めざせ達人!英語道場: 教養ある言葉を身につける (ちくま新書1248)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480069559

感想・レビュー・書評

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  • 再読。斎藤兆史先生の本はこれまで新書で4冊読んできた。英語達人の本、英語達人になる本、教養についての本、努力についての本、今回紹介する本はまたも英語達人になる本である。そして、忘れていたがとても大事なことが書かれていて、ハッと目が覚めた。やはり簡単に出来る事を謳うことは王道とはかけ離れているということ。

    最近次の3つの方法を知る。
    ①このブログの第9話「快諾100万語!」では洋書を読むのに辞書を引かないで、話がわからなくなったら、読むのを止める。②最近のNHKの実践ビジネス英語では、英文のポイントとなる英単語は調べて、それ以外のわからない語を調べていると切りがない。③本作は英文学で、わからない英単語は片っ端から辞書を引く。

    ①は間違った方法のように感じるようになった。

    キーワード

    王道、三昧、毎日、日本語、精読、多読、語彙力の増強、読解、辞書を引く、ラッセル

    下記引用、数字はページ数

    3 ・人の営みには基本があり、技芸を成就するための王道がある。しかしながら、基本は単純ながら楽に実践できるものではなく、王道はまっすぐの一本道ながら平坦ではない。そのため、人は時として楽な方策を模索し、(略)といった謡い文句に誘われて迷路に入り込む。ところが、一旦そこに迷い込んでしまうと、王道に戻るのが極めて難しい。結局は最初から苦労してでも王道を歩んだほうが目的地に早く着くことができる。

    4英語学習においても、基本は同じ。当たり前の努力をしてもらうほかない。

    5「役に立つ」という発想と教養とはむしろ対極にあるものである。

    6私の答えはこうである。どうやったら単語が効率よく覚えられるか、と感じているうちは、やり方を工夫したところでさほど語彙力の向上は望めない。覚えるまでとにかくいろいろやってみるという発想で勉強すること。目標から逆算するのである。そしてそれを遂行するには地道な努力をするしかない。

    7どうやったら英語が得意になるかと学習法を工夫する段階を脱し、無我夢中で英語学習に没頭する時期を経なければならない。『努力論』で論じた「三昧」の境地を経験する必要があるのだ。その三昧境になる長く留まった者の中から、名人上手と呼ばれる人が出てくる。

    9重要なのは「個人個人の好みと力量に合わせて......熱心に毎日行う」ことである。

    36・学校で習う英語は(略)基礎の基礎

    ・日本語を大事にすること

    ・まずは教養ある日本語の使い手を目指すこと

    38教養ある英語を身につけるためには、文学的な文章を多読することが必須の修行法となる。

    45辞書を引き引き英文を精読する伝統的な学習法が実用的な英語力の育成に役立たなかった、との誤解があるだろうか

    46精読ができるようになれば、いずれそのような読み方もできるようになる。

    47・いずれにせよ、辞書を引かずして英語運用のための基礎体力がつくことはまずない

    ・少なくとも自宅学習用には紙の辞書を勧めることにしている

    48読み教材といっても、別に「英文読解」や「英文解釈」に特化した学習書や参考書は買う必要ない。

    50・私は、少なくとも最初は受験対策としてラッセルを多読したおかげでだいぶ英語力がついたと思っている

    ・何度でも読むに値する

    ・ラッセルの英語のリズムを身につけておけば、どのような英語を学ぶにせよ、その先の伸びがちがう

    57毎日かならず稽古を積むことが必要

    75・とにかく基礎をしっかり固めて、それが応用できるように訓練を積む。それだけである。

    ・大事なのが語彙力の増強。

    ・とにかく知らない単語は片っ端から辞書で調べる。そして、語彙学習を中心的な課業としているときには、調べた内容を単語帳に書き付ける。

    100文法・訳読も口頭でのコミュニケーションも、どちらもバランスよく学ばなくてはいけないのである。

    101・発音記号も早いうちに覚えておくこと。

    ・標準的な英語で用いられる音に対応する記号は50個程度、そのうち日本人が苦手な発音に対応するものはせいぜい10個程度である。

    ・できれば何となく分かる、あるいはすでに内容を確認している音声を流すのがいいだろう。

    102・(リスニング教材)を引っ張り出して、部屋の片付けなど、とくに神経を集中して行う必要のない作業をしているときに流しておく。

    ・英語放送を流して聞き流すのも一法である。

    104・ディクテーションはこれはこれで有効な勉強である

    ・英語学習においては、とにかくいろいろな形で英語を身体に練り込んでいくことが大事

    105・私としては、聴解が得意になりたい学習者は、むしろ次に述べる速読練習、さらにはその延長線上にある字幕速読練習にもっと力を入れてほしいと思う。さて、その速読だが、基本的には普通の読解教材を速読するのと同じ要領で行えばよい。

    ・口語体、音声を書き起こした英文

    ・できるだけ返り読みをせず、音声を処理するのと同じくらいの速度

    107多くの場合、つまずきの原因は、音声処理の失敗というよりも語彙や文法の知識不足

    109まずは、教養そのものを身につけるべく、文学をはじめとする教養的な内容の書物を多く読むこと

    111もしかしたらすべての技芸について言えることなのではないかと思う。上達すればするほど、肩の力を抜いて全体をゆったりと見渡しつつ、肝腎のところはきっちり決めることができるようようになる。

    115教養ある英語の使い手となるためには、英語使用におけるどの技術を伸ばすにしても、とにかく読解が一番の基本となることをしっかり理解しておく必要がある。

    155まずは一般的な心がけとして、できるだけ英語を使ったり、英語で考える機会を増やすことである。

    161私自身は、文法など最初にしっかり教えてしまったほうが手っ取り早い

    182みなそれぞれの時代において最大の努力をしたということ

  •  「教養ある英語を身につけようとする志の高い学習者を対象とする英語独習本」(p.3)。英語学習の王道を、英文解釈の実例を踏まえて説く。
     「日本人は文法を気にしすぎるから英語が使えないと言われるが、そうではない。文法が気にならなくなるほど十分な稽古を積んでいないから、使えないのである。」(p.69)など。
     正直言うと、著者の本もいくつか読んだことがあったので目新しいこともない。というか、やっていることは王道の王道なので、目新しさがない、ということがこの本のセールスポイントでもある。とすると、なぜ2017年にこういう本が出ているのかよく分からないのだけれど、新書というものは同じ内容を定期的に刊行しないといけないものなのだろうか。もうこの手の英語教育批判をするのはやめて欲しいなあと思う。それこそずっと前からこの手の批判は延々とあるのだから。数ページに1回は英語教育批判が出てくるけれど、もう辟易してしまった。次の段階として、著者が中高生に教える実践記録、などの方がいいのではないだろうか。特に中高生に日々英語を教えているおれからすると、これを堂々と説けるなんて、本当にいいご身分ですね、とすら思ってしまう。つまり、この内容を中高でこういう形で授業したら、カリスマ先生や予備校でない限り、みんな寝てしまうんじゃないだろうか。色々試行錯誤して、中高生でも出来る、英語やろうと思わせて、そこにこの王道の要素をどうやって入れていくか、というのに苦労する訳なので。そして、この王道が地道に出来ない者は道場から去れ、と言わんばかりのこの感じは、大部分の人には受け入れられないだろう。迎合するのを良しとしない、というのは大いに分かるが、その姿勢では英語が出来る日本人はますます少なくなっていくのではないだろうか。おれは著者の言うことは100%正しいと思っている。著者の英語学習法が王道だし、それ以外はないんだろうな、と本当に思っている。受験英語で訳読は好きだったし、辞書もたくさん引く。が、これを実践できる人は本当の英語好き、というか英語の「勉強」好きな人だと思う。軽い気持ちで、英語できればいいな〜くらいの人ができる内容ではない。でも新書は軽い気持ちで手にとることが多いだろうし、逆に英語を本当に本格的にやりたい人はもっと違う本を手にとるだろうし、とすると、この内容を新書で出す意味はなんなのだろうか、と思う。多くの人は、そこまでやりたい訳じゃないや、と思って、ますます英語から離れていくきっかけになるんじゃないだろうか。
     たぶんこれの最適な読者は結局、今この時代に英語の先生になろうとする人、ということになるだろうか(そもそも英語の先生になろうとする人が、この「王道」の学習法を知らない、受け入れない、というのは大問題だけど)。おれが中高で英語の教員の仕事をしていない、純粋な「英語の勉強好き」だったら、もっとこの本の内容に感心しながら読めたのかなあ。
     推薦図書のDavid Lodge, The Art of Fiction、ラッセルのThe Conquest of Happiness、ナイポールのReading & Writingは読んでみよう。あと放送大学の教材「英語の発音教室」は使えるかなあ。チェックしよう。(22/11)

  • 達人の域に入るのは並大抵のことでは出来ない。
    しかし…
    ボブも達人になりたーい(^o^)/
    というわけで、頑張ります。

  • よかった。筆者の他の本も読んでみようと思う。時間がないとか言われる時代こそこうゆうのは批判されると思うけど。また機械が発達したら〜とかあると思うけど、頭はめっちゃ良くなりそう。いや、これは何目指してるんだって感じだけども。とにかく人間性として向上はすると感じたからぼくは好き。あともっと勉強しっかりしようと思えた。壁を超えた感じ。、

  • 東2法経図・開架 B1/7/1248/K

  • 17/04/13。

  • 昔の『英語達人塾』を圧縮したような内容と思うが、より凝縮されてアタマに残りやすいようだ。

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著者プロフィール

東京大学大学院教育学研究科教授

「2019年 『言語接触 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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