日本建築入門 (ちくま新書)

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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480068903

感想・レビュー・書評

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  • 本来地域ごとの気候、環境に左右されるはずの建築も、近代に入ってからは主として米国主導による標準化の波に洗われることとなった。それへの抵抗として(これまでとくに意識されなかった)「伝統」が強調されるようになった。日本の近代建築はモダニズム(標準化)対伝統主義の相克としてまず規定される。

    そうすると、どうしてもまずもって日本の伝統とは何か、という議論になってくる。建築の表現としては、それはまず「屋根」に典型的に表れるという。パルテノン神殿のような躯体に神社風の屋根、というキメラ的建物はなるほど割と見かけるように思う。そうした即物的な合体ではなく、例えばヨーロッパ的な回廊と寺社を巧みに融合させる形で伝統を考えさせる丹下健三らの試みも歴史に名を残している(原爆資料館)。

    そうした潮流から独立して、そもそも日本的なわびさび自体をせせこましいと退け、縄文文化が持つ躍動感を徹底的に強調したのが岡本太郎。
    大阪万博において、丹下健三による「屋根」に覆われたプラザと、それを突き破るように屹立した「太陽の塔」とを、二つの思想のぶつかり合いが生んだ傑作として著者は高く評価している(そして、丹下作品が取り壊され、塔だけが残ってしまったことを強く惜しんでいる)。
    この章では岡本作品の造形と「エヴァンゲリオン」における使徒のビジュアルの類似を指摘するなど、著者の筆も乗りに乗っている。

    ということで、思想と建築が分かちがたく結びついていることが理解できる一冊。

  • 様々な切り口によって日本建築とは何かをあぶり出そうとしていて、近代以降の建築通史としてはよくまとまっていると思うが、入門と言われるとちょっととっつきにくい。前半特に「オリンピック」「万博」「メタボリズム」「岡本太郎」の章が興味深かった。

  • 「結婚式教会」とか「新宗教と」とかおもしろかったんだけど、ちょっと話題が散らばりすぎて印象薄いかな。入門書ってそういうもんかなぁ。

  • 2016/4/13

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著者プロフィール

五十嵐太郎(いがらし・たろう)
1967年、フランス・パリ生まれ。建築史家、建築評論家。東京大学工学系大学院建築学専攻修士課程修了。博士(工学)。東北大学大学院工学研究科教授。『ル・コルビュジエがめざしたもの』(青土社)、『日本の建築家はなぜ世界で愛されるのか』(PHP新書)、『日本建築入門――近代と伝統』(ちくま新書)、『新編 新宗教と巨大建築』(ちくま学芸文庫)、『現代建築に関する16章』(講談社現代新書)など著書多数。

「2018年 『白井晟一の原爆堂 四つの対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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