日本建築入門 (ちくま新書 1181)

著者 :
  • 筑摩書房
3.10
  • (0)
  • (6)
  • (11)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 145
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480068903

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 521-I
    閲覧新書

  • 「日本的なるもの」に対する昭和の建築家たちの様々な意見を集約した感じの本。

    最後の方にありましたが、「歴史を学ぶのは各時代に何故その様式が生まれたかを知るためである」というのがすごく良かった☆章ごとにある建築物に対する評価がコロコロ変わるのでちょっと専門外の人にとっては分かりにくいところもあったかも??ただ、デザイン的には余り良い評価では無い赤坂離宮に対し、「赤坂離宮は、日本人が外国人に依頼せずとも日本の建築家や美術家が結集したオール・ジャパンで西洋に匹敵する格式が高い建築をつくりだすプロジェクトだった」という記述があり、やっぱり芸術はその作品だけでなく当時の時代背景や歴史がセットで楽しむものだなとしみじみ思いました♪
     ※もちろん、感性で楽しむ人もたくさん居るとは思います^^;

  • 途中からよくわからなくなった

  • 本来地域ごとの気候、環境に左右されるはずの建築も、近代に入ってからは主として米国主導による標準化の波に洗われることとなった。それへの抵抗として(これまでとくに意識されなかった)「伝統」が強調されるようになった。日本の近代建築はモダニズム(標準化)対伝統主義の相克としてまず規定される。

    そうすると、どうしてもまずもって日本の伝統とは何か、という議論になってくる。建築の表現としては、それはまず「屋根」に典型的に表れるという。パルテノン神殿のような躯体に神社風の屋根、というキメラ的建物はなるほど割と見かけるように思う。そうした即物的な合体ではなく、例えばヨーロッパ的な回廊と寺社を巧みに融合させる形で伝統を考えさせる丹下健三らの試みも歴史に名を残している(原爆資料館)。

    そうした潮流から独立して、そもそも日本的なわびさび自体をせせこましいと退け、縄文文化が持つ躍動感を徹底的に強調したのが岡本太郎。
    大阪万博において、丹下健三による「屋根」に覆われたプラザと、それを突き破るように屹立した「太陽の塔」とを、二つの思想のぶつかり合いが生んだ傑作として著者は高く評価している(そして、丹下作品が取り壊され、塔だけが残ってしまったことを強く惜しんでいる)。
    この章では岡本作品の造形と「エヴァンゲリオン」における使徒のビジュアルの類似を指摘するなど、著者の筆も乗りに乗っている。

    ということで、思想と建築が分かちがたく結びついていることが理解できる一冊。

  • 様々な切り口によって日本建築とは何かをあぶり出そうとしていて、近代以降の建築通史としてはよくまとまっていると思うが、入門と言われるとちょっととっつきにくい。前半特に「オリンピック」「万博」「メタボリズム」「岡本太郎」の章が興味深かった。

  • 「結婚式教会」とか「新宗教と」とかおもしろかったんだけど、ちょっと話題が散らばりすぎて印象薄いかな。入門書ってそういうもんかなぁ。

  • 2016/4/13

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

1967年パリ生まれ。東北大学大学院工学研究科教授。博士(工学)。建築史・建築批評。1992年東京大学大学院修了。ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展2008日本館コミッショナー、あいちトリエンナーレ2013芸術監督。
主な著作に『過防備都市』(中公新書ラクレ、2004年)、『建築の東京』(みすず書房、2020年)、『様式とかたちから建築を考える』(菅野裕子との共著、平凡社、2022年)がある。

「2022年 『増補版 戦争と建築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

五十嵐太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×