- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480069030
感想・レビュー・書評
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政治学的に見た観念的な野党の分析、55年体制以降の日本政治の通史と分析・評論、英独仏米瑞の政治体制の紹介と政党制の分類、日本の野党への提言、と盛りだくさんなのだが、それだけにややまとまりのない印象を受けた。
筆者は、体制内で「野党性」が発揮できていることが多様な民意の反映の表れであり、民主主義体制が安定していることだと述べている。現在の先進国政治だけからはイメージしにくいが、過去には先進国でも異なる体制を志向する政党があったことを思い起こすと理解しやすい。「民主主義においては、野党性が複数あればあるほど、その政治は長期的にみて安定していくという歴史的な法則」とも述べている。ここでいう「政治」とは「政治体制」ということだろう。しかし一方で、短期的な政権運営においては、小泉政権や第二次安倍政権のように野党性が抑制された方が安定しており、思い切った改革も容易ではないか。もちろん当該政権の政策が一定の野党性の下で(この場合、公明党もそうだろう)誤った方向に行かないという前提だが。
また筆者は、野党を以下の3つに分類している。「政権交代型」については、英米で、そして日本でも民主党政権の誕生により政権交代が起きても、少なからず前政権の政策の継続があったことを考えると理解しやすいか。
○抵抗型(55年体制下の社会党):一定の議席を得ることで与党の政権運営に緊張感を与える、「対立型争点」に比重
○政権交代型(英米の二大政党制、ポスト55年体制の民主党):社会の多数派から支持を得た政権交代が自己目的化、「合意型争点」に比重
○対決型(今後の野党が目指すべき姿):前二者の架橋詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
野党の役割の本質的な部分をアカデミックな議論のなかで学ぶことが出きる。確かに現実政治は思うようにならないのは事実だが、理想を語ることも重要である。レイプハルトなどの学者の議論が援用されており内容は難しいかも。
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90年代の制度改革を通じて、日本の政治に政権交代の可能性が開けたことは、民主党政権の成立が証明した。そう、民主党政権は当時大きな期待を集めた。日本が変わる、そう期待した。子ども手当、高校無償化、悪くなかった。しかし、今となっては裏切られたと口にする人も少なくない。期待の後の消沈が後遺症になっている。とはいえ自民党、特に安倍政権は支持できない。もう一度「政権交代可能な野党」が必要だ。しかし、民進党にそれが可能だろうか。
「一強多弱」と言われる状況に絶望的な空気も漂う。
比較政治の専門家が政党政治の歴史、各国比較、制度分析を踏まえて、現代日本の「野党」に必要な機能と役割を提示する本書は、すべての野党政治家必読の参考書であり、また今の日本政治にほとんど絶望している有権者が再び「可能性」を信じるための実用書だ。
「野党共闘」の意味についても確かな視点が得られる。 -
野党とは何か。日本における歴史や世界各国の野党などをあげながら、その意味を問い直す。
「野党は共闘」が叫ばれた今年だが、そもそも野党とはどうあるべきか。それは全体的な政治システムに大きく左右される。
欧米の国々の政治システムや与野党の歴史は自分は全然分かっておらず、とても勉強になった。
最終章の今後の与野党対立的争点についてはもっと詳しく知りたい。
「野党は共闘」の前に野党を知ろう。 -
野党について論じた作品。
先行研究から、野党を4類型に分けている。
・new自民党→いままでの自民党からの決別。利益誘導政治、外交政策からの決別。
・日本と他の先進国と比較
「日本の民主主義体制を特徴づけるとすれば、制度的には首相の権限は強いが実質的にはさほど強くなく、議会に対する政府の軽視的な権限は弱いものの、実質的には強く、上院たる参院の形式的な優越性は強くないものの、実質的な関与という意味では強いと言えます。」(pp.130)
・欧米諸国のコーポラティズムの崩壊が崩壊→日本の利益誘導政治体制が崩壊したの同じような感じ。 -
315||Yo