モテる構造: 男と女の社会学 ((ちくま新書 1216))

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480069238

感想・レビュー・書評

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  • 背が高くてスポーツに優れている男性は女性に好かれる一方、背が低くて運動おんちであっても男性に好かれないということはない。できる男性は女性にもてるが、できる女性が男性にもてるとは限らない。本書では男女に関わる非対称的な感情に焦点を当てながら男女それぞれの生き難さを考察する。たとえば自殺率、ホームレス数、ひきこもり人数などは圧倒的に男性が多い。中高年の男性の自殺が多いのは、リストラや事業失敗などで、できると評価されていたその評価を失ったことが原因。近代社会における男性の生き難さは、彼らが「できなければモテない」という世界に生きることにある。常にできなければいけないというプレッシャー。女性より男性の方が生き難いというのは、このプレッシャーが大きな要因となっている。他方、女性には女性独自の生き難さがある。こちらの方もしっかり検証されている。男女それぞれのモテる構造を理解しがら自らの処世に活かしていきたい。

  • どの時代にどういう人がモテてきたか、社会学的に説く本であり、モテる秘訣が書かれてるとか、これを読めばモテる、とかではまったくない。男はお金を持っていないと結婚できないし、女は結局愛嬌が大事、という話。

  • タイトルで買ってしまったが、内容は、きわめてまじめな社会学。「できる男はモテるが、できる女はもてるとは限らない」ということを、男女の非対称性を論じながら説く。じつは、ちょっとはモテたいと思って買ったが、この本を読んだからと言ってモテるようにはならないと思う。

  • NDC分類 367.2

    「女は女らしく、男は男らしく―。旧態依然とした価値観だが、どっこい今も生き残っている。どうしてなのだろうか?性別の「らしさ規範」(女らしさ・男らしさ)が社会から消えないのは、どういう相手を性愛の対象として好きになるかという、人間の「感情」に固く結びつけられているからだ。しかも面倒なことに、性別規範は男女非対称にできている。だから「できる女はモテる」ということにはならない。本書では、社会的な性別機能の身も蓋もない現実を、透徹した視線で分析。男女それぞれの生き難さのカラクリを解剖し、社会構造変化の中でそれがどう変わりうるのかを俯瞰する。」

    目次
    第1章 男と女の関係学
    第2章 男らしさ・女らしさとは何か?
    第3章 性別規範の機能―社会にどのように利用されているか
    第4章 性差別の背景―できる女はモテないか?
    第5章 近代社会の構造転換―男女の生き難さの変貌
    第6章 ジェンダーの発達理論
    第7章 ケアは女の役割か―男が触ると「いやらしい」?

    著者等紹介
    山田昌弘[ヤマダマサヒロ]
    1957年東京都生まれ。1981年東京大学文学部卒。1986年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、中央大学文学部教授。専門は家族社会学

  • 分かりやすかった。できる男の社会だから生きにくい。無敵の人にルッキズム。いろんな歪みが出てきてるのかな。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/689694

  • 男は女から認められないと生きていけないが女は同性からの関係性だけでも自尊心を損なわず生きていける事が本書での1番の気づきである。
    男は仕事ができる事でしか周囲から認められずそこを損なうと社会的な存在価値がなくなってしまう。女性はキャリアでも家庭でも居場所を見つけることができ、男よりも生きる術があるように感じた。これからは男性らしい女性らしいという概念は崩れていくだろう。だが根源的に残っている男女の性は自認して前向きに生きていきたい。
    女性は同性から養育を受ける為に性的な欲求は低い。男は母親以外からの異性の承認が必要であるから性的にも血気盛んである。これもなるほどなぁと思わされた。

  • 「モテる」とは何を元に成り立っているのかを書いた本
    タイトルから考えたイメージよりも面白い、性別にアイデンティティを掘り下げていて良い
    人は何によって自分の価値を感じ取るか、それが男女によってどう違うかが書かれている。

    男男:力の上下関係、男女:美による序列、女男:気は優しくて力持ち、女女:謎
    性転換手術を受けた元男性はより女性らしくなる。
    男性は女性的に振る舞うと男性であるという確信がゆらぎやすい
    女性らしい男性は社会的に認められにくい

    市場労働:社会から評価され競争にさらされる=従事している人が男性的とみなされる。家事労働:家族に評価され競争がない=女性的
    男性であると確信するために、家事労働よりも市場労働を好む

    アイデンティティ、自分の居場所があり貢献が評価されている感覚:①職業:仕事世界②結婚相手:性的魅力(③居住)
    男性:①と②が直結、オール・オア・ナッシング
    女性:①と②が別々、ダブルバインド

    男性がほぼ全て定職につき格差が小さい場合に性別役割分業の社会が持続可能となる
    イギリスでは結婚相手に年収を聞くのは失礼という認識がある
    男性:からかいのシステム、力を試す、女性:陰口のシステム、親密性を確認
    男性:親密性と性的欲求の一致、女性:性的関係無しで親密性の充足が得られる

    男性からのケアは忌避され、女性からのケアが望まれる

  • 題名はかなり狙ってる感じだけど、内容はしっかりとジェンダー学、それに関する言説について説明されている。

    男女の非対称性を理論的に正すことが困難だと納得させた上で、その不平等ともいえる非対称性が、現実味を持って解説されていて興味深かった。
    性別の非対称性を語っているものの、不思議と前向きな気持ちで読み進められる。

    男性は〜、女性は〜、という語り口に、今まで嫌悪感を持っていたけど、これを読んで社会構造的に仕方がないことと腑に落ちた所も多く、勉強になった。
    フェミニズム、ジェンダーに関心がある人は、新しい視座を得られると思います。

  • またこの人の作品かと思ってあまり期待せずに読んだが、意外に面白かった。
    男性の生きづらさが「モテる人間=出来る人間」という社会規範にあり、つまり未婚の男性は二重の意味で劣等的な地位に置かれる(見た目もよくなければ、仕事もできない)。加えて社会人としては女性の社会進出により、男性の能力競争はより激しくなり、より一層生きづらさが増している。

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著者プロフィール

大阪府出身。京都大学法学部卒。華々しい英雄伝が好きですが、裏話的なテーマも、人物の個性をあぶり出してくれるので、割と嗜みます。著書に『世界ナンバー2列伝』(社会評論社)など。

「2016年 『童貞の世界史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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