脳は、なぜあなたをだますのか: 知覚心理学入門 (ちくま新書 1202)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480069092

感想・レビュー・書評

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  • 脳はどのような知覚を促すのか、様々な実験を引き合いに出して分かりやすく説明してくれる。キーワードは、ベクション、クオリア、主観にまつわるハード・プロブレム、プロスペクト理論、モンティホール問題、注意資源と二重課題、インビジブル・ゴリラ、アンカリング。

  • 鳩に対する実験は衝撃的!

  • 知覚心理学について、はじめての自分でもとてもわかりやすかった。
    専門知識だけでなく、実験例や身近に応用できることがらなど色々学ぶことができてとても楽しかった。
    妹尾先生の他の著書も読んでみたい。

  • 人間は、鳩よりあほなとこがあったり、無意識のうちに取捨選択していたり、エピソードは自主的さがいたり、自由意思なかったり、顔でだいたい選んでたり、期待値より万が一を気にしたり、得より損を悔いたり、自分の顔、声に自意識過剰だったり、金持ちほどやなやつになったり、注意資源は人それぞれ決まっていて、努力で減らすことが出来たり、二重課題で騙されたり(マジック、オレオレ詐欺)、首振りで結果がだいたいわかったり、空腹で怒りっぽくなったり、好感度はよく会うや見るやったり、仕事などは遅くゆってそれが普通にしたり、

    面白かった。鵜呑みにせず色んな心理学の本を読んで判断したい!

  • 武田鉄矢の「今朝の三枚おろし」でとりあげていて、面白そうなので読んだ。自分の意思で自分は動いたいるものと思っていたが、実はその前に脳が動いていたなんて話は面白いですね。
    「赤の赤さについて、言葉に置き換えることはできない」
    「本当に自分の意思で行動しているのか。動かそうと思った時にはすでに指は動いている。」
    「お金持ちと貧乏人、どちらがモラルが高いのか」
    「何かに集中していると他に注意を払えなくなる。」
    「単純接触効果」
    「日常にある洗脳 アンカリング効果」
    どれも面白い。

  • 知覚心理学の入門書で、自由意思、クオリア、行動経済学、注意資源など「心」に関するトピックを広く扱っている。

    リベットの実験やアンカリングなどの例を出して、脳がいかにだまされるのかの面白い事例が挙げられている。リベットの自由意思の存在を疑う二つの有名な実験の説明はコンパクトでわかりやすい。特にこの辺りの話を知らない人には、入門書としてかなり好奇心を刺激されて楽しく読めるのではないだろうか。

    「環境からの刺激を受けて、それに対応した行動がなされる。行動を制御するのは、意思ではなく、刺激なのである」というのは、色々と関連する本を読んだが、現在ではすっかり共通理解になっているように思う。例えば行動だけでなく、情動もその構造に従うということが最近出された『情動はこうしてつくられる』にも書かれている。

    「自由意思を否定して日常を送るには、二十一世紀の社会は自由意思を前提に仕組みが作られすぎているのだ。...ダーウィンの進化論がキリスト教社会と激しい戦いをしたように、リベットの自由意思の否定は、二十一世紀の法治社会という概念と激しい戦いをするのかもしれない」

    という辺りは、著者がもっとも言いたいことのひとつなのではないだろうか。

    行動経済学についてもさすがにこの分量では丁寧な説明は難しいが、アンカリングやプロスペクト理論についてわかりやすい説明になっていると思う。

    「脳にだまされるだけでなく、積極的に脳をだまそう。この本はそのための心の理解の方法論が詰まっている」

    というのは主に行動経済学に関する話などはその通りだろう。首を縦に振らせるだけで、肯定的な感情を生ませることができるとか、空腹時には人は無意識に厳しくなるというのを裁判所の有罪率から導いたというところも意識的に役に立たせることができるものかもしれない。
    また、脳の注意資源の話も、加齢とともに衰えているというのは正に実感をしているところなので、よくわかるが少し寂しくなる。注意資源の量がいわゆる頭のよさにつながっているというのは肌感覚としても納得できるので、何とか衰えを遅らせたりカバーしたりできないものかと思う。

    小さな話になるが、原島先生の平均顔が取り上げられていたのは懐かしい。学生のときにはすでにこの研究がされていたので、もう30年くらい前の話だ。今の機械学習とは違ったやり方での合成なのだろうが、比較的先を走っていたんだなと思う。紹介されているリンク先のサイトがChromeで正しく表示できないのは言った方がいいのだろうか。

    人間も混乱するモンティ・ホール問題を鳩が正しくみつけるようになるというちょっと驚きの小話も挟まれていて、割と知識がある人にとってもそれなりに楽しめる。繰り返しだが、網羅性や説明のわかりやすさからも入門書としての役割をきっちりと果たす優れた新書。

  • 吊り橋効果とか単純接触効果とか日頃から心理学的な言葉が会話に出てくることがある。
    なんとなく説明できても実際にそれらの効果を正確に説明できないことが多かった。
    考えてみると当たり前なのだが、「心理学」も学問なので論文がある。論文があるということは、なんらかの実験をして得られた結果をもとに「〇〇効果」と論理的に結論づけられている。

    今みであいまいに捉えてた〇〇効果について、原著論文を紹介しながら説明がされていて面白かった。

    ベクション
    クオリア
    アンカリング効果

    知らなかったキーワードもあり、実験の組み方も含めてより心理学に興味が湧いた。

    この実験の組み方の面白さを著者は切に説いており、ぼくがこのように感じたのも「アンカリング効果」なのだろうww

  • 「自然は学問の垣根を知らない」故福井謙一
    本当に自分の意思で行動しているのか?
    プロスペクト理論
    注意資源と二重課題
    アンカリング

  • ■「ベクション」(vection)とは,「視野の大部分に一様な運動する刺激が提示れされるときに,その運動と反対の方向に自分が移動して行くように感じる現象。なお,この間,実際の体の移動は伴わない」
    ■「クオリア」とは,自分固有の独特な感覚,赤の赤さ,青の青さの個人的な感覚(感覚の感覚),質感のこと。
    ■0.5秒の持続した刺激があることで,ようやく人間は「触られている」という意識を持つようになる。
    ・この結果は脳の場所を変えても頑健に現れ続ける
    ・万事0.5秒の意識の遅れがある
    ・我々の脳は意識を伴わず無意識の力で,環境の変化に遅れないように,それに対応した適切な行動を取捨選択している
    ・意識は行動に事後的に追随するだけの存在
    ■何かの課題を適切にこなそうと思ったら注意の力(注意資源)が必要。
    ・オレオレ詐欺に引っ掛かるのは二重課題による注意資源の搾取が原因。

  • 確かに、脳の働きが我々が思い込んでいることとはかけ離れている、という意味ではこのタイトルかもしれない。
    しかし、それについて深く掘り下げてある、というより、我々が思い込んでいる様々なことが、実は知覚心理学的に説明するとこんな風に現実と乖離がある、というのが様々な切り口から説明してあって面白く読める。

    本来は難しい知覚心理学の研究を、その検証の実験や結果のエッセンスを丁寧に分かりやすく、そして時にはユーモアを交えて説明してあるので、楽しく最後まで読める。
    もし、自分が大学に入る前にこういう書物に接していれば、心理学の道を志したかもしれない。

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著者プロフィール

九州大学大学院芸術工学研究院准教授。心理学博士。オーストラリア、ウーロンゴン大学客員研究員、東京大学Intelligent Modelling Laboratory特任研究員を経て、現職。著書に『おどろきの心理学 人生を成功に導く「無意識を整える」技術』『未来は決まっており、自分の意志など存在しない。心理学的決定論』(共に光文社新書)

「2022年 『漫画 人間とは何か?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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