。とくに晩年のマルクスの「抜粋ノート」にもとづく研究は今後益々進められていくとのこと。確かに我々世代がその昔に大学で学んだマルクスの印象とはだいぶ異なった像が本書では示されている。

    第1章は、まずマルクスが「新しい唯物論」に辿り着くまでの思想的格闘を叙述する。フォイエルバッハやヘーゲルの哲学を批判し、新しい唯物論を確立したマルクスは、唯物史観と呼ばれる変革のヴィジョンを示す。それが『共産党宣言』であった。

    第2章は資本主義的生産様式の根本を明らかにし、批判し、さらなる変革構想を示すこととなる『資本論』を商品、貨幣、資本と賃労働、資本蓄積と所有、恐慌論、そして最後に資本主義の歴史的起源とその運命、について解説される。ここまで来て読者は、「共産党宣言」の唯物史観がさらに深められ、資本主義の「秘密」の核心に辿り着く。

    そして、第3章はさらに飽くなき変革構想確立に挑戦していく晩年のマルクスが、「物質代謝」という自然科学の具体的成果から導き出していくさまとともに描かれる。そうした根本的批判と変革の追究の結果、唯物史観では評価が低かった共同体の再評価につながっていく(ヴェラザスーリッチへの手紙)というのは面白い。

  • マルクスと社会主義のちくま解説本 簡潔

  • マルクスは労働時間の短縮を訴えていた。人間性の回復のために。

  •  マルクスの理論を彼の人生をなぞりながら解説。

     マルクスというと共産主義の生みの親というイメージだったが完全にそれは覆された。文学から哲学、そして経済学へとシフトしたマルクスの理論は思想の枠が広いように感じた。
     資本主義経済の暴走についてしっかり書かれていて、まるで今の世界を見通していたかのようだ。さらにそういった暴走による環境問題やジェンダーにまでふれられている。

     マルクスは古いどころかまさに今の理論であることが伝わる良書。

  • マルクスについての力のこもった論考。昨今、」マルクスとジェンダー」とか「マルクスとエコロジー」といったタイトルを目にすることがあったが、本書を読んでそれがよく分かった。

  • マルクスの人生を概観しつつ、彼の思索の過程をたどることができる良書。
    資本論に関する説明は初心者向けにわかりやすく書かれているという印象を受けたが、初学者である私にはとっつきにくかった。それでも、資本論の議論がいかに本質的なものであるかは門外漢の自分にも十二分に理解できた。
    本書によると、晩期には共産主義革命という手段の難しさを感じるようになり、伝統的な共同体の強靭さに注目するようになったという。ミシェル・ウェルベックの服従にも通じるテーマであり、今後の世界の行方を占う上でも重要な問いかけなのではないだろうか。

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著者プロフィール

佐々木 隆治(立教大学経済学部准教授)

「2019年 『ベーシックインカムを問いなおす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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