アナキズム入門 (ちくま新書1245)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480069528

感想・レビュー・書評

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  • アナキズムについていままで共産主義を前提とした過激思想(反資本主義という意味での共産主義)と思っていたのだが、どうやら元々の思想が相互扶助・共同組合主義から来る無政府主義(政府なんていらないんじゃね?)というとこらしい。

    文体もアナーキー(反権威)でなかなか面白かった。

  • 代表的アナキスト5名の生き様が描かれ、アナキズム入門というよりアナキスト列伝というべき本。名前は知ってるけど詳しく知らないアナキストの思想から人柄や生き様まで知ることができ面白かった。
    プルードンの「所有とは盗みである」というテーゼは知っていても、彼が「所有」とするのはあくまで相続財産であることは初めて知ったし、他のアナキストも相続財産の廃止を強調しているということを知れた。
    マルクスとバクーニンの喧嘩=権力闘争も読んでいて面白いが、とにかくマルクスがイヤな奴として描かれるので、マルクス側からの視点も気になる。
    ルクリュをはじめどのアナキストも、ともかくエネルギーに満ち溢れており、歴史に名を残す思想家は知性以前に生命力が並外れているのだなと感じた。
    ただ、思想としてのアナキズムを俯瞰できたかというと、いまいち分からない。アナキズムに体系的理解が可能なのか、現代のアナキズムと連続するような思想史的発展があるのか、といったアナキズムの全体像(そんなものがあればだが)を掴めないのが惜しいところ。

  • マルクスはマルクスですごい人なんだろうけど、結局共産主義と中央集権国家体制があわさると、資本主義の企業なんか及ばない資本を国そのものが手に入れるということになるわけで、どうしたってそこには権力が生まれてしまう。
    ロシアや中国の歴史を見ているとまだアナーキーのほうがマシなのではと思ってしまった。

    あとアナキズムの理想「権力による強制なしに人間がたがいに助けあって生きてゆくこと」が美しすぎて、特に『蠅の王』を読んだあとだから、それは人間には無理かもしれないと感じてしまう。

  • アナーキズム、とユートピア思想についての、刺激に満ちた入門書です。参考文献も多く紹介されていて便利です。

  • 思っていたのと少し違ったのでクロポトキンの章まで読んで読了とする。論文的なものを期待していたが、軽めの伝記だった。

  • 色々な意味で息苦しい世の中だなと思っていた時、ふと話に上ったアナキズムについて知るために読みました。紹介されているアナキスト5人は経歴も方法論も異なるけれど、ただ1点、優しい心の持ち主であることは共通していて、単に無政府主義と捉えていた見方が変わりました。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685712

  • アナキズムがどのようにして生まれて、どう広がっていったのか、各重要人物の人生を追っていく形で解説されていた。
    何を勉強するにも全ては歴史があると最近ようやく理解できてきた気がする。

    アナーキーは無秩序主義とされてしまうが、もともとはアナルシーというギリシャ起源の言葉で「無権力」という意味だった。
    それが、今になって形が変わっていったそう。

    そう考えると、アナキズムと共産主義は似ているなぁと感じたが、
    両者の違いは共産主義はどこまでいっても国家という権力が存在しているが、アナキズムは最初から国家という権力は最初からは必要ないという違いなのだろう。
    もっと深くは異なるのだろうけど、今の段階ではこのくらいの理解しかできていない。

  • 内容が面白いだけに、読書案内がないのがとても残念。

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著者プロフィール

1983年生まれ。東京都出身。長崎在住。専攻は、哲学・思想史。学位は博士(人間科学)(大阪大学、2015年)。中央大学文学部哲学科卒業、大阪大学大学院人間科学研究科修了。日本学術振興会特別研究員、パリ第十大学研究員などを経て、現在、長崎大学教員。ホワイトヘッド哲学を中心とした現代思想や、アナキズムに関する思想の研究を行っている。
著書に『アナキズム入門』(筑摩書房、2017)、『具体性の哲学』(以文社、2015)、『国道3号線』(共和国、2020 年)など。共訳書に、G・ハーマン『思弁的実在論入門』( 人文書院、2020)、H・フラスベック+C・ラパヴィツァス『ギリシャ デフォルト宣言』( 河出書房新社、2015) がある。

「2021年 『もう革命しかないもんね』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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