天文学者たちの江戸時代: 暦・宇宙観の大転換 (ちくま新書 1198)
- 筑摩書房 (2016年7月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480069023
感想・レビュー・書評
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江戸時代の天文学は、中国の天文学をもとにしていたが、やがて西洋天文学へ移行した。
入手しにくい天文学系の本をなんとか入手し、それをもとに研究を重ねていった。江戸幕府は天文方という組織が作られていた。
それは、江戸幕府崩壊まで存続した。また徳川吉宗等も天文学に非常に興味を持っていた。
渋川晴海、麻田剛立、高橋至時、間重富、高橋景保、渋川景佑。こういった人物が重要なキャラクターである。江戸時代の天文学は渋川晴海に始まり、渋川景佑へとつらなる。
江戸末期には、すでに地動説が知られていたというから驚きだ。
江戸時代の天文学というものは、かなり盛んだったことがわかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本独自の天文学研究だとか、宇宙観のパラダイムシフトとか、そういうものが出てくるものと読み始めたが、大半が「外から来た情報をどう取り込むか」であり、地動説ですら「さもありなん」程度で受け入れていたようで、なんとも素っ気なかった。
加えて、読んでいても、当時の人々の宇宙観や人物の人となりが見えてこない。史料が乏しいのに加え、自分の功績を主張しない・する場のない国民性もあるのだろう。だが面白みに欠けるのは間違いない。
「偉人伝でも科学史書でもない線を意図した」とは著者の言だが、結果焦点の甘い作りになっているのは否めない。 -
小学生の頃に渋川春海を知り、学生の頃に天地明察を読み、大人になってからも国立科学博物館の日本館にある渋川春海関連の収蔵品が好きで足繁く通っているわりに、ちゃんとした新書類で勉強したことなかったなぁ、ということで手に取ってみた一冊。
天文学の専門的な話を深掘りしすぎて置いていかれることもなく、江戸時代の天文方の匂いというか雰囲気というか、エッセンスだけギュッと凝縮してあって、時代小説に近い感覚で読めました。
夢中で読んでいたので、春海の時代から景佑の時代になるまで、あっという間でしたが、この間の日本の天文学の進歩が凄まじい……。ゾクゾクしました。
天地明察がお好きな方は、副読本としてこちらの新書を読むのもオススメです。あのシーンの元ネタはここか!って記述があって楽しかったです。 -
天文学なんかサッパリ知らないのに、なんで急にこんな本を読もうと思ったのか我ながら謎だけど、読んでみたら面白かった!
鎖国の時代に、苦労してオランダ語の本を解読しながら西洋の天文学に追いつこうと必死だった学者たち。
蝕や彗星などの天文現象を吉凶と結びつける中国的占いの時代から、理論を説明できる科学の時代へ、少しずつ進んで行く。
暦を改訂しようというスタート地点から、渋川春海に始まり、麻田剛立、間重富&高橋至時と、まるで時代の要請に応えるかのように気鋭の天文学者が登場する。
学問てのはほんと、今でこそ世界中の頭脳が切磋琢磨して新しいことがわかっていくけれど、国が閉じているって進歩のためにはすごく損失なんだなとつくづく感じた。 -
「天地明察」の渋川春海や
「風雲児たち」に出てきた麻田剛立に
高橋至時・間重富の名前を見て本書を手に取りました。
専門的な部分は読み飛ばしています^^;
つくづく「風雲児たち」のスゴさが分かるなあ~。