現代中国入門 (ちくま新書1258)

  • 筑摩書房
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480069634

感想・レビュー・書評

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  • 成蹊大学で2015-16年にかけて行われた行われた寄付講座の講義録を一冊にまとめた本です。中国関係の本は時々読みますが、本書は分野の専門家が、文化、歴史、国際関係の3つの切り口で持論を展開しています。

    現在の日本での中国に関する報道ではあまり扱われないトピックや史実にスポットライトが当てられており、興味深く読みました。例えば以下の点です。

    - 1972年の日中共同宣言で、中国が日本への戦時賠償請求を放棄していること。一方、日清戦争では清より2億3000両(当時の日本の国家予算の4年分)の賠償を日本が手にしており、これを資金として八幡製鉄所や三池炭鉱といった、後の日本の工業化が推進されたこと。

    - 中国ではないが、琉球からの視点として、1972年の沖縄返還は、1879年に明治政府が琉球を強制的に併合した第一回、1952年のサンフランシスコ講和条約でアメリカの統治下におかれることとなった第二回に続く、三回目の「琉球処分」という言い方をされており、沖縄の人々の意思を省みられることなくその帰属が決定されてきた、ということ。

    - 欧米では1648年のウェストファリア条約以来、主権国家は対等であるという原則だが、歴史的に東アジアでは、中国を中心とする冊封-朝貢体制の存在が見られ、これが現在の中国の対外政策に影響を与えているのではないか、という点。

    東アジアの今後の情勢を考える上で、様々な視点を与えてくれる一冊でした。

  • 本書のタイトルにあるように、今の中国を知るには私個人的には役に立ちました。

    ただ本書は「光田剛編」とあるように、専門研究者やジャーナリスト、それに光田剛さんを含め、複数の方がテーマ別に書かれたものを集めて一冊にしています。そのため、「この人は、こう書いているのに、こちらの人は別のことを書いている」といったような内容になっています。

    これすなわち、中国という大国は、簡単に1冊の本では説明がつかないくらいに複雑かつ大きな存在であるということと理解しました。

    隣国なのに近くて遠い中華人民共和国。
    帯に「知らないでは済まされない中国の真実」と謳っている理由がわかります。

  •  新書にしては厚いが市民向け連続講義が基で、各章は短いので読みやすい。近代政治史を含む典型的な政治分野は先行研究が多いためか良い意味で基礎的・教科書的な内容。一方、社会学分野は文学・絵画・映画等、普段目にしない分野もあった。総じて言えば、幅広い分野の連続講義という性質故か、政治分野以外では筆者の趣味が色濃く(「沖縄」の章はほぼ半分は沖縄固有の問題を書いている)、かつ必ずしも中国専門家ではない筆者もいる。ただそれ故に新鮮だった。
     以下、内容の抜粋をいくつか備忘録的に。
    ・(台湾独立派の意識は)日本の台湾支配の不当性を相対化する立場に近づく。現在の日本人には台湾を台湾自身に即して見ることが難しくなっている。
    ・中国は海域について国際法のルールを共有せず、異なるルールに則している。
    ・80年代までは日本国内では親中派の有力政治家と「チャイナ・スクール」実務家集団が日中の非公式な調整に大きな役割を果たしていたが、90年代以降は経世会の凋落や官邸主導外交により、日中関係は人脈に依存した特殊関係から普通の二国間関係に変化している。
    ・カイロ宣言・ポツダム宣言・サンフランシスコ平和条約・日中共同声明それぞれでの台湾と沖縄の扱い。
    ・冊封・朝貢関係はより大きな東アジア国際関係システムの一部。盟約体制や互市関係の特殊な事例に過ぎないという相対化。ただしいずれも「国と国との上下関係」を原則としていた点で、欧州生まれの近代国際関係とは異なる。

  • 302.22||Mi

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記は控えさせていただきます。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=9625

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